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Wizard//Magica Infinity −7−

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「……夢、昔の夢ね」

朝、いまだ覚醒しない頭を上げてベッドから降りる。

「………。」

今日は学校だ。
いくら魔法少女だからといって、普段の勉強もおろそかにするわけにはいかない。
パジャマを脱いで、洗面所で顔を洗い、制服へと着替えた。

そしてカバンを持ち、家を出る…。
そして始まる。
今日も、学生としての一日が−−−。

・・・

「はい、今日の講義はここまで」

そして、あっという間に一日が終わった。
今日の授業が終わったのであれば私はもうここにいる必要は無い。
カバンに必要なものだけを詰め込んで私はそそくさと教室を去ろうとした・・・が。

「待って!ほむらちゃん!」

誰かが私を引き止めた。

「何かしら、『鹿目まどか』」

後ろに振り返って私を引き止めた人物を確認する。その正体は、鹿目まどか だった。
まどか はおどおどしく私に話しかけようとしていた。
彼女がこのような態度になるのは私のせいだ。
私はこの時間軸では誰にもかかわらないように常に一人で生活してきた。
無論、友達なんてものはいない。
よそよそしい彼女の後ろでは 美樹さやか がじっとこちらを睨んでくる…まどか を困らせるな、とでも訴えているのだろうか。

「えっと、あのっそのっ…ほむらちゃん!あのね、もうちょっとね…その…」
「何か私に用かしら?用件は何?」
「うぇっ!あ、はいっごめんなさい!」

…なんであなたが謝るの?

「あのね、ほむらちゃん…その、もうちょっとさ、クラスの皆と仲良くしてほしぃな~って思って…」
「何故?」
「えっと…だってさ…ほむらちゃん見てると、どこか寂しそうな気がして…」
「別に、私はこれまで一人が寂しいなんて思ったこともないし、孤独を感じて辛いなんて思ったことは無いわ」
「それでもっ!私にはそう感じちゃうのっ!ほむらちゃんの気持ちは、わかんないけどっ…だけども……っ…」

まどか は勢い任せに私に友達を作れと必死に訴えて来る。
全くあなたは…一体どこまで他人思いなのだろう。
この子はどの時間軸でも同じだ。
必死に誰かの為に行動し、…そして

いつも誰かの為に命を落とす−−−。

「…なんで…いつも…」
「え?」
「……いえ、なんでもないわ。それじゃあ」

「あっ、待ってよ!ほむらちゃん!!」


私はそのまま振り向かず、教室を後にする。
それでも彼女は必死に私に何かを訴えてくる…その言葉の一つ一つが…私には重かった。

「ほむらちゃん!私はこれからも、ほむらちゃんのお友達だからねっ!絶対だからねっ!」

「………。」

本当に…あなたは…。



・・・


「なぁほむらちゃん、今日は魔女退治に行かないの?」
「……今日は休ませてもらうわ。あと、何事も無かったかのように自然に私に話しているみたいだけど、実際、私とあなたは敵同士ということを自覚しなさい。操真ハルト」

帰宅途中、後ろから誰かの気配があったので、時間停止させて探ってみると、こっそり私を監視していた操真ハルトを発見してしまったので特になにもせず時間停止を解除して何事も無かったことにしようとした。

やはり、あの程度の攻撃じゃ彼は倒せなかったらしい。
どうやら今日の彼は全くといって良いほど私と交戦するつもりが無いみたいだ。
もしそうだとしたら、とっくの前に私を襲ってきても良い筈。
今日は無警戒でも良いだろう。

「どうしたの?今日は私の持つソウルジェムを奪うつもりはないのかしら」
「俺も今日は休み。ほむらちゃんとは戦うつもりもないし、無理矢理奪うつもりもない」
「本当に、あなたは一体何を考えているの?ソウルジェムを奪うなら今が絶好のチャンスじゃない」
「俺は別に悪人じゃない」
「私達、魔法少女から見ればあなたは立派な悪人よ」

そうだ、この力は絶対に渡さない。
この力は 鹿目まどか を救う為に必要な力だ。
一体、操真ハルトはこの力を奪ってどうするつもりなのか…いや、余計な詮索は止めておこう。
それに、今まで何度か時間軸を移動してきたが、彼とはこの見滝原で会ったことがあっただろうか?
今回が初めて…の筈なのだが、最初からずっと出会っていたような気がする。
そう、あの…一番最初の時間軸の頃から…ずっと…。

「あなた、私の家まで着いてくる気なの?」
「暇なんだよ、良い?」
「良いわけないじゃない。さっさと自分の家に帰りなさい」

作品名:Wizard//Magica Infinity −7− 作家名:a-o-w