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無未河 大智/TTjr
無未河 大智/TTjr
novelistID. 26082
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とある夢幻の複写能力SS

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第二話 常盤台の超電磁砲



俺は非常に困っている
許可は得た
無論やましいことなどない
だがいたたまれない気分しかしない
それもそうだ
なんたって俺がいる場所は
…男子禁制の、秘密の花園なのだから…



数日前
風紀委員第一七六支部
そこに所属する男子達が集まり、密談を広げている
「いいか、恨みっこ無しだぞ」
「わかってるよ。これは勝負だ」
「ああ。これはゲームであって、遊びではない」
「危ない発言してんじゃねーよバーロー」
「なあ、俺帰っていいか?」
もちろん、そこに所属する天岡叶も強引に参加させられている
主催いわく、「全員参加しなければ正々堂々とした勝負にならない」そうだ
何故かそれに叶以外の全員が納得し、こうして無理矢理参加させられている次第である
「ダメに決まっているだろう。お前はベスト4まで残ったんだ。死ぬまで戦え」
「…へーへー」
「さあ、ショータイムだ」
その一言で開戦する
残っている人数は四人
それぞれがそれぞれを(叶は嫌々ながら)睨む
そして始まる
聖戦(マリオカート)がっ!!!!!!
「ちょっとー、男子達さー」
「ふざけてないで早く決めてよ、一緒に来る人をさぁ」
女子達がぶーぶー言い出す
それを聞いた男子達も柔らかく反論する
「まあ待て。もうすぐ決まる」
「やっと俺達が憧れた秘密の花園へ入れる糸口が見えたのだ。それを逃すわけにはいかん」
「いやいや、だからって俺を巻き込む理由にはならないだろ」
叶がコントローラーを操りながら反論する
だがその目は画面から離れていない
「ったく、ディスプレイは置いといて、誰がWii持ち込んだんだよ」
「それはここの備品だ」
「予算はゲーム機買うための金じゃねぇ!」
「レクリエーション用だ」
叶は突っ込む気力をなくした
だが目の前の事に関しては手を抜いていない
「おーっと、天岡君首位に踊り出たァ!」
「天岡、手ぇ抜けよぉ!」
「別に行きたくないんだろぉ?」
「行きたくないんじゃなくて面倒臭いだけだ。あと勝負事は別だ」
叶は冷静に言葉を吐きながらも目は真剣だった
「二位の倉橋君も必死に食らいつく!」
「いっけー、トゲゾー!」
「ここで四位の高岡君がトゲゾーこうらを発射ぁ!」
「だが甘い」
叶は高橋がトゲゾーを発射する寸前にBボタンを押してブレーキをかけた
すると二位の倉橋が一位になる
そしてもう一度アクセルを踏んでストックの赤こうらを飛ばして一位に戻った
「おっとこれは!」
「やべっ」
叶が後続を突き放して行く中二位と三位が合流し、そこにトゲゾーが突っ込んだ
「なんと天岡君、一瞬だけ二位に転落してトゲゾーのタゲを倉橋君に渡し、そして三位の三野君とともにトゲゾーの餌食にさせたぁ!これは戦略勝ちだ!」
叶はそのまま余裕でトップを走り、後続を突き放して一位でゴールした
「ゴォォォォォォォォォォル!勝者は天岡君だァ!」
「やべっ、勝っちまった。拒否権って存在します?」
「「「「「「しません!」」」」」」
叶の拒否権はそこにいた女子達によって阻まれた
「って何でお前らが拒否するんだよ」
「だって天岡君が来てくれれば百人力だし」
「他の男子って使えないから…」
実はここにいる全員が叶の能力について理解している
つまるところ叶がおよびになるのは別におかしいことではない
「チクショー、天岡!あとで絶対報告しろよ!」
「何をだよ!」
「もちろん、学舎の園についてだ」
「えー、めんどくせー」
「写真でもいいぞ」
「その辺の女子にでも頼め」
叶は群がる男子達を冷たくあしらい、その場から抜けた
明日だ
明日の予定は、既に変更が効かなくなっていた



と、いうわけで
現在叶は学舎の園の目の前だ
隣には叶の母親で常盤台中学の教師をしている天岡祐樹が歩いている
無論、付き添いと常盤台中学までの案内役だ
「悪ぃな母さん。休日に付き合わせて」
「いいのよ、今日は学校に用事があったから。それより、許可証は持ってる?」
「勿論」
叶はポケットからパスポートのようなものを取り出して見せた
これが学舎の園立入許可証だ
本来男子禁制の学舎の園へ入るためのもので、主に風紀委員や警備員に対して発行される
ただし、許可を取ることは厳密には不可能である
普通は学舎の園の外に住む女子生徒に向けて発行されるものだからだ
しかし叶は手に入れるのにそんなに苦労はしなかった
無論統括理事長の口添えがあってこそなのだが
「しっかしあんた、よく統括理事長と謁見できたわね…」
「いやぁ…。まあ、研究者時代にある程度あの野郎とは話したことあるし…」
「統括理事長様を『あの野郎』呼ばわりか…。ねぇ、その人ってどんな人なの?」
「…見た目だけなら若いけど、結構歳食ってるんじゃないかな…?」
―生命維持装置に繋がれた変人なんて言えねぇ…
叶は苦笑いをして答えた
「そう、なんかよく分からない人だって事はわかったわ。さて、行きますか」
「…まだ躊躇してるけどな…」
「つべこべ言わずにさっさと歩く!あんたが受けた仕事なんでしょ!」
「いやぁ〜〜〜」
叶は変な声を上げつつ祐樹に引っ張られて行くのだった
そしてそのまま母親に引っ張られて行き、叶は常盤台中学の目の前まで来ていた
「じゃあ叶、頑張れ」
「ちょっと待て!」
着いた瞬間、祐樹は校門をくぐってその場を去ろうとした
言わずもがな叶はそれを止める
「何よ。あんたがぐだぐだしたせいで時間なくなりそうなのよ」
「いや、集合まであと三十分ほどあるんだよ!!せめて誰か来るまで待ってください!」
叶は土下座をする勢いで頭を下げた
勿論そんな事はせずに斜め四十五度のところで留めたが
「だから時間がないんだって。てか、そんなんだったら誰か誘って来ればよかったじゃない。私とじゃなくて」
「そんな事したら一発で警備員か風紀委員に職質されるわ!!!!」
「まあ、それもそうか。でも、時間がないのもホントなのよね。てことで、頑張れ」
「うおぉい!!」
「念のために腕章付けとけば?それである程度は変な目は避けられるんじゃない?」
「人ごとみたいに…」
「人ごとだし」
ばっさりと斬り捨てられた叶は、そのまましばらく立ち尽くしているのだった
その後三十分ほど常盤台の学生から変な目で見られては腕章を眺められて納得される時間を過ごした
「あっ、天岡くーん!」
そして集合時間
ようやく待ち合わせ相手が揃った
「…よう谷崎、有田、津島。遅かったな」
「どぉしたの天岡君。なんかげっそりしてるね」
彼女は谷崎遥(たにざき はるか)
茶髪のポニーテールが特徴だ
「いやいや、無理もないでしょ。女子ばっかの所に置いてけぼりにされたら…ねぇ」
この娘が有田雫香(ありた しずか)
黒髪ロングの女子だ
この二人は叶と同じく黄鐘大付属の学生で、同じ支部に所属する風紀委員だ
「いやいや、分かってんならもっと早く来てくれよ」
「そうは言われても」
「女の子は時間かかっちゃうし」
雫香と遥が順に答える
「いや…谷崎はともかく、有田に言われるのは釈然としないな」
「どういう意味よそれ」
「そこだよ雫香ちゃん」
言い忘れていたが、雫香は男勝りな気性である
故にあまり男子達から言い寄られたりはしない