Wizard//Magica Infinity −7−
「っ!」
「ふぅ~……ふぅ~……」
気がつくと私の周りには巨大なクレーターがいくつもできていた。
おそらく、先程の光弾が落ちたのだろう。
…と、いうことは…私は先程の攻撃を受けていない?
何故?
「あっぶなかった…なんとか抑えられたな」
「そ、操真ハルト!」
「間一髪…だったね」
操真ハルトは変身を解除していた。状況から察するに、先程の状態ではないみたいだ。
「操真ハルト、今のは一体」
「もう一人の、俺だよ」
「もう一人のあなた?」
「そう…ちょっと前にね、色々あったんだけどその時に俺の中から現れたんだ。俺もよくわからない」
「ねぇ…操真ハルト…」
「…ん、何?」
「昔、…私達はもしかして、既に出会っていたのかしら…」
「っ…なんだよ急に」
「そんな気がしたの、でも、もしそれが本当なら…」
「本当なら?」
「あなたは、魔法少女になってしまった私を救いにきたの?」
我ながらなんと恥ずかしい質問をしているのだろう。
だけど、私は会っていたんだ。彼に。
一週間前ではなく、遥か昔から。
「そうだったとしたらさ…俺、君にどんな顔をして会えばよかったのかな?」
「…馬鹿ね」
そう、今更。
遅すぎるわよ…。
「そんなの、私が知っているわけないじゃない」
「…やっと見れたよ。ほむほむの笑顔」
「えっ…」
「遅くなったけど、ちゃんと会えたでしょ?」
気がつけば、私は笑っていた。
なんでだろう。彼の顔は昔から何一つ変わらない。
「さて…そろそろ時間だ」
「何?」
「ほむらちゃん、よく聞いて。俺は今のこの姿を保っていられるのが限界なんだ。じきに奴がまた覚醒する。そして俺の中から…『奴』が生まれる」
「奴?」
「きっと、ほむらちゃんも次第に理解できるようになるよ。だから…これでお別れ。きっとこの他の世界でも、俺は君とはもう二度と接触することはないと思う。俺達は出会っちゃ行けない存在だったんだ」
「何言って…」
「だから…今のうちに時間を戻して過去に戻るんだ。」
そう、この時に操真ハルトの忠告を理解しておくべきだった。
いや…理解するべきだった。
そしてその彼の言葉の意味を察するべきだった。
「待ちなさい、操真ハルト!さっぱり理解ができないわ…せっかく、また会えたのに…」
「大丈夫だよ、ほむらちゃん。きっと、また会えるって」
また会おう。
その言葉が、今ではどれほど重いものになっただろうか。
「だけども…私はまだ『ワルプルギスの夜』を…」
「それは違うよ…ほむらちゃん」
彼は強引に私の左腕を掴み、砂時計をセットし始めた。
そして起動させる−−−。
そして…操真ハルトは無理やり満面な笑顔を作り、最後に言った…。
「俺が『ワルプルギス』なんだ」
「っ!!ちょっと待ちなさ−−−」
そこで…この世界での私の意識は途絶えた。
作品名:Wizard//Magica Infinity −7− 作家名:a-o-w