機動戦士ガンダムRS 第31話 闇の胎動
それまでは、ゆっくり休養し体を休めてくれ」
サオトメがそういって敬礼すると皆も立ち上がって敬礼した。
「よし、解散」
サオトメの号令とともに部下たちは、ブリーフィングルームを後にした。
※
サオトメは、デッキに出ると夕刻のハワイの風を浴びていた。
現在のハワイは、乾期であり雨はあまり降らない。
とはいっても雨がまったく降らないという事は、なく明日は降るらしい。
サオトメは、手すりにつかまりハ夕刻のワイの景色を眺めていた。
そのときタラップの降りたところに1匹の動物がいるのに気づいた。
「猫だ」
サオトメは、それを猫だと認識するとタラップの方に行った。
※
サオトメは、タラップを降りると先の猫を探した。
「いた」
サオトメは、猫を見つけると猫もサオトメに気づきサオトメの方に走ってきた。
猫がサオトメの足元に着くと体をサオトメの足にこすりつけ甘え始めた。
「どうした?
家族は、いないのか?」
サオトメは、猫に話しかけながら猫を右手でなでた。
すると猫は、おなかを見せると足を使ってサオトメの右腕に抱き甘噛みした。
その間にもサオトメは、首輪か何かないかと猫を観察した。
「この子は、野良猫なのかな?」
しかし首輪も何もしていないためサオトメは、野良猫じゃないかと思い至った。
「隊長」
サオトメが声がしたほうを見るとアイリス曹長が走ってきた。
「アイリス」
野良猫もアイリスに気づくと突然アイリスに威嚇しそのままどこかへ逃げていってしまった。
「逃げちゃったか」
サオトメは、野良猫が走っていったほうを見ていた。
「ごめんなさい。
私は、どうも動物に好かれないタイプのようで」
アイリス曹長は、申し訳なさそうに言った。
「いいよ、別に。
それよりどうした?」
サオトメは、気にも留めずに質問した。
「私は、出口付近で隊長を見かけたので追いかけてきたんです。
先の猫の猫種は、何だったんですか?」
アイリス曹長は、自分がなぜここに着たのか話し猫種を聞いた。
「アメリカンワイヤーヘアだったと思うよ。
俺もあまり猫に詳しくは、ないから確信は持てないけど」
サオトメは、推測で猫種をいった。
「隊長は、動物に好かれるんですか?」
アイリス曹長がサオトメの動物にすかれるタイプか聞いた。
「あまり動物と接したことが無いからわからない」
サオトメは、苦笑しながら答えた。
「でもあの猫は、隊長になでられてとっても気持ちよさそうでしたよ」
アイリス曹長は、野良猫の表情を話した。
「もしかしてアイリスは、俺になでられたいのか?」
サオトメは、アイリス曹長の言葉で気づいたことを言った。
「え?
いえ、そんなことはないんです」
アイリス曹長は、驚きながらもそう答えた。
「そうか。
俺は、ぜひともなでたかったんだが」
サオトメは、残念そうにいった。
「ぜひともお願いします」
アイリス曹長は、我慢できずにお願いした。
「素直でいい子には、ご褒美しなくちゃ」
するとサオトメは、左手でアイリス曹長の頭をなでた。
「どうだ?」
サオトメは、アイリス曹長になでられる感想を聞いた。
「やっぱりちょっと気恥ずかしいです」
アイリス曹長は、幸福感と気恥ずかしさの板ばさみ状態だった。
「やっぱりアイリスの髪ってきれいだな」
サオトメは、アイリス曹長の髪のきれいさをほめた。
「当然ですよ。
女の子は、肌と髪の手入れに手抜きなんてしないんですよ」
アイリス曹長が一般女性の代表のように答えた。
「でも隊長の手って不思議です。
太陽みたいな温かさがあるような気がします。
すごく安心感があります」
アイリス曹長がサオトメの手をほめた。
「そんなこと初めて言われたよ」
サオトメは、アイリス曹長の言葉にかなり驚いた。
「でも本当のことです」
アイリス曹長は、太鼓判を押した。
しばらくなでるとサオトメは、アイリス曹長の頭から手をどけた。
「隊長、ありがとうございます」
アイリス曹長は、幸福感いっぱいに感謝した。
「どういたしまして。
でもやっぱり少し照れますね」
一方サオトメは、気恥ずかしさいっぱいにいった。
「それじゃあそろそろ艦に戻るか」
サオトメは、ドゴス・ギアに戻ろうと提案した。
「はい」
2人は、ドゴス・ギアに戻っていった。
※
アラスカには、町もあり住民が商品を売り生活資金を稼ぎ生活を営んでいる。
一見このような光景を見ると今が戦時中だと忘れてしまう。
※
大西洋連邦の首都であるワシントンのホワイトハウスでは、アラスカの地下に仕掛けたサイクロプスでコロニー軍の戦力を消失させた後の反抗シナリオを描いていた。
※
査問会では、ミゲル中尉から聞いた状況を事細かにクルーゼ大佐は、報告した。
「では、キラ・ヤマトとその仲間たちが避難する際たまたま工場地区に迷い込みストライクを見てしまったと言うことだな」
サザーランド大佐がクルーゼ大佐の報告を要約し確認した。
「はい」
クルーゼ大佐は、異議を唱えなかった。
「ミゲル中尉は、自らの専用ジンで迎撃と多数の戦闘トラックを出撃させるために工場を開けてしまったことに責任を感じていました」
クルーゼ大佐は、ミゲル中尉の当時の心境も語った。
「うん。
その力を聞いて君は、どう感じたのかね?」
サザーランド大佐は、キラ・ヤマトというスーパーコーディネイターの能力に対する感想を求めた。
「ただ驚異的なものと感じました」
クルーゼ大佐は、キラ・ヤマトというスーパーコーディネーターの能力に対する感想を述べた。
「そしてなんとかかんとかユーピテル部隊を退却させた後ミゲル中尉は、彼と彼の仲間たちを拘束した」
サザーランド大佐は、ユーピテル部隊が退却した後のミゲル中尉の行動を確認した。
「はい」
クルーゼ大佐は、異議を唱えなかった。
「これは、的確な判断だったと言えよう。
経緯は、どうあれ我が軍の重要機密を見てしまった以上拘束するのは常識だ。
そしてその後彼に一時的とは、いえストライクを任せたのも的確な判断だったと言える」
その言葉にラミアス艦長、バジルール副艦長、フラガ少佐、クルーゼ大佐が驚いた。
「ほかのXナンバーのパイロットの報告によれば直後のガンダムサイガーがヘリオポリス内に侵入した際の迎撃は、ストライクたった1機でありほかの機体はいまだ調整中だと聞いている。
にもかかわらずアークエンジェルへの通信を行いストライカーパックの装着を行いながらOSを完成された通常物に書き換えていたらガンダムサイガーを退却させられなかったかもしれない。
そういうことを考えればミゲル中尉の行動は、すべて的確だったと思われる」
サザーランド大佐が自論を述べた。
「ありがとうございます」
クルーゼ大佐は、礼を言った。
「しかし問題もある。
なぜミゲル中尉は、ヘリオポリス内でストライカーパック中もっとも火力があるランチャーストライカーパックを装備させたかということだ」
サザーランド大佐の言葉にクルーゼ大佐は、表情を暗くした。
作品名:機動戦士ガンダムRS 第31話 闇の胎動 作家名:久世秀一