『唯人』
三百年と、加え前。
思い考え、男は城の力を得ようと覇者にならんとした、それは己の血の内
三百年前
直系の男は男を討たんとした、それも己の血の内
三百年後、今の凶明十五年
続き、我こそと十名の戦鬼、乱世に立つ。
全て己の血の内。
殺すべき信長はいない
生かしたかった彼はもういない。
体は硬直し見えなくなった目だけは恐らくまだ動いている。その時が近い。
サスケの心を覆うものはただ喪失感……
自らがここで果て力尽きその後、いつになるかは分からぬが
己は来る。サスケはそう確信する。
やって来るのは恐らく天火だろう。貧しい者達にこの城の富をと乗り込んで。
天火がいつ来るかは分からない。その時には自分はもう肉が落ち乾いた物と成り果てているかもしれない。それを見て天火は……いや、もしかしたらここに来るかも知れぬ他の十人衆はどう思うだろう。
天魔と天聖が転がっている、と笑うだろうか。
直系の血を絶やすとは何事かと驚いた後、自分を怒るだろうか。
直系の血。そんなものは。もう。生を奪う力など。
もう見えぬ。また、サスケは信長の倒れる方向を見た。
彼が倒れてから意識が失せるまで呟いていた言葉、
それは勿論……