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Wizard//Magica Infinity −6−

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………


結局、俺は学校に登校した。
周りは特になにも変化はない、普段の日常が送られている。
そんな中、俺は別の日常が迎えられる。
俺一人、何かから取り残された気分だ。
案の定、コヨミは今日も休みらしい。ぽっかりと空いたその席に彼女のカバン一式はなかった。

「コヨミ…」

俺はカバンを机の横に掛け、そのまま机に突っ伏した。
登校したのは良いが、なにもやる気が起きない。
それよりも、今日の放課後が気になってしょうがなかった。
それまで…本当に居眠りでもしているか…。


・・・



−ハルトせんぱ~い…−

「ん…んあ…あっ…」

「こんにちわ!ハルト先輩!」

寝ていたようだ。
気がつけば4講目の授業は既に終了、昼休みに入ったらしい。
つまり、俺は本当に朝のHRからこの時間まで寝ていたみたいだ。

「ったく、だれか起こせよ…はぁ」
「その調子だとずっと寝ていたみたいですね」
「あ、あぁ…」
「…?どうしたんですか、ハルト先輩?」
「いや、別に…」

そうだ…輪島のおっちゃんがそうだったみたいに、俊平もコヨミによって作られた存在なんだよな。

「俊平…お前…」
「ハルト先輩、真実を知ったんですね?」
「え…」

待て。
俊平は今、なんと言った?
真実…何故それをお前が知っている?

「ハルト先輩が考えてること、なんとなくわかりますよ?」
「なっ…俊平、お前」
「全部教えます。僕は知ってるんです…この村がコヨミさんが作った世界だってことも…僕はもう既に死んでいることも」
「っ!!」
「着いてきてください!そこでちょっと、話があるんです」

俊平は俺に背を向け、教室の出口へと歩き始めた。
俺はそれに連れられるようにそそくさとその後を追う。

階段を登り最上階へとたどり着く。
埃っぽい空間にポツンとあるドアを開けると広大に広がる青空が目に映った。
ここは屋上、今、この場には俺と俊平しかいない。

「…ずっと、昔のことです」
「え?」
「僕、実はハルト先輩に救われたんです」
「俺が…お前を?」
「はい!…全てはあの日から始まった。面影村が豪雨に襲われ、運悪く森に雷が落ちてそこから引火、あっという間に面影村は大火災に覆われました」
「…なんだって…?」
「そして僕は…家の中でおばあちゃんと二人で避難してて……そのまま…」
「俊平…そっか…お前も…死んでたんだな」
「はい」

俊平も俺と同じだった。
俺が真実を知るずっと前から、もうこの世界の謎にたどり着いていたんだ。

「だけど僕はハルト先輩とは違います。僕の意思は、コヨミさんの願いによってこの世界に存在していられるんです」
「待てよ、そしたらお前は…」
「はい、最も僕の肉体は既にありません。本当に…この世界でしか実体を保てないんです。だけどこの世界にはもう時間はありません」
「待て、どういう意味だ?コヨミも一昨日言ってたんだ。この世界には時間が無いって。何が起きている?この世界はどうなってしまうんだ」
「ハルト先輩、この世界はあなたを中心に生み出された世界なんです。だけどハルト先輩は気付いてしまったんですよ。この世界が虚構世界だと、あと、無意識中にハルト先輩は望んでしまったんです。この村を出て、世界を感じたいと…つまり、ハルト先輩の望み通り、夢が終わろうとしているんですよ。夢から覚め、現実に戻れ…と」

俺が望んだ事が全てのトリガーだったのか。
そして気付いた世界と、コヨミの真実。

「ごめん…俊平」
「謝らないでください、ハルト先輩!それにさっきいったじゃないですか、僕はハルト先輩に救われたって」
「ははっ…俺、お前に何をしてやれたかな?」
「そんなことないですよ、だって僕、この世界に来る前、友達なんて居なかったんですから」
「おいおい、冗談だろ?お前みたいな奴に友達できないとは思わないけど」
「それでも、本当にいなかったんですよ。僕は死ぬ前、お婆ちゃん子だったんです。学校から帰ってきたらすぐお婆ちゃんの傍に寄って、友達と居るより、お婆ちゃんの下にいる方が楽しかったから。だけどこの世界に来て、僕はあなたと出逢いました。うるさいぐらいやかましい僕を全く嫌な顔をせず、どんな失敗もやれやれと受け入れてくれるあなたに出会えたんですから!」
「俺、そんな良い奴じゃないよ」
「そんなことないです!僕はあなたに救われたんです!生きているときにやり残した友達との楽しい時間、僕の希望はあなたに救われました!こんな世界でも友達を作ることができるんだって、あなたから教えて貰いました!」
「っ!」
「ハルト先輩は、僕の希望だったんです!」

目頭が熱くなる。
おっかしいな。俺…何、感動しているんだろう。
俺は別に人に褒められることは何一つしちゃいない。

なのに、目の前でがむしゃらに笑う後輩の顔を直視できなかった。

「ごめん…俊平…」
「もう!泣かないでくださいよハルト先輩!僕だって…うっ…僕だってぇ…」
「俊平…」
「本当は…もっと生きたかった…大人になりたかった…だけど…世界は許してくれません…」

世界は残酷だ。
目の前で泣き崩れる後輩に何一つ希望の光を与えてくれない。
なら…どうすれば…

「俊平…」

あ、そうか。

「は、ハルト先輩?」

希望が手に入れられないのなら、


俺が…俺が。


「俊平、安心しろ」



そして、俺はこう言った。



「俺が、お前の最後の希望だ」



ふと、口から出た言葉。
真っ白の頭から自然にでた言葉。

「……ぐすっ……はい!」
「あっ…えっと」

別にかっこつけようとしたわけじゃない。本当に自然と口から出たんだ。
何故、俺はこのタイミングでこんな言葉を口から出したのだろう。

だけど、俺は目の前の後輩を救ってあげたかった。
ただ…それだけだった。

作品名:Wizard//Magica Infinity −6− 作家名:a-o-w