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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL 12

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 ガルシアは急ぎ卓を立ちピカード達が呼び止めるのも無視して急ぎシバとジャスミンの共有する寝室へと向かった。仲間とは言え、女の部屋に無許可で入るのははばかれたが、船室の外ではシバとシンが言い争う声がしており許可を取れる状態ではなかった上に、つい夢中になってしまっていた。
 部屋のドアを開けると、シバのベッドの隅に彼女に預けておいたシャーマンの杖が立てかけられていた。ガルシアはそれを手に取る。
「突然駆け出したと思ったらこんなとこにおったか…」
「ガルシア、いくら妹さんの部屋だとはいえ女性の部屋に勝手にはいるのは無粋ですよ」
 後からピカード達が来て、ガルシアの真意が分からないでいる様子だった。
 しかし、その真意はすぐにガルシアの口からなされた。
「ヘスペリアへ行くぞ」
     ※※※
 ヘスペリア大陸を流れる川は大陸の中央に溜まる巨大な湖から幾重にも枝分かれしている。
 大陸はほとんど険しい山々の連なる山脈に支配されており、人の集まれるような、住めるような場所には到底思えない。
 しかし、この大陸のどこかに何かがある。サテュロス達が目的としていた場所である。必ずヘスペリアには彼らに、ガルシア達にとって必要となるものがあるに違いなかった。
 そう信じてガルシア達はヘスペリア大陸へとさしかかった。陸地を歩いて回るのは非常に困難と判断し、彼らは大河を越え、ヘスペリアの湖に船を進めた。
 その湖はまるでカラゴル海を彷彿とさせる場所であった。
「こりゃあ湖というよりは海だなあ…」
 シンが思わず口にした言葉だった。
 更にしばらく湖を進むと四方向から水の流れ込む川が見えた。それらの先のどれかがガルシア達の求めるものがある、一行は皆そう判断した。
「一体どこを行けば…」
 一つ一つ川を登って調べていたのでは日が暮れてしまう。マストの上から進行方向を調べようにも高さが足りず、シバの予知能力をもってしても全ては見えない。
「私に任せて、兄さん!」
 ふと、ジャスミンが何か自信のある考えがあると言わんばかりに胸元を叩いた。そしてすぐに『プロミネンス』を発動し、炎を翼へと変換し大空へ飛び上がった。
 ジャスミンの飛んでいる高さは船のマストを軽く越え、ガルシア達からは彼女がとても小さく見えた。まるで赤い羽で空を翔る鳥のようであった。
 ジャスミンは高空から西から東へと進む方向を眺めた。すると、東の方角、四つに分かれた川の右から二つ目の先、何やら煙が上がっているのが見えた。
 それは他ならぬ人の住む集落のあるという証拠である。ジャスミンはそれを皆に伝えるべく羽ばたきながらゆっくりと船の上まで降下した。
「みんな、この先に村があるわ!」
 ガルシアは驚き確認した。
「本当か!?」
「本当よ、煙が上がってるのが見えたの」
「そいつは間違いなく集落があるな。行ってみてそこの人間に話を聞いてみるのはどうだ?」
 シンが言った。
「ジャスミン、その煙が見えた方向はどちらですか?」
 ピカードが訊ねてきた。ジャスミンは村へと通ずると思われる川を指差した。
「あの右から二番目の川、あの先に村があると思うの」
 ジャスミンの言う川は広い川幅を持ち、流れもだいぶ緩やかである。航行するのにもそう苦労はしそうになかった。
「よし、ではジャスミンを信じてあの先へ行ってみよう」
 ガルシアによって柁が切られた。
 その後の道のりは川を楽々と越え、いよいよ大陸に足を踏み入れた、というときから険しいものと化した。
 このヘスペリア大陸は元々山々の連なる険しい大陸である。そのような大陸に降り立っても楽に道を行く事ができるのはあろうはずもないことは自明であった。
 起伏の激しい道なき道をしばらく進むと、ガルシア達は洞穴を発見した。
『プリディクト』
 入るべきか否か迷っている所でシバが予知のエナジーを発動し、その先に何があるのか調べようとした。
 洞穴の上はかなり高い山になっており、さすがのジャスミンでもこの山を越えるほどの高さを飛翔するのは不可能であった。故にここではシバの予知能力が使われた。
 シバの脳裏に映ったのはさほど入り組んでいるわけでもなく、険しくもない自然のトンネルを過ぎた先にある一つの村であった。
 ジャスミンの空からの確認、さらにシバの予知能力によってもう村の存在は確定した。
 しかし、シバの脳裏に映ったのは村だけではなかった。
「みんな、武器を用意して。この先に敵がいるわ」
 洞窟内には魔物の影が見えた。倒さなければ先へは進めそうもなかった。
「へへ、上等じゃねえか!ぶっ倒してやるぜ」
 シンは嬉々と短剣を抜きはなった。
「油断するなよ、シン」
 ガルシアもシルバーブレードを抜き、ピカードもブロウメイスを手にとった。
『プロミネンス!』
 ジャスミンは詠唱し、体に炎を纏った。
「行くぞ!」
 ガルシアとシンを先頭に一同は洞窟内へと駆け込んだ。
 そこにはやはりシバが予見した通り魔物が立ち往生していた。
 人間の身体をし、狼の爪と牙を持つワーウルフ、騎士のごとく剣と盾を操る魔犬、ドッグウォリアー、さらに翼竜ワイバーンまでもいた。
「なかなか骨のありそうな奴らじゃねえか!」
 シンは短剣を片手にドッグウォリアーへと突進した。ドッグウォリアーは素早く反応し、盾でシンの一撃を防ぐとすぐに細身の剣で反撃してきた。
 シンは危なげなく後ろへ飛び退いた。
「へん、なかなかやるな!」
 ドッグウォリアーは牙を剥いた。
「おし、この犬っころはオレに任せな!」
 行くぜ犬っころ、とシンはドッグウォリアーと戦いを始めた。
 ワイバーンの爪がピカードの肌を掠めた。虚空に僅かながら血が舞った。
「くっ…!」
 ピカードはワイバーンの素早い動きに翻弄されていた。終始飛び回り、彼の使う武器自体も打撃が中心で剣のように小回りが効かない。その打撃を与えようにも素早いワイバーンには掠りもしない、空振りの隙を突かれ、ピカードは体中傷だらけとなっていた。
『プライウェル』
 輝くベールがピカードを包み込み、受けてきた傷が塞がっていった。
「なかなか手強い相手ですね…」
 ピカードは自身を回復させるとすぐに立ち上がった。
「奴の動きを止められればいいんでしょ?」
 後ろに控えていたシバが言った。
「そういうことなら私に任せておきなさい!」
 言うとシバは詠唱した。
『イリュージョン!』
 ワイバーンの周りに霧を発生させ、魔物の視界を奪った。しかし、同時にピカードにもワイバーンの姿が捉えられなくなった。
「慌てないで、ピカード」
 次はピカードに向けてエナジーを放った。
『イマジン』
 青い球体がピカードの瞳に向けて放たれた。それが当たると彼の瞳が青く輝き始めた。
「これは…!?」
「あなたの目だけに真実の領域を開いたの。どう見えるでしょ?霧の奥が」
 ピカードにはしっかりと見えていた。霧の奥で右も左も分からなくなったワイバーンがその動きを止めていた。
「ええ、見えますよ!あの魔物かなりうろたえてますよ」
 シバの狙い通りであった。
「さあ、どっちかの効果が切れる前に奴を倒して」
「任せてください!」