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無未河 大智/TTjr
無未河 大智/TTjr
novelistID. 26082
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とある夢幻の複写能力SS

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「さあぁ、恋査ちゃん。そいつらをぶっ潰せ!」
すると恋査は無言のまま二人に襲い掛かった
だが二人はすぐに反応し、その攻撃をよけた
しかしその刹那、恋査は光球を生み出しそこからビームを発射した
叶はそれを能力を用いて弾いた
「なるほどな…。お前が複数の能力を使えたのは、こいつの脳波をお前に合わせていたからか」
やはり木原幻生に聞いていた情報は、脳波コントロールに関する物だったようだ
叶は地面に降り立つと、同じく複数の光球を生み出した
「だがァ、模造品はオリジナルよりは劣る!それを忘れた訳じゃァねェよなァ?」
その口調はすでに変わっていた
叶は、光球からビームを発射した
それは一つに合わさり、太い一条のビームとなった
「確かにぃ、それは定説だねぇ。でもぉ…」
桐原は話ながら、恋査の前に空間移動した
それと同時に叶の放った粒子波形高速砲に向かって手を延ばした
そしてビームが手に触れる寸前で、手でビームを弾いた
すると、そのビームが叶に向かって飛んできた
「…っ」
しかし叶はそれを体で上空へ弾いた
「…やっぱり、思ったとォりかよ…」
「そうさぁ。まだ僕と恋査ちゃんの脳波リンクは形成されているよぉ。つまりぃ…」
桐原はニヤリと笑って言った
「君達の相手はぁ、複写能力とほぼ同等の力を持った能力者二人って事だよぉ」
「うそ…」
美琴は驚いて目を見開いていた
反面、叶は冷静だった
まだ勝機はある
紅葉が頼んだという助っ人
そいつらが来れば、勝てる確立は大幅に上がる
叶は、その正体が誰なのかをすでに知っていた
「御坂、恋査の方を頼めるか」
「えっ、いいけど…。なんで」
「桐原は俺の元同僚だ。それも踏まえて、俺がけりを付ける」
「わかった。負けたら承知しないから」
「頼ンだ」
二人は背中合わせに話したあと、もう一度別れた
叶は桐原に
美琴は恋査に
それぞれ立ち向かって行った
―あの桐原って奴があいつの元同僚ってことは、十中八九妹のことよね
 それなら私も言いたいことはあるけど、今はあいつに任せるしかないわね
 それなら、私はこいつを倒す!
美琴は、そのように思っていた
勿論、恋査を見据えて
「超能力者第三位、超電磁砲、御坂美琴ですか」
「どうやら、私のことは知ってるみたいね」
「もちろん、どのように対処すればいいかも承知しています」
恋査がそういった瞬間、彼女の体からゴキゴキッ!!という鈍い音が鳴り響いた
するとその体の周りに漂っていた光球が消え、逆に帯電するようになっていた
「あなたに対して有効な能力は、電撃使いだと判断しました。これより、迎撃体制に移行します」
「これマジ?」
そしてぶつかった
電撃と電撃
学園都市最高峰の、発電系能力が
「どちらもAカップ同士、スペックの差に問題はありません」
「そんなの関係ねぇ!!」
…ある意味でも、不毛な戦いになりそうだ
一方、叶と桐原は
「すごいねぇ、予想外だよぉ!!思考の成長速度が予想を上回っているよぉ」
「てかよォ、どっちが脳波をコントロールされてるンだ?もしテメェの脳波がいじられてるンだとしたら、もォすぐ倒れるンじゃねェのか?」
双方能力を飛ばしながら会話を続ける
叶は主に原子崩しと電撃使いを組み合わせて
桐原は電撃使いで攻撃して一方通行で守りながら
それぞれ対峙していた
「もちろん恋査ちゃんさぁ。彼女はサイボーグだけどぉ、脳は人間の脳と大差ないからねぇ」
「ほォ…。だったらもォすぐあっちが倒れるか?」
「それはないなぁ」
桐原は、余裕で叶をいなしながら話していく
「だってぇ、"あの"恋査ちゃんは脳波いじってないしぃ」
「なンだと?」
叶は光球からビームを打ち出した
その光を桐原は軽々と避けた
しかし、その光条は虚空に消えず急反転して桐原の死角から飛んできた
無論それが少年の貫くことは無く、その体に当たった瞬間全く明後日の方向へ飛んで虚空に消えた
―不意打ちも無理か
 分かっていたが、ほとんど俺を相手にしているようなもんだな…
「さてぇ、天岡君の不意打ちも無効化したことだしぃ、そろそろ説明しますかねぇ」
桐原は地面に降り立ち、十メートルほど離れた叶を見据える
二人ともその気になれば一気に詰められる距離だ
だが双方動かなかった
「さてぇ、天岡君にはなんでぇ、僕が"あの"恋査ちゃんと言ったか分かるかなぁ?」
「…ひとつだけ浮かンだのは、多重人格って事だ。だが、それだと説明がつかねェから、悩ンでたところだ」
「そうだねぇ。でも、当たらずとも遠からずだねぇ」
「案外的は射ているとでも言いてェのか?」
「そうだよぉ」
桐原は一呼吸置き、それから話しはじめた
「君は人間の人格が何処にあるかぁ、知っているかなぁ?」
「…一説では、脳幹にあると言われてるらしィな」
「そうだよぉ。そしてそれは本当だったぁ。実験の段階でぇ、何人の恋査ちゃんが死んだことかぁ…」
「…てめェ…まさか…」
叶は眉間にシワを寄せて桐原を睨んだ
「そうだよぉ。彼女の脳幹はカートリッジ式になっていてぇ、"今の"恋査ちゃんが死んだら"次の"恋査ちゃんに取り替えるぅ。実験中に十八回ほど死んだっけぇ」
「…つまり、今恋査の中にあるのは十九個目の…」
「あー、それは違うよぉ」
桐原は叶の言葉を遮った
そして恋査を指差して言った
「確かにぃ、あの中には恋査#019っていうナンバリングの人格も入っているよぉ。ただしぃ、今機能しているのは#020だよぉ」
そこまで言われて、やっと叶も気づいた
つまり
「…つまり、今恋査の中にあるのは#019と#020の人格で、脳波コントロールしてあるのは#019の方ってことか…」
「そういうことぉ」
これが、桐原が複写能力と同等の力を得ている理由だった
桐原は恋査の中に#019と#020を強引に装着し、#019と自分の脳波を同期させていたのだ
「…つまり、どォにかして恋査#019を引きはがせばいィってことか」
「させないけどねぇ」
刹那、二人の距離が一気に縮まった
距離を詰めたのは叶の方だ
地面を蹴ってその力のベクトルを全て推進力にまわして音速に近い速度で距離を詰めたのだ
勿論、桐原も反応した
一気に距離を詰めた叶から少し遠ざかり、身の回りにあった砂鉄を巻き上げて地面から刃を発生させた
叶はその刃からコントロールを奪い、逆に桐原を襲い掛からせる
しかし桐原は叶の能力に干渉し、砂鉄の剣をただの砂鉄に戻した
「ちょっとは手加減しろよ」
「嫌だよぉ。こっちだって君を殺せって言われてる身だしねぇ!」
「何?」
「言ったとおりだよぉ。僕はクライアントから恋査ちゃんの開発とぉ、君の処分を任されたのさぁ。もっともぉ、君の処分はあの時君に邪魔されたおかげで依頼された内容だけどね」
「あの時って、大覇星祭か!」
大覇星祭の時、桐原は番号無しを連れ去り、学園都市を壊滅状態にしようとした
それは勿論、叶によって阻止されていた
「本当はねぇ、あの時番号無しをさらったのはぁ、ミサカネットワークに用があったからなんだよぉ」
「ミサカネットワーク?」