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『唯人』

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天聖と天魔
遥か過去彼方の三百年前の時より互いに決して相合わぬ道を行き、
そして今、サスケは一族の長の直系の子孫として責任と使命を掲げ、
信長は城を護るべき一族の者として持つべき思いでも求めるべき力でもなかったが、
(……お前の考えなりに行き着いていた三百年前からの信念)
それを掲げ時を経て再び対峙しようとしていた。
代え難き者を失ってからは大義名分の思考を掲げ合いながらも互いへの憎しみを膨らませながら、決戦に向かい、そして戦い合った。
サスケは自らの身を引き裂いてしまいたくなる程の大き過ぎる信長への憎悪を。
(お前は……)
破壊の権化ではあったが、“覇王”と人々から仇名はされていたのだ。(……だから知らぬとは言え、天智が智知将として忠臣となっていた。)その、本来は怜悧冷徹な男が激情に駆られ、戦いの最中に叫び出す、それ程のサスケへの憎悪を。

戦い合いサスケは生き信長は倒れた。
だがその戦いで生きたか死んだか、勝ったか負けたかは大した違いではない。
生きたサスケがこの先、生き残れぬ状態となったからではない。
サスケは生き信長は倒れ、どちらも互いへの強過ぎる憎悪は失せている。

形などなかった責任も使命も信念も、傍らに会った大切な者達、者、全てがなくなった。

首を中心に広がる信長の血溜まりと、赤茶や赤に変色した自らの体をみて、サスケは思う。
俺達がこの血を持っていなかったら、と。

束の間の夢を抱く。それは到底叶わぬ願い、あり得ぬ儚い夢のまた夢。
小さな幸せ、と呼べる物に囲まれ過ごし
そこには彼がいる。お前の傍らにもその己がいるのだろう。
お前の最愛の……。

この血を持っていたからこうなった。

聖と魔相合わぬ名を冠し辿りつく先そして基のはじまりは一つ。
サスケも信長も血の宿命、己の血、血の力には逆らえなかった。
一族の強き者達であったからこそ逆らえなかったのかもしれない。
作品名:『唯人』 作家名:シノ