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とある2人の無能力者5話

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人々の喧騒や熱気から無縁の静かな公園。中々の面積のあるこの場所は蒸し暑いこの時期に涼むには最適の場なのだが今はほとんど人の影が無い。時間帯からすると一番賑やかになってもおかしくはないが学園都市の現状を考えると必然的なのかもしれない。聞こえて来るのは遠くから微かに響く自動車の音、そして季節外れの蝉の鳴き声。そんな公園内の片隅にあるベンチに一人の女がいた。白地のシャツに丈の長いジーンズ。ただその彼女が着ている服は不自然にも中途半端な所から破れてその先が無くなっていた。その姿だけで十分違和感丸出しなのだが何より一層違和感を引き立てるのは彼女の傍らに立て掛けてある極端に長い刀。彼女自信の身の丈以上はあるだろう刀の名は七天七刀と呼ばれかつては墮天
子すら切り裂いた恐るべき刀である。場所が場所ならコスプレイヤーの一人として溶け込めてもおかしくはないがここは世界一の科学力を誇る超最先端の都市、学園都市である。銃刀法違反で連行されても何ら問題はない。そして実は刀何かよりも彼女自身の方が化け物じみてることも見た目からでは想像出来ない。彼女が世界に数十人といない聖人の一人であり墮天子を両断出来るだけの実力の持ち主だということも知る者は少ない。
で、そんなイギリス聖教の必要悪の教会『ネセサリウス』所属の聖人、神裂火織が何故わざわざイギリスから日本の学園都市まではるばるやって来たのかと言うと…


「土御門とは連絡を取っていますが彼も現在の学園都市の状況を把握しきれていないようです」

簡単に言ってしまえば学園都市の視察…というあたりか。現在の学園都市は都市内から外に出る人々の行動を著しく制限している。当然これらの対象者にあたる人々からは何千にも及ぶ苦情が発せられているがこれに対し学園都市上層部は沈黙を貫いている。
そういった経緯からこうしてイギリス清教からわざわざ派遣されてきたのだが未だに詳しい情報は入手出来ずにいた。

「…はい、何かわかり次第また連絡します。では…」


というかそもそも肝心の土御門が何も掴めていないという辺りが既におかしい。上層部に精通しているはずの彼が何の情報も得られない…もしかして義妹の舞花という少女にうつつをぬかしているのでは、とも思ったが流石に考え直した。

当たり前のことだが彼女は魔術サイドに所属している身なので学園都市には土御門くらいしかアテがない。そしてその彼が駄目となると正直お手上げ状態だ。

結局のところ、てのうち用がなくなった為木陰を探してここにいきついた…という訳なのだが。

(…先程から漂ってくるこの甘い匂いは?)

興味は別のところに向いていた。
七天七刀を片手に匂いのする方へと歩くこと数十秒。ようやく匂いの元に辿り着いた彼女の前にあったのはクレープの屋台だった。
そしてその前には二人の女子学生が。
一人は綺麗な黒髪をストレートロングにしていてもう片方の学生はショートへアの頭の上に花飾りを載せていた。

(花飾り・・・学園都市では最近ああいうファッションが流行りなんでしょうか)

正直なところ普段はあまり自分の服装について考えることがないのでファッションというと何か新鮮な気分にもなるがただ、頭の上に花飾りをのせているのは果たしてファッションになるのかは不思議なところである。
見ていると2人の女子学生たちはクレープを食べているようだった。
話し方やら雰囲気を見ている限り綺麗な黒い長髪をしている子は天真爛漫な感じが見て取れる。
もう片方の少女は若干控え目な……感じたまま言うと、隣の少女に振り回されていそうな娘に見えた。
神崎はふと自分のするべきことを思い出したかのように二人に歩み寄っていった。

「すみません、少し聞きたいことがあるのですが」

もともと自分がここに来た理由は視察のようなものだ。
唯一の手がかりである土御門が何もしらないとなると後は直接学園都市に所属する他のものに聞くしかないだろう。

「え?あ、はい何でしょう?」
「しばらく海外にいたので今学園都市で何が起こってるのかイマイチ分からないのですが…何か知っていますか?」
「はぁ……え~と、あまり詳しい内容までは話せませんが現在の学園都市内で凶悪犯が出たんですよ」
「凶悪犯?それはテロか何かの武装集団のような?」
「いえそういうのとは違うんですが……相手については特に要求がなく無差別に事件を起こしているって感じなので、捜査が行き詰まっているといった状況だったんですけど」
「けど?」
「私の上司にあたる方から頂いた報告だとアンチスキルが何らかの情報を掴んでいるみたいで、難航状態からは抜け出せたみたいです」
「今の学園都市の状況からみて……まだ解決には至っていないようですね」
「そうですね…次の犠牲者が出る前に収集がつくよう全力を尽くしていますのでその点は心配しないでください」
「そうですか……お忙しい中どうもありがとうございます」
「いえ、そんなことないですよ」

(これ以上は聞き出せませんね、それ以上は知らないのか……それとも知らされてないのか。どちらにしてもこちらが予想していた以上に悪い方向に向いている……本当はそれが分かっただけでも十分収穫でなんですが…)


これ以上はここにいても仕方が無いと分かった彼女は軽く頭を下げ背を向けるがすぐに顔をしかめる。
収穫だ、と思う反面気になる点があったからだ。
彼女が土御門から得ている情報だと学園都市に存在する大きな治安組織、代表的なところだとアンチスキルやジャッジメントなどの組織はいまだに核心的な情報を掴めておらず事件解決の可能性は限りなく低い、というものだ。
だが彼女の話だとアンチスキルは既に手掛かりとなる情報を掴んでいて事件解決に近付いている、となる。
(この場合どちらかが嘘をついている可能性がありますが…少なくとも花飾りの女の子があの状況で嘘をつくとは思えません。となると土御門が、とういうことになりますが…)
ただ嘘をついているとは言ってもあくまでも可能性の話だ。
この二人の情報は同時に手に入れたものではないので当然数時間の間に状況が変わった可能性も十分にある。
どちらにせよもう一度土御門と連絡をとる必要がある。


 
背に先ほどの彼女たちの気配が遠ざかっていくのを感じながらその場を離れようとしてふと、思い出した。


「あの、すいません。もうひとつよろしいですか?」


彼女の呼びかけに少女二人がもう一度振り返る。
そう、もうひとつ訊くことがあった。
神埼は若干間をあけ二人に問いかけた。


「そこの屋台のお勧めはなんでしょうか?」
















「ふ、不幸だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「アンタねぇぇ、約束の時間から二時間も遅れるってどういうことよ!?」
「そ、それには深い事情があってだなえーとつまり」
「避けないでちゃんと当たりなさいよね!他の一般人に当たったら大変なことになるでしょうが!」
「大変なことになってるのはお前の異常な攻撃性と俺の日常生活……だっ!」

日の強く差す日中の中、激しい鬼ごっこ繰り広げているのは上条当麻と御坂美琴だった。