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僕は摂氏36度で君に溶ける

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エルヴィンが兵団本部に帰ってきたのは、それからさらに三日後のことだった。

リヴァイはこれまで以上に稽古に精を出し、今では立体機動を完全に使いこなすようになっている。ハンジからその報告を受けたエルヴィンは、よくやったな、とリヴァイの頭を撫ぜた。恋心を自覚してからは、そんな軽い接触さえもリヴァイの心拍数を急上昇させる。しかし持ち前のポーカーフェースで何事もなかったかのようにエルヴィンと接した。

エルヴィンの度重なる会議の末、一週間後に壁外調査が行われることが決定したそうだ。リヴァイは安堵した。自分の存在意義を証明できるときが来たということに。



久しぶりにエルヴィンの自宅へ帰り、リヴァイは何故か安心した。そもそも帰る、という表現からしておかしいのかもしれないが、リヴァイは家の中にエルヴィンの気配があるのにとても心が安らいだ。

それと同時に、複雑だった。ここは、エルヴィンが家族と暮らした家だ。二日だけ借りたあのベッドだって、元は妻とエルヴィンが二人で使っていたものだろう。今、エルヴィンはおそらく寝室で家族の思い出に抱かれながら眠っている。
そこに自分の入る隙間など少しもない。

抑えなくては、いけない。この衝動を。

つきん、と痛む胸を上から押さえてリヴァイは客室のベッドの中でころんと寝返りをうった。
作品名:僕は摂氏36度で君に溶ける 作家名:かん