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飛空都市の八月
飛空都市の八月
novelistID. 28776
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あなたと会える、八月に。

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 ロザリアを抱き上げるとジュリアスは、ざばざばと川の水を蹴散らしつつ岸辺へと上がった。リュミエールが、少年と父親の家に行きましょうと先導に立つ。
 「……だから『子ども』だとでも?」
 口をとがらせるロザリアに、ジュリアスは「淑女たるもの……」と言いかけてますます不機嫌そうになるロザリアを見て、それ以上言うのはやめておいた。
 けれど。
 笑みを控えジュリアスは、まだ涙で濡れたロザリアの目尻に唇を軽く押し当てた。
 「謝る」驚いた表情で自分を見るロザリアに、ジュリアスは小さな声で告げる。「もう二度と、そなたの目にこのような様を見せはしない」
 「……見えない所でも嫌ですからね」
 口をとがらせたままロザリアはそう言うと、ぷいと横を向いた。先程とまったく違うことを言っている自分が恥ずかしいらしい。
 「……ああ」
 頷くとジュリアスは、再び微笑んだ。そして心の中で強く誓う。
 同じ涙にしても……このような泣かせ方は二度とさせない、と。