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Wizard//Magica Infinity −7−

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魔女結界。
いや、正確には既に結界内。

「っ!…くっ!!」

私はいつも通り、同じ戦い方で使い魔を倒していく。
時間を繰り返す度、魔女結界がいつ、どこで、何が原因で発生するのかを完全に周知していた。最初こそ手こずった敵も、何度も戦えば自然と攻略法が身に着いていく。
なので余計な魔力も浪費せず、効率よくグリーフシードを入手することができる。

なにも考えず私に突っ込んでくる使い魔共を私は盾から取り出したアサルトライフルで乱射し、全て排除していく。自分の周りにいる使い魔が消えた事を確認し、数秒でリロードを終わらせそのまま最新部へと走っていく。無駄な時間は許されない。魔法少女に変身しているだけで魔力を消費してしまうのだ。ただでさえ並の魔法少女より魔力が少ない私にとって長期戦は不利…だれかサポートが入れば…いや、そんな甘い考えは既に捨てた筈だ。

「っ…」

私は愚かだ。

意識していても誰かを求めてしまう。
自分が弱い証拠だ。

そうこう考えている間に最新部へと私は到着する。

だが、そこに魔女の姿は無かった。
その代わりに、かつて魔女が支配していたこの空間の真ん中に、黒いローブを身にまとい、腰には手の形をした変なベルト、顔は仮面で隠された人物が立っていた。


「…また、あなたね」

「やぁ、暁美ほむら、ちゃん」

私はこの男を知っている。
いや、それでは昔から知っていたと思われてしまうだろうか。
正確には1週間前に知った。

あの夜。
うつろ状態の私に近寄ってきた変な男。
何を考えているのかさっぱり読めない人物。

「どういうつもりかしら、私は魔女討伐以外に興味は無いわ。あなたと交戦するだけ時間の無駄…と昨日も話したつもりだったのだけど」

「そういう訳にもいかないんだ。これ以上、魔法少女達に好き勝手されちゃ困るんだよ。君たちはもう戦わなくて良い。君たちの力は『希望』なんかじゃない、それは…君たちの『絶望』なんだ」

「……たとえ、『絶望』であっても……」

言葉ではきっと通じない。

「この力は、今の私には必要なのよ」

両手にサブマシンガンを持ち、彼、「操真ハルト」に弾を余すことなく放ち始めた。
地面に次々と実筒が落ち、全ての弾を撃ち尽くし彼の周りに煙が上がる…が、私は気を休めることなく、左腕に装着している盾から今度は取り回しやすいハンドガンを構える。

「『ライト』プリーズ!」
「はあっ!!」

「うっ、目くらましっ!」

突如、煙の中から眩い光が放たれ、一瞬私は目をつぶってしまった。

「ふっ…おっと、やるね!」
「…っ!!」

彼の右手に構えた剣が私の頭上に振り下ろされ、盾でそれをガードする。

「本気…じゃないみたいわね。そんな曖昧な覚悟で私を倒そうとしているのかしら?」
「まぁ、正直俺も女の子を手にかけることに良い気はしないんだよ」
「答えなさい。あなたは一体何者?なぜ魔法が使えるの?目的は何?まぁさしずめ、私達のソウルジェムと言ったところみたいだけど」
「知っているんだよね?ソウルジェムと魔法少女の末路」
「えぇ、知っているわよ…全て」

彼の剣を弾き、間合いを開けて何発か撃つ、しかし全て彼の剣で弾かれてしまった。

「だったら何故魔法少女であることを受け入れるんだ…その力はいずれ自分の身を滅ぼす力なんだぞ」
「あなたにはわからない、この力は、…この力は!」

彼女−まどか−を助けるための…私の最後の希望なんだ。

「っ!!うそっ」
私は時間停止をして操真ハルトの足元に爆薬をセットし、再び時を動かすと共に起爆させた。
大爆発が起き、余波が私の身体を突き抜ける。

「この力は…手放さない」


この場にいてはいけない。
私が私で無くなってしまいそうだ。
私は振り返ることなく、魔女結界内を後にした−−−。


作品名:Wizard//Magica Infinity −7− 作家名:a-o-w