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無未河 大智/TTjr
無未河 大智/TTjr
novelistID. 26082
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とある夢幻の複写能力SS

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「自分で言ってて悲しくないか?それ」
叶がツッコミをいれ、それを受けて二人の少女が笑う
少し笑ったあと、シャットアウラが叶の質問に答えた
「ふふふ、悪い。君の質問には私が答えるよ、天岡」
シャットアウラは、笑いを堪えるために少し深呼吸をし、それから答えた
「…といっても、なんでアリサが戻ってきたのか私たちにもよくわからないんだ」
「どういう事だよ。お前があの時みたいにまた生み出したんじゃないのか」
叶は真顔で言い放つ
すると刹那、上段回し蹴りが少年のこめかみに向かって飛んできた
もちろん叶はそれを頭一つ分後ろに反らして避けた
能力を使わずによけたのは、少女を傷つけないためだ
もっとも、こんなことをするというのは叶がデリカシーというものが欠けていると判断したからであろうが
「デリカシーを装備し直して来い」
「悪い悪い。冗談だよ」
「悪い冗談は止せ。あと、訓練しているはずの私の蹴りを何故避けられる」
今度はシャットアウラが眉間にシワを寄せて聞いた
「いやいや、お前動きにキレがなかったし、服装のせいで」
本当は能力を使って先に察知しただけである
「…柄にもないよな…こんな恰好」
先程も言ったとおり、二人は喪服だ
その恰好でこの慰霊碑の前にいる
それはつまり
「親父さんを、弔いに来たのか」
「ああ。それも、昨日決めたことだ。…アリサに言われてな」
シャットアウラは、アリサに顔を向けた
叶も倣ってアリサの顔を見る
「…うん。アウラちゃん、なんか悩んでるみたいだったから。ホントにここに来てもいいのかって。だから私言ったの。私たちのお父さんには、感謝もしないの?って。そしたら昨日急に、行くって言い出してね。さっき、泣きながら―」
「ちょっ、アリサすとっぷ!」
なにかいけないことを暴露し始めたので、シャットアウラは柄にもないような大きな声でアリサを制した
「ははは、そうか。んで、親父さんに言いたいことは言えたのか?」
「ああ。まあな」
よく見ると、その目の周りは少し赤く腫れていた
だが、そこを指摘してやるのは野暮というものだ
なので、叶は黙っている事にした
「話が逸れたな。悪い」
「いや、俺が振ったことだし。悪かったな」
「それだと不毛な謝り合戦が始まっちゃうよ二人とも…」
アリサの的確なツッコミに、また笑いが起こった
「それもそうか。そんで、ほんとに鳴護には何があったんだよ」
「うーん、さっきもアウラちゃんが言ったとおり、私たちにも分かってないんだよね。気づいたらアウラちゃんの隣で寝てたって言うか…」
「寝てたって…」
「やましい意味はないからな、天岡。ホントのことだ。一昨日のことなんだが、朝起きたら隣でアリサが寝てたんだ」
叶は聞いた情報を元になんともまあ間抜けな絵を想像していた
幸い、それに二人気づくことはなかった
「…っと、つまりほんとによくわからないと、そういうことか」
叶の言葉に、二人はそれぞれ違う肯定の言葉で答えた
「まあ、そこはちょっと俺も気になるところだが、それよりも…」
「何かあったのか?」
「ああ。ちょっと事件が起きそうな感じだな。手伝ってほしいのはあるんだが、流石にこんな時に頼むほど俺も馬鹿じゃないさ。…じゃあ、鳴護、シャットアウラ、またゆっくり話そう」
「うん。じゃあね、天岡君」
「天岡、またな」
それぞれ別れの言葉を交わし、叶はその場を去った
「…事件って、何なんだろうか…」
「さあ…。天岡君が私たちを関わらせたくはないって言ってたし、そうしたほうがいいんじゃないかな」
「そうなんだろうな…。さて、帰ろう」
「そうだね」
アリサは振り向き、手に持っていた花束を慰霊碑の前に置いた
そしてシャットアウラとともに手を合わせて目をつぶる
これは、死者に対する弔いの儀式だ
こうすることによって、死者は安心して成仏できる、という暗示のような物だ
二人の少女はそれをしていた
故に、襲撃者に気づくことは出来なかった
「っ!?」
シャットアウラが気づいた時、轟!!という音と共に自分達の周りにぶ厚い壁が出来たところだった
おそらく、厚さは五十センチメートルといったところか
すぐにシャットアウラはアリサを自分の影に隠した
「何者だ」
冷静な声でシャットアウラは襲撃者に声をかける
「うーんとぉ、桐原史郎とだけぇ、名乗っておこうかなぁ」
「面倒臭い喋り方だな。目的は何だ。誰に用がある」
シャットアウラは、桐原史郎と名乗った少年に目線を合わせた
そして桐原は、シャットアウラの問いに答えた
「目的かぁ。そうだねぇ…。用があるのはぁ、天岡叶かなぁ。クライアントの依頼でぇ、ちょぉっと付き合ってもらいたい事があってねぇ。そこの後ろの娘ぉ、ちょっと借り―」
「誰が!!」
桐原が言い終わる前に、シャットアウラは動いていた
まずシャットアウラは着ていた喪服を即座に脱ぎ捨てた
アリサは思わず目を隠した
しかし、それが検討違いだったことをすぐに知る
アリサが次にシャットアウラを見た時、その目を大きく見開いた
なんとその姿は、いつも黒鴉部隊の隊長として動いている時のボディスーツ姿だったからだ
「ちょっとアウラちゃん!あの下にずっとこんなの着てたの!?」
「というより、いつもだぞ。突然呼び出された時のためにな。…あと、最近は君を護るためにも…」
「語尾が聞き取りにくいんだけど…」
「気にするな。それより奴だ」
シャットアウラは太ももにあるホルスターから拳銃を取り出し、相手に向けた
「悪いが、天岡に何の用があるかは知らないが、そんな事のためにアリサを連れていかせることはできん。諦めてもらうぞ」
前進黒の少女は、構えた銃の引き金にかけた指に力をこめる
「悪いけどぉ、そんな銃じゃ今の僕には敵わないかなぁ!」
「愚か者が…」
シャットアウラは桐原の足元に向けて銃弾を数発発射した
「何処を狙ってるのかなぁ」
「悪いが、この銃の殺傷能力は通常と変わらない。だが」
刹那、地面に埋め込まれた銃弾が爆発した
「何ぃ!?」
反応が遅れた桐原は、全力でその場から飛びのいたものの、足に多少傷を負ってしまった
実は、打ち出された銃弾は彼女のために用意された、レアアースで出来た銃弾だったのだ
「やるねぇ。希土拡張かぁ…。初めて見たよ」
桐原は、少し傷を負った部分に力を込めた
すると、その傷が回復し、流れて出ていた血糊以外が元通りに修復された
「んな…」
「悪いけどぉ、色んな能力を使えるのは彼だけじゃないんだぁ!!」
桐原がそう叫んだ瞬間、その体が消えた
何事かと思った時にはすでに、シャットアウラの体はもといた場所から飛ばされていた
「…あの場所からテレポートして、私の後ろに回り込んで蹴りをいれたのか」
「ご名答ぉ。馬鹿ではないみたいだねぇ」
「ぐぅ…」
「じゃあぁ、もういよねぇ。この娘は連れていくねぇ」
桐原はそういいながらゆっくりとアリサの元へと歩いて行く
「させるか!」
シャットアウラは、持てる力を全て使ってアリサを助けようとした
少女は持っている拳銃を桐原に向け、引き金を絞った
「だからぁ、そんな能力は効かないんだってぇ」
桐原は余裕をかましてその場から動こうとしなかった
無論、当たる寸前でよけて相手の隙をつくためだ
しかしそこが甘かった