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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 11

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「いいや、できるね!できねえのはお前が食いしん坊だからだ!ていうかシバ、お前最近太ったんじゃねえか?どうだい、これを機会にダイエットでも始めたらどうだい!?」
「何ですってぇ!?」
 とうとう二人は掴み合いの喧嘩を始めてしまった。ガルシア達は止めに入ろうとした。しかし、二人は髪やら頬やらを掴み合い罵り合うばかりで一向に喧嘩を止める気配がない。
「ああもう、こいつらは…」
 ガルシアも段々苛立ってきた。
「いい加減にしろ!そもそも食糧はジュピター灯台に着くまで保つように補給しておいただろう!?それが早くなくなったのはお前がやたらと食べたせいなんだぞ!?」
 ガルシアは食糧切れの原因はシンにあると怒鳴った。
「うっせえな!さっさと食わないと食い物は腐るだろうが!だからオレは早めに食ってただけだ。ああ、あとこの際だから言っとくけどよ、お前がよく次の日に食うって残してたやつが次の日よくなくなってただろ?あれ食ってたの実はオレなんだわ!」
 進んで倹約しようとしていたガルシアは少しでも食糧の消費を抑えようとよく夕食を残して明日の分にしていた。しかし次の日になるとそれは忽然と消えているのだ。どうしてか、シンに訊ねると、鼠にでも食われたのだろう、と言っていた。
「やっぱりお前だったのか!?シン、俺がどんな思いで残してたのか分かっているのか!?というより食い物の恨みだ、覚悟しろ!」
 ガルシアまでが喧嘩に参加してしまった。
「ちょっと、止めてよ兄さんまで!」
 ジャスミンの声はガルシアに届かなかった。三つ巴の争いが起こっていた。
「ああもう、一体どうすれば…」
 ジャスミンとピカードとで三人の喧嘩をどうにかしようとしたが、争いは激しく、止められそうになかった。
「あの、どうかなさったのですか?」
 途方に暮れるジャスミン達に一人の少女が声をかけてきた。
 少女は褐色の肌をしており、頭にバンダナを巻いていた。カールのかかった長髪で、大体ジャスミンと同じくらいの年頃の少女であった。
 見知らぬ人物の出現に気付き、ガルシア達も争いの手を止めた。
「あなた、もしかしてこの辺の人?」
 ジャスミンが訊ねた。
「はい、ここから少し行った先のボルケイ村の者です」
 思わぬ所で探し求めていた村が見つかった。
     ※※※
 ゴンドワナ大陸西側に位置する村は古くからボルケイ村と呼ばれている。同じくゴンドワナ大陸の南に位置する二リ村やキボンボ村と趣はよく似ている。
 しかし、村人によるとどうやらキボンボ村の評判は悪いようだった。黒魔術の儀式のため周辺の村を襲っていた噂はこのボルケイ村にも届いており、一度はこの村までも襲われそうになった事もあった。その時は川を渡ってやって来ようとしたキボンボ村の戦士が魔物に襲われ、命からがら逃げ出し、結果的にボルケイ村は難を逃れる事となった。
 ボルケイ村という名の由来はすぐ近くにあるまるで火山のようにマグマを湛えた岩山から来ている。その岩山はウェイアード各地にあるエレメンタルロックの一つ、マグマロックである。この周辺の暑さはこのマグマロックのなすものでもあった。
 そんなボルケイ村にガルシア達は村の外で出会った少女に連れられてやって来た。
 少女は名をフォレアと言った。聞くところによると彼女はボルケイ村村長、フォイアーの孫娘だという。両親を早くに亡くし、祖父の手一つで育ってきたのだと言っていた。
 そのせいか、ガルシアの目にはフォレアの姿がまだあどけなさを残しながらも、随分と大人びているように映った。妹のジャスミンとどこか似たような感じを受けた。
 ガルシア達は村へと案内されると、すぐにフォレアの家でもある村長宅へと招待を受けた。
 村長フォイアーはかなり厳格な雰囲気を持つなかなか筋骨逞しい初老の人物であったが、ガルシア達の突然の訪問に快く応じた。
 フォイアーは今でも現役の狩人らしく、山へ入っては動物を仕留めているのだという。
 先日も狩りに赴き、動物を仕留めて来たというのでガルシア達にそれを振る舞った。
「お待たせしたな」
 逞しさ溢れる野太い声で言いながらフォイアーは巨大な皿に盛られた肉の丸焼きを卓へ運んだ。
 味付けは塩胡椒のみであったが、一瞬で涎が溢れるほど良い香りが漂った。
「うはぁ、すっげえいい匂い!」
 シンは待ちきれない様子で身を乗り出した。
「行儀が悪いわよ」
 シバがそれを注意する。
 フォイアーはどこからか刃物を取り出し、肉へと刃を入れた。とても切れ味がよく、スパスパとまるで野菜を切っているかのようだった。
 切り分けた肉をフォイアーはガルシア達へと分ける。
「皆さん、お待たせしました」
 それと同時にフォレアがスープとパンを運んできた。
「どうぞお召し上がりください」
 フォレア達に促され、ガルシア達は食事に手を伸ばした。肉は歯ごたえがあり、噛む度に肉汁が口の中に広がった。塩と胡椒だけの味付けが肉そのものの味を引き出していた。
 フォレアの用意したスープもかなり良い味だった。村で採れた野菜をふんだんに使っており、新鮮で甘味があった。
「いやぁ、旨かったぜ。ごちそうさん!」
 食事を終え、シンが言った。
「本当に旨い食事じゃった。感謝しますぞ」
 スクレータも礼を言った。
「いやいや、喜んでもらえて何よりだ」
 フォイアーはその強面に笑顔を浮かべて応じた。
「そういえばお前たち、旅の戦士だと言っておったな。一体何のために旅をしておるのだ?」
 フォイアーは訊ねた。
「俺達はエレメンタルの灯台を灯す旅をしています。大ウェスト海にあるジュピター灯台を目指して船で旅をしていたのですが、食糧が尽きてしまって、西ゴンドワナ大陸に上陸したものの、村が見つからなくてどうにかならないかと思っていた所にお孫さんに会ったんです」
 ガルシアが経緯を説明した。
「ふむ、それは難儀であっただろう。しかし、何やら聞き慣れぬ事を言っていたな、エレメンタルだとか灯台だとか」
 聞き慣れない言葉にフォイアーは首を傾げた。その疑問に対する答えはスクレータが行った。
「エレメンタルとは元素の事じゃ。それぞれ地、火、水、風に分かれておって、万物はそれらのどれかに必ず属しておるのじゃよ」
 教養など全くないフォイアーがスクレータの博識を理解するなどできるはずもなかった。しかし、一つだけピンと来るものがあった。
「ふむ…スクレータ殿の言うことは何とも難しい、じゃが、ワシは火を操ることはできるぞ」
 言ってふん、と気合いを入れるとフォイアーは手のひらに火を出した。
「何と、それはエナジーじゃ!」
「エナジー?」
 フォイアーは炎を握り潰した。
「また耳慣れない事を仰る。確かにこれができるのはワシとフォレアだけじゃが、これは珍しい力なのか?」
「珍しいも何も、エナジーとはエレメンタルの力を最大にして外へと放出する力じゃ。ワシら全員大小あるが皆使うことができる。しかし、なぜフォイアー殿が使えるのじゃ?」
「…以前マグマロックへ行ってな」
 フォイアーは語った。
 ここより南に位置する火のエレメンタルロックであるマグマロック。それはまるで活火山のように岩山の洞窟の内部にはマグマが溜まっている。