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こらぼでほすと 風邪2

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 と、説明されて、あ、と、気付いた。どうやら、この対処法は、健康でないと無理だったらしい。薬効の薄い市販薬ではあっても副作用もある。それらを滔々と捲くし立てられて叱られた。絶対に市販薬は飲むな、と、命じられるに至って、ようやく、余計なことをしてダウンしたと理解した。
「・・・すっ・・・すいま・・・」
「喋るなっっ。」
 謝ろうとしたら、間髪入れずに注意だ。喉の腫れが完全に引くまでは声は出すな、と、命じられた。そうでないと再生槽に叩き込む、と、脅されて、ニールも大人しく頷いた。さすがに再生槽は面倒だ。何週間も叩き込まれてしまうので、それだけかかると刹那の誕生日を過ぎてしまう。
「二、三日は安静にしていること。それから、声のほうは、しばらく使わないこと。寺に戻っても喋らないように。腫れが完全に引いて、声帯の傷が治るまで十日はかかる。」
 はいはい、と、頷いて大人しく拝聴していると手が冷たい。あれ? と、そちらに顔を向けたら、リジェネが泣いて、手を握っていた。
「それから、リジェネくんが、かなりショックを受けたみたいだから、それもフォローしてくれ。」
 以上、と、ドクターは言うだけ言うと部屋を出た。
 ショック? と、首を傾げていたら、リジェネがボロボロ泣いたまま顔を上げた。
「ママ、死んじゃダメっっ。」
 え? いや、大袈裟な、と、ニールは苦笑するが、きっと睨まれて黙った。そんなにショックだったのか、と、ちとニールも不思議に思う。風邪で発熱するぐらいで、こんなに泣くのも不思議だ。
「僕、まだ、全然、約束果たしてもらってないよ? それなのに、勝手に・・・・ママ、死んじゃうのかと思ったんだからね。ひどいよっっ、ママ。僕との約束なんか、どうでもいいの? 」
 いやいや、と、首を横に振るぐらいしか動けなくて、ニールは、やっぱり苦笑する。いきなりいなくならないでよっっ、と、叫ばれて、以前、刹那も、こんなこと言って怒っていたな、と、思い出した。いきなり行方不明で途方に暮れたと、刹那が言っていた。状況は違うが、リジェネも同じことを感じたらしい。

・・・・これぐらいじゃあ、死なないと思うけどなあ・・・・


 リジェネには、それほどショックだったのだろう。そう思うとリジェネも可愛いと思う。それに、その言葉は嬉しかった。また死ねない足枷が増えたらしい。リジェネはティエリアよりも精神年齢が低いし、人間とも接触していないから、こういうことは体験していなかったのだろう。




 三日ほどして、ようやく寺に帰る許可は出た。とはいうものの、絶対に喋るな、と、いうドクターの指示はついていたので、迎えに来たトダカも渋い顔をしている。声が出るようになるまで里帰りしては、どうか、と、勧めたのだが、娘は寺へ帰ると言い張るからだ。

・・・だって、三蔵さんに詫びも入れないといけないし、家事も放置してますから・・・・

 と、さらさらとメモ帳に書き付けられるので、しょうがないから、寺へ送ることにした。坊主から許可をもらえば、そのまま里へ連行しようと思っていた。だというのに、亭主はハリセンで女房の頭を張り倒し、「亭主の言うことを聞かないから、こうなるんだっっ。この分は、せっせと世話はしろっっ。」 と、おっしゃった。
「いや、三蔵さん。この子、まだ体調が。」
「声だけだろ? 別に喋らないのは静かでいい。晩酌するぞ。」
 そう言われると、寺の女房は、はいはいと立ち上がる。少し留守していたので食料があるのかな、と、冷蔵庫を開けて調べている。動きは鈍いが、通常モードではあるらしい。適当に冷蔵庫から取り出して準備を始めた。リジェネは、そんなニールの背後にぺタッと張り付いている。今は、傍にいないと悲しくなる、というので、ニールも好きにさせている。
 台所には聞こえないように、「里帰りさせるよ? 」 と、トダカが再度、確認したが、坊主はスパーっと紫煙を吐き出して笑っている。
「適当に動かしたほうがいいと思うぜ? トダカさん。」
 そのほうが余計なことを考えない。たぶん、いつものように動いていたら、適当に電池切れをして横になるから、碌なことを考える暇もないだろう。
「でもね、三蔵さん。まだ、体調は万全じゃないし喋らせちゃいけないんだ。」
「別に、俺と二人なら喋る用事もねぇーからな。しばらくは、キラたちにも来るな、と、伝言しといてくれねぇーか? 年少組が顔を出すと動くからな。それにハイネが、今夜辺り戻って来るから処置はしてくれる。」
 ハイネのラボ引き篭もり期間も終わったらしい。今夜こちらに戻って来る、と、連絡が入った。それなら、ハイネが湿布の張替えやら体調管理はやってくれる。わざわざ、お里で静かにしている必要はない。
「それほど独占したいのかい? うちの婿殿は。」
「そういうことにしておくさ。だいたい、あんたのところだと静か過ぎるだろ? 」
 静か過ぎるのも危険だというのは、トダカも理解している。静か過ぎると、よからぬことを考えて落ち込む方向に流れる。隠隠滅滅とされたら、余計に壊れるので、それを阻止するなら疲れて電池切れさせたほうが安全だということらしい。
「まあ、そうだけど。」
「俺の世話してるぐらいが、ちょうどいい。それに、もどきが、あんな状態じゃ、あいつもオチオチ沈んでられねぇしな。」
 迷子猫が親猫を見つけて安堵しているようなリジェネがニールに引っ付いて離れない。リジェネのほうが、相当に重症だ。ああなったら、しばらくは離れないだろう。それを立ち直らせるのは、ニールの仕事だ。トダカのところに戻ったら、そのフォローもしてしまう。そうなると、ニールは再犯する。だから、きっちりやらないように戒めるなら、一対一で向き合わせておくほうが早い。
「リジェネくんにとって、ショックだったみたいだ。」
「あの程度でショックを受けるとは思わなかった。」
「まあ、イノベイドにとっては人間の死なんてものはスルーしていたんだろうからさ。・・・・愛情を注いでくれる相手が、突然に亡くなりそうになるというのは初体験だったんだろうからね。」
 いきなり世話焼きのおかんが意識がないほど発熱して苦しめば、さすがのイノベイドもショックだったらしい。リジェネにも、ちゃんと管理しないといなくなるんだ、と、気付かせて管理させるようにするには、ちょうどよかったのかもしれない。


 夕刻、ハイネが戻ったら、坊主と悟空はバイトに出勤した後だった。店には顔を出したが、いなかったのですれ違いになったらしい。アスランとトダカから、とりあえず、ニールの体調管理を優先してくれ、と、店から追い出された。予約が少ないから、サポートのハイネは必要でなかったので、そのまんま帰ってきたのだ。
「ただいま。」
 居間に、顔を出したら、テレビはついているが静かだった。こたつには、こんもりした山がある。そちらに廻ったら、ニールとリジェネが毛布を被って寝ていた。もちろん、こたつの上には、ハイネ宛の伝言メモがあって、戻ったら起こせ、と、書いてある。

・・・・なんで、俺がいない時にダウンするかなあ、ママニャン・・・
作品名:こらぼでほすと 風邪2 作家名:篠義