機動戦士ガンダムRS 第32話 まなざしの先
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それは、ハワイ基地で傍受した。
「パナマ行きじゃないのか?」
ダリル中将がオペレーターに質問した。
「違います。
このままの航路を行きますと目的地は、トリントン基地かオーブ連合首長国になります」
オペレーターが艦隊の目的地を推測し報告した。
ダリル中将は、少し考えた。
「トリントン基地にこれを報告しろ。
やつら偽装のため航路を変える危険性もある。
見失うなよ」
ダリル中将がオペレーターに念を入れた。
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クルーゼ大佐、フラガ少佐とイザーク大尉はシャトルで宇宙に向かった。
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翌日5月5日η艦隊と第112遊撃艦隊はアラスカへの攻撃開始の最終準備を行っていた。
「作戦開始は、定刻の予定。
各員は、迅速に作業を終了せよ」
ブライアン艦長が作業員に命令した。
「マン・マシーン隊、発進準備完了。
作戦域オールグリーン。
レーザー通信回線、最終チェック」
マーネリー軍曹が報告した。
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サイド8にあるコロニー軍総司令部では、コロニー軍の総司令官でα艦隊所属マン・マシーン総隊長であるタカノリ・サイジョウ元帥がいた。
「ハワイ基地より入電。
0300現在気象部報告。
第25管区は晴、北北西の風4.2m。
気温18.7度」
サイジョウ元帥は、オペレーターからの報告に真摯に聞いていた。
「η艦隊から入電です。
スピットブレイク、全軍の配置が完了しました。
後は、ご命令いただくのみとのことです」
サイジョウ元帥は、それを聞くと待ってましたといわんばかりに立ち上がった。
「この作戦により戦争が終結に向かうことを切に願う。
真の自由と正義が示せ。
オペレーション・スピットブレイク、開始せよ」
サイジョウ元帥が命令を下した。
「スピットブレイク発動、目標アラスカ」
オペレーターがη艦隊に命令を出した。
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それは、η艦隊でも傍受した。
「スピットブレイク発動されました。
目標は、アラスカで変更なしです」
マーネリー軍曹が報告した。
「全軍、攻撃開始」
その報告にブライアン艦長が命令した。
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アラスカでは、居残り組みの防衛部隊がのんきにタブレットで漫画を読んでいた。
彼らは、コロニー軍がパナマを攻めると断定していた。
ある人物が友人を探し見つけた。
「よお、これがお前が借りたいっていってた漫画だ」
その人がそういうと1枚の漫画データを友人に渡した。
「ありがとう。
俺が見た限り店頭に並んでいるところは、見たことないんだ」
友人がその人物に漫画の人気度を説明した。
「それは、すごいな」
その人物は、この漫画に興味が無く友人がすごいほしがっていただけだった。
それがたまたま立ち寄った本屋にあったので使命感のような感じで購入し今に至る。
そのため漫画の中身は、一切見ていない。
「これの分類は、どこに入るんだ?」
その人物は、友人に漫画の分類を聞いた。
「少年漫画らしいぞ」
友人は、漫画の分類を答えた。
なおこの基準は、万人が読むことができる本か一部に過激な表現があるかで決まる。
過激な表現がある漫画を青年漫画と呼んでいる。
「これは、お礼の漫画だ。
俺の一押しのグルメ漫画なんだ」
友人は、礼に自分の漫画を貸した。
「その漫画のレシピって実際作ることも可能なのか?」
その人物は、友人に質問した。
「ああ、そうなんだ。
それに結構うまいんだ」
友人は、漫画の中のレシピを自慢した。
「パナマが陥落することは、ないよな」
その人物は、急に友人に質問した。
「陥落することは、ないさ。
だって地球軍の主力がいるんだ。
そう簡単に陥落なんかしないさ」
友人は、パナマが陥落するとを想像できなかった。
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そのころサザーランド大佐たち軍幹部は、ボスゴロフ級でアラスカを脱出していた。
「状況は?」
軍幹部の1人がサザーランド大佐に質問した。
「まもなく攻撃が開始されるでしょう」
サザーランド大佐が答えた。
「作戦は、うまくいくかね?」
軍幹部の1人が作戦がうまくいくか心配した。
「いきなり最深部まで入られたりは、しませんよ」
サザーランド大佐は、第2級戦力でもそれ相応の働きをするだろうと考えていた。
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アラスカの別の防衛部隊の1人は、腕立て伏せをしていた。
そこに友人が通りかかった。
「精が出ますね」
友人がからかってきた。
「今腕立て伏せの限界に挑んでるんだ。
悪いけど今は、ほっといてくれ」
友人は、そういわれるとつまらなそうにその場を去った。
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空っぽのアラスカ司令室には対空レーダー、対水上レーダー、対潜レーダーが接近する敵を捉えていた。
それらが防空圏内に到達するとアラームが基地中に鳴り響いた。
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それにほとんどの守備隊が驚いた。
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η艦隊と第112遊撃艦隊では、艦載機の発進を行いつつミサイル攻撃を行った。
アラスカ側は、これを地対空75mmバルカン砲塔で迎撃したがミサイルの直撃を受けるものもあった。
ユーピテル隊の一部は、ベースジャバーに載り空対地攻撃で自走リニア榴弾砲を破壊した。
別の部隊は、対MS戦闘ヘリコプターを攻撃した。
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「統合作戦室より入電」
守備隊に司令室からの通信が入った。
「サザーランド大佐、これは?」
部隊長がサザーランド大佐に状況を質問した。
「守備軍は、直ちに発進し迎撃を開始せよ」
サザーランド大佐の命令に通信を聞いていたものは、皆驚いた。
「してやられたよ。
奴等は、直前で目標をこのジョシュアへと変えたのだ」
サザーランド大佐が状況を説明した。
しかしこの通信は、録画映像であり本人は既にアラスカにはいなかった。
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しかし一部では、情報が錯綜していた。
「コロニー軍の攻撃が始まったんだろ?
戦場は、パナマだろ?」
この部隊は、アラスカが戦場だということがわからなかった。
「ところでこの戦いが一段落ついたらスノーボードをしに行かないか?」
「いいな」
兵の中には、のんきな会話をしているやつもいた。
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サオトメは、ギアリング級駆逐艦の艦橋にメガビームライフルを撃ち撃沈した。
さらに1機の対MM戦闘ヘリコプターをメガビームライフルで撃墜した。
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ユーピテルもハンド・グレネードをギアリング級駆逐艦の艦橋に命中させ撃沈させた。
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防衛部隊の隊長は、苦渋の選択をした。
「これで戦えと言うのも酷な話だけど本部をやらせるわけには、いかない」
「隊長」
隊長の発言に部下が不安に感じた。
「総員出撃。
防衛任務に就け」
隊長が部下に命令した。
「そんな主力隊が居ないのにどうやって」
部下の1人が弱音を吐いた。
しかしそれを隊長は、それをしかることができなかった。
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作品名:機動戦士ガンダムRS 第32話 まなざしの先 作家名:久世秀一