二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

こらぼでほすと 風邪4

INDEX|2ページ/4ページ|

次のページ前のページ
 

「そうそう、それは構わないんです。ただ、アフターフォローをちゃんとしておいてくれればね。ストーカーとか危険だわよ? ムウ。この間からオーヴの子が、わざわざ、特区まで遠征してるらしいじゃないの。」
「あーあれな。なんか勘違いしてるみたいでさ。おまえのとこまで話が流れてるのか? じゃあ、そろそろ片付け時だな。」
「ええ、速やかに処理してちょうだい。」
 これは世間話なんだろうか、と、ニールは首を傾げながら拝聴している。なんかとんでもない話がされている気はする。ビックサイズとはいえ、三十個くらいだと、あっという間に包み終えた。それを皿に並べてラップする。リジェネのほうを手伝って、こちらも終わると、とりあえずサラダの準備でもしておこうか、と、台所に立つ。マリューの料理は、男の手料理チックなものなので、メインしか作らない。副菜までは考えないらしい。とはいうものの、酒のアテにちょっとしたものは入り用だから、それらはニールの担当だ。
「ニール、チクワにきゅうりが食べたいわ。材料は買ってあるから。それと丸干しも。」
「大根サラダをリクエスト。梅肉トッピングでネ。」
「ママ、俺、なんか煮物が欲しいんだが、あるか? 」
「ニール、漬物はあるか? 」
 各人、もちろんリクエストもあるので、はいはい、と、用意する。大して手間のかかるものではないから、準備も楽なものだ。煮物は解凍すればいいので、冷凍庫から取り出して電子レンジにかける。そうこうしていると、ちゃんと五百の餃子は完成した。それらをホットプレートで焼けば、食事できる。リジェネが作ったワンタンは、マリューが手早く茹でてこたつに置いた。多少、おかしな格好のもあるが、それもご愛嬌だ。
「ポン酢にゆずこしょうがベストよ。ああ、ニールは、刺激物抜きにしなさいよ。」
「さあて、カンパイしまショ? 」
 じゅうじゅうといい音がしているから、アイシャが缶ビールを配達する。お疲れ様の掛け声で、プシュと一斉にプルトップが開けられた。ぐびぐびと呑む音と、うはぁーという声が一斉に聞こえる。
「あー労働の後のビールって、なんで、こんなに美味いかなあ。」
「労働? そんなに働いてた? 」
「俺に力仕事させてなかったか? マリュー。」
 餃子をはふはふと頬張っているアマギとアイシャは、鷹夫婦の会話なんぞスルーだ。一応、タネ別に焼いているので、ノーマルモードだ。それを食べて、ビールを飲んで、「うまいなあ。」 という感想だ。ニールのほうには、ワンタンが置かれている。これと、テールスープとトダカたちが運んでくれた惣菜辺りがニールの献立だ。湯気が上がっていて、かなり熱そうなので、ワンタンを半分にして、ふーふーと冷ましてリジェネの口に投げ入れる。口で注意できないから実力行使に出ている。
「あっさりしてる。これなら、つるりって喉を通るよ? ママ。」
 食べさせてもらったリジェネが、ニールも食べられると判断して、食べろ、と、勧めるので、ニールも口に入れた。確かに、つるりと喉を通過していくので、喉への痛みはない。
「それは風邪引きさんメニューなの。ショウガを利かせてあるから、喉にもいいのよ。」
 ひとつだけ、ワンタンだったのは、そういう意図があったらしい。喉に優しいメニューとなると、そういうものになる。普段、ほとんど料理しないマリューでも、これぐらいのことは知っている。
「スープ仕立てにしてもいいし、冬のメニューだわね。」
「これはこれでいいなあ。水餃子より食べやすい。」
「そうでしょ? 私が子供の頃、風邪を引くと母が作っていたのよ。」
 ワンタンも、それぞれ口に入れて感心している。出身地がバラバラなメンバーなので、地域の違いが現れて楽しい。アマギは、風邪の時は、りんごのスリオロシとお粥かタマゴうどんだったなあ、と、思い出している。
「アイシャさんは、風邪引きさんメニューってあるの? 」
「ウチはないわネ。チューブパックの栄養剤カシラ? 元々、風邪を引かないモノ。」
 コーディネーターは免疫力も高いので、滅多なことで風邪なんか引かない。引いてもクスリで翌日には治るから、それほど食事も用意する必要がないらしい。なるほど、そういうことになるのか、と、ニールも聞きながら納得する。ニールの場合は、母親が、特区で言うところのお粥のようなものやスープを作ってくれた。ジャガイモを潰したスープが、一番定番だったと思う。それを作れる人は、もういないし、すっかり特区の料理に馴染んでいるから、食べたいとも思っていなかったが、思い出したら食べたくなる。明日、少し作ってみようかな、と、考えつつ食事していた。


 適当な餃子パーティーは、満腹になった段階で、お開きになった。虎がアイシャを迎えに来たので、アマギも、同乗して帰る。虎は、ついでとばかりに坊主とサルを配達してくれたので、早く帰って来た。
「あーうまそーーーっっ。」
「ちょっと味見する? 本番は明日なんだけど。」
「するする、マリューさん。」
 それなら、もう少し焼きましょうか、と、マリューが冷蔵庫からトレイを運んで来た。それを横目にしながら、ニールは亭主のコートを脱がせている。おかえりなさい、と、一応、声を出さずに微笑んでいる。
「メシは食ったのか? 」
 こくこくと頷いて、ワンタンと女房が口パクする。ふーん、と、亭主は別段、関心もないのか空返事だ。
「もう寝ろ。後は、そこのボランティア夫婦がやるだろ。」
 いえいえ、後片付けが、と、ニールが手を横に振るが、「だからこそのボランティアだろ? 起きてなくていい、と、俺は言わなかったか? 」 と、亭主が睨む。
 まあ、そう言わないでくださいよ? と、女房がにっこりと微笑むと、しょうがねぇーなあ、と、亭主も笑っている。
「とりあえず、俺は風呂に入る。それと、お湯割りだ。」
 はいはい、と、コートをハンガーにかけて女房が頷くと、亭主は風呂に消える。ニールは、一言も喋っていない。ただ、口パクしているだけだが、ちゃんと会話は成立している。それを黙って観察していた鷹夫婦は苦笑している。
「もう、ラブラブ過ぎて中てられちゃうわ。微笑ましいわね? 」
「新婚さん期間は過ぎてるはずだけど、相変わらずだなあ。」
 どう見ても仲睦まじい夫夫っぷりだ。どちらも、ノンケで、その気がないと言い張っているのが、虚しい気がする。ニールのほうは、ホットプレートの前で焼きあがるのを待っている悟空に、『先に風呂に入ってくれ。』とメモを掲げている。
「えー餃子食ってから入る。元栓は俺が締めるからさ。」
『じゃあ、先に鷹さんたちに入ってもらってもいいか? 』
「うん、それでいい。てか、ママ、風呂入ったのか? 」
『今日は、もういいよ。』
「温まったほうがいいんじゃね? なあ、マリューさん。風邪の時は風呂で温まったほうが良いんだろ? 」
 メモと言葉の会話だが、悟空とニールは、すっかり慣れたものだ。さすがに、悟空には、ママの口パクは読み取れない。
「そうね、温まって、そのまま寝たほうがいいと思うけど。」
「ママ、俺らは、まだ三蔵さんと飲むから、先に風呂に入って寝なさい。後片付けは、俺らがやっておく。」
作品名:こらぼでほすと 風邪4 作家名:篠義