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たとえばこんな未来の話

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そして、言う。
「それでもオレと一緒にいてくれて、感謝してる。おまえがいなければ、オレはここまで来られなかった」
凛は海外遠征先からも、よく連絡を取ってきた。
根が寂しがりやであるのを知っている遙はそれにできるだけ対応するようにしてきた。
携帯電話の存在を忘れがちだったのが、凛が海外に行っているあいだは持ち歩くようになった。
今回の世界水泳のときも、現地まで応援には行かなかったものの、時差がかなりあったが、凛の電話に付き合った。
でも、それは、自分がそうしたいからそうしただけだ。
感謝なんてしなくていいと思う。
「競泳の選手でいられるのは、あと何年か、わからねぇ」
凛は話し続ける。
「だが、選手やめたあと、おまえと、ゆっくりとでも、一緒に泳いでいけたら、いい」
そう告げられて、遙は眼を見張った。
それから、眼をそらす。
今、自分が思ったことを読まれたくなかった。
嬉しいと思ったことを、知られたくなかった。
ふいに、凛の腕が伸びてきた。
抱きしめられる。
その状態で、凛が言う。
流暢な英語だった。
遙は眼を閉じた。
それから、口を開く。
「日本語で言ってくれ」
少し間があってから、凛の声が聞こえてきた。
「……おまえがいなければ、オレは寂しくてたまらない」
今度は日本語だ。
よっぽど恥ずかしいのだろう、ボソボソと小声で話している。
「オレにはおまえが必要だ」
それから先は、さっきの凛の流暢な英語でも、英語が不得意教科だった自分でも聞き取れて、わかっている。
それでも言わせたい。
だから、これは自分のワガママだ。
凛は続ける。
「オレはおまえを愛している」
その声が耳から胸に落ちて、心にしみた。
今の自分の顔が凛には見えなくて良かったと思う。
きっと今の自分は笑っているのか泣いているのかわからないような奇妙な顔をしているだろう。
遙は腕をあげた。
それから、昔よりもたくましくなった凛の身体を抱きしめた。












作品名:たとえばこんな未来の話 作家名:hujio