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無未河 大智/TTjr
無未河 大智/TTjr
novelistID. 26082
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とある夢幻の複写能力SS

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少し走ると、特徴的なツンツン頭が見えてきた
その隣には、白い修道服を着たシスターが見える
「あいつが同居人か」
「うん、そうだよ…」
アリサが呆れたような声で返事をする
どうしたものかとよく見てみると、そのシスターが上条に噛み付いていたのだ
「なんか嫌な音が聞こえたぞ」
「大丈夫、あれくらいじゃ当麻君は死なないから…」
「いやまあ、そうだろうけど」
アリサは叶と会話しながらもずっと当麻のことを見つめている
「あっ…」
だから見てしまった
当麻がシスターのことを撫でて宥めているところを
「アリサ、見るな!」
叶は咄嗟にアリサの後ろに回り込んで、その目を左手で隠した
しかしそれは遅きに失した
叶は、自分のアリサへの行為を理解しながら、同時にアリサの当麻への行為も理解していた
だから叶は、アリサの恋路を邪魔しないように勤めてきた
だが、すでに遅かった
「アリサ…」
叶は、手に熱い何かを感じた
それはアリサの顔を流れて行き、地面に落ちた
アリサは、泣いていた
「…分かってたの。当麻君の気持ちが私に向いてないなんて…。でも、さっきまでは信じてなかった。…もう、あんなの見せられたら、そんなの嘘だって…」
アリサの言葉の中に嗚咽が混じる
きっと…いや、確実に泣いている
叶はそれを知覚していた
不意に、後ろのシャットアウラが動き出した
叶はそれを右手で制し、目で語りかける
行くな、と
シャットアウラは渋々了解し、そこに留まった
「ねえ、叶君…」
弱々しい声が聞こえた
「…なんだ」
叶は精一杯気持ちを押し殺して答える
「…もう少し…このままでもいいかな…」
叶は、無言でそれをよしとした
そして空いている方の手でアリサを優しく抱きしめた
空には、星が煌めいていた…