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ドキプリSS 「独りぼっちじゃない 真琴と猫の数日間」

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「いやぁ、マジうれしぃッスよ。まさか、あのまこぴーに拾ってもらえるなんて」
 飼い主と名乗るその男は、アンをそそくさと持ってきたケージに入れて礼を言った。
 だらしないパンク風の服装に金髪の飼い主は、悪びれる様子を微塵も見せない。真琴はムッとしながら男を睨みつけていた。
「あなた、どういうつもり?」
「えっ?」
「アンはずっと寂しそうにしていたのよ。それなのに……」
 真琴は更に睨みを利かせたが、男は口をへの字に曲げたまま態度を変える素振りを見せない。
「ああ、そうなんだ。悪かったね」
「わざわざすみませんね」
 真琴の態度に気がついたDBは、なんとか体裁を取り繕おうと感謝を述べる。
「あっ、そうだ」男はケージを真琴に見せ付けて、「まこぴー、せっかくだからさぁ、ここにサイン描いてよ」
 真琴の怒りが更に強まった。アンの気持ちを考えると、この男の態度はアンが可愛そうになって迎えに来たという様子ではない。
「あの、そういうのはちょっと……」
「いいじゃんさぁ、サインくらい」
 少し間を置いた後、「いいわ」と真琴は返事をした。
「真琴……」
「やりぃ!」
 うれしそうに声を挙げる飼い主。真琴は言われるがままにケージにサインを描いた。
 もちろん真琴は好んで描いたわけではない。ただ、一刻も早くこの男が帰ってくれることを望んでいた、それだけだ。
 ケージにサインを入れると、男は「じゃあ」とだけ言って足早に去っていった。
 帰る瞬間、真琴はふとアンと目が合った。

 ――さよなら、真琴。

 なんとなくだが、アンがそう語りかけてきている、そんな気がしてならなかった。