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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 11

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 そんなマグマロックへとフォイアーは乗り込んだ。
 元々マグマロックは魔物の巣窟であった。しかし、ある時にとても強い魔を持った魔物が住み着いたのである。
 その魔物が暴れれば地震が起こり、それが持つ力によってマグマロックの火山活動が進み、爆発まで起こしていた。
 そうした魔物の仕業による災害に不安に陥った村人を救うべく立ち上がったのが村長であるフォイアーだった。
 フォイアーは単身でマグマロックへ乗り込んだ。数々の自然の罠を乗り越え、彼は魔物のいるであろう最奥を目指し、途中に現れる魔物も蹴散らしながら進んだ。
 フォイアーが何故魔物退治に乗り出したのか、理由はもう一つあった。それは孫娘のフォレアの為でもあったのだ。
 魔物が出現したとほぼ同時に、マグマロックの爆発と共に紫色に輝く石が村へ降りかかった。あろうことか、その石はフォレアに当たってしまったのだった。
 フォレアに当たった石はエナジーストーンであった。エナジーが満ち溢れたエナジーストーンの力に負け、フォレアは高熱を出し、倒れてしまった。
 二度とこのような事がないよう、そして大切な孫娘を苦しめることになった元凶たる魔物を倒すべく、フォイアーは村人にフォレアを預け、退治に踏み出したのだった。
 フォイアーがマグマロックの最深部へたどり着くと、そこにはやはり魔物がいた。かなり太い胴体をしており、長い尾の先は鉄球のようになっていた。鋭く尖った爪も持っており、体色は朱色だった。
 アビス・サラマンダーという名の地の底、マグマのある程奥深くに棲むという地獄の業火の中で生きるトカゲである。
 フォイアーは魔物と戦った。持ち前の腕っ節で魔物へとぶつかっていった。しかし、相手はかなり強く、普段狩りをする動物は愚か、これまで戦ってきた魔物とも段違いの力だった。
 おまけに火を得意とするアビス・サラマンダーにとって、マグマロックの環境はかなり有利なものであり、マグマロックに溢れる火の力を最大限に受けていた。
 アビス・サラマンダーの圧倒的力に敗れ、フォイアーは撤退を余儀なくされた。魔物から逃げる途中に彼は図らずもマグマロックにあるエナジーロックから溢れんばかりの火の力を受けていた。
 命からがら村へと帰り着くと、フォイアーはそのまま三日間病床に伏した。その後、フォレアとほぼ同時に回復し、彼らは自らに感じたことのない力が宿っているのに気付いた。
 フォレアはエナジーストーンに当たった事で。そして、フォイアーはマグマロックの火の力を受けた事でエナジーを授かったのだった。
 フォイアーが話し終えて間もなく、辺りが激しく振動し始めた。地震である。地震はかなり強く、村全体はもちろんだが、大陸そのものをも揺らしているかのようだった。
「地震だ!」
「みんな、身をかがめて頭を守るんだ!」
 ガルシアが言い、全員卓の下に潜るなどして身を守った。
 数分間もの長い揺れの後、地震は終息した。
「おさまった…のか?」
「びっくりしたなぁ、こんなに大きい地震は初めてですよ…」
「恐らく奴が暴れておるのだろう」
 ガルシア達が卓から這い出るとフォイアーは確信を持って言った。奴とは紛れもなくアビス・サラマンダーの事である。
「最早村では地震が来るのは珍しい事ではありません…」
 フォレアが言った。
「奴め、時折マグマロックで暴れてはこうして地震を起こすのだ。こうしてはおれん、すぐにでも奴を討伐せねば…!」
 フォイアーは再びアビス・サラマンダーへと挑むつもりだった。
「止めてお祖父ちゃん、無茶よ。また怪我を、いえ、今度は怪我じゃ済まないわ!」
 フォレアは引き止めた。
「しかし、奴を放っておけばまた大地震を起こされる。それにまたお前のような目に遭う者が出てしまうやもしれん」
 どうあってもマグマロックへ行き、魔物を討伐するつもりらしかった。とてもフォイアーを止められそうにない。
「だったら…」
 フォレアはとんでもない事を言い出した。
「私が行くわ!」
 フォイアーは愕然とした。
「何を言うのだフォレア、冗談が過ぎるぞ!」
「冗談なんかじゃないわ、本気よ!だって私にはお祖父ちゃんよりも強い火の力を使えるんだから!」
 フォイアーはマグマロックから少しずつ受けた火の力によってエナジーを授かり、フォレアはエナジーストーンからそれに宿るエナジーを直接的に受けた。それによりフォレアのエナジーはフォイアーを上回るものとなっていた。
 しかし、相手は火の中で生きる魔物である。いくらフォレアに強いエナジーがあったとしても彼女の火のエナジーは通用するはずもない。
「なあ、だったらオレ達がそいつをぶっ倒しに行ってやろうか?」
 言い争いをするフォレア達にシンが話って入った。
「なんと、お前達が!?」
 フォイアーは驚いた。
「そうね、ご馳走してもらったんだし、恩は返さないとね。シン、たまにはいいこと言うじゃない」
 シバはシンに賛成していた。
「いいでしょ?ガルシア」
 シバは確認する。
「ああ、そうだな」
 ガルシアも他の皆も同意した。
「いや、これは我が村の事、見ず知らずの者に頼むわけには…」
 フォイアーはためらう。
「気にすんなよ、おっさん。オレ達にできるせめてもの礼だ。それに、困った人は放っとけない性分だからさ、オレ達は」
 シンは笑いかけた。
「そういうことです、フォイアーさん。俺達に任せてはもらえないでしょうか?」
 ガルシアは言った。
「…分かった、お前達の言うとおりにしよう。思えばワシが言った所でまた返り討ちにあうだけやもしれん」
「よし、決まりだ。ま、ドーンとオレ達に任せときな!」
 シンは自信満々に胸を張った。
「それじゃあ、私も行きます」
「フォレア!?一体何を」
 なんとフォレアが危険なマグマロックまでついて行くつもりだと言うのだ。
「皆さんはマグマロックまでの道が分からないだろうし、ここは私が案内するわ。それに…」
 フォレアはマグマロックへ行く一番の目的を告げた。
「お祖父ちゃんをひどい目に遭わせたあいつが許せないの!」
 フォイアーは驚くしかなかった。
「何を馬鹿なことを、止めるんだ!」
「ううん、お祖父ちゃんが何て言ったって私行くわ!」
 全力でフォイアーは引き留めようとするが、フォレアも引き下がろうとしない。
「おっさん、フォレアの気持ち、分かってやってくれ」
 シンは連れて行くつもりらしかった。
「シン、まさか連れて行くのか!?」
 ガルシアは驚き、言った。
「まあ、待てガルシア。確かに危険は危険だろうが、オレ達マグマロックの場所を知らねえんだ。ここは案内してもらうとしようぜ。大丈夫、フォレアはオレがしっかり守るからよ」
 ガルシアはまだ迷いがあったが、ついにはシンに説き伏せられた。
「そういうわけでおっさん、お孫さんをちょっと借りるぜ」
「シン、本気で言っているのか!?」
 フォイアーは物凄い見幕で言い寄った。
「まあまあ、そう目くじら立てるなって。フォレアはどうやらなかなかの頑固者だ、祖父さんのあんたが一番分かるだろ?どうせ止めても無駄だって」
 それでもまだフォイアーは認めようとしない。