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yamatoへ… ユキバージョン 1

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  「どうしよう…。」

ユキはその場で返事をしてしまったがさてそれでいいものか塾の自習室で考えていた。




  「どうした?全く進んでいないね。何か悩み事でも?」

自習室でぼんやりしているユキに浜崎が声を掛けた。

  「あ…すみません…。」(ユキ)
  「いいんだよ、たまには息抜きも必要さ。森さんは頑張りすぎ…授業まで
   時間があるから近くでお茶でも飲もうか。」

浜崎が時計を見る。ユキの授業まで2時間以上あった。

  「ほら、行くよ。」

ユキは慌てて端末を閉じると浜崎の後ろを追いかけた。






  「どうぞ。」

浜崎はコーヒーを飲みながらユキに優しく笑いかける。ユキの眼の前にはケーキが3つもあった。

  「先生、こんなにたくさん…。」
  「子供は遠慮しない。さぁ好きなのから食べて。」

ユキは“いただきます”と言って真っ赤ないちごが乗っているケーキの生クリームを少しすくって食べた。

  「甘い…。」

その甘さに顔もにっこりする。

  「やっと笑った。ずっと難しい顔をしてたよ。学校で何かあった?」

浜崎はコーヒーを一口飲んだ。

  「え?」

ユキが聞き返す。

  「悪い事じゃなさそうだけど…。」

浜崎の一言にユキは頷く。

  「そうか…悪い事じゃなければいいんだ。」

ホッとした顔にユキは苦笑いする。

  (先生に話してみようか…)

親は絶対反対するからギリギリまで話したくない…だけど一人で抱える問題にしては大きすぎる…ユキはじっと浜崎の顔を見た。

  「先生、絶対に誰にも言わない、って約束してくれる?」

ユキが小さな声で聞いて来た。

  「この話、学校の先生と私しか知らない話。親も知らないの。」

浜崎は黙って聞いていた。

  「きっと私の親は反対する。だけど私の気持ちは変わらない。だからこの
   作戦が成功するまで誰にも言わないって約束できるなら…」(ユキ)
  「出来るなら?」(先生)
  「先生にだけ話してもいいかな、って思って…。」(ユキ)
  「そんなにすごい事なんだ。」(先生)
  「うん、自分でもびっくりしてる。でもチャンスかも、って思ったの。」(ユキ)
  「チャンス?」(先生)
  「そう。多分…これを逃したら一生後悔するような大チャンス。」(ユキ)
  「わかった。秘密にするよ。絶対誰にも言わない。」

浜崎はそう約束してくれた。

  「じゃぁ先に先生の秘密を暴露しよう。もし先生が約束を破ったらそれを
   みんなに言っていい…ってどうだろう?」

浜崎は交換条件を出してきた。ユキはクスクス笑いながら

  「別にいいです。先生の秘密…きっとテストで0点取った事がる、とか
   そんなじゃないですか?」

と言うと浜崎が真剣な顔で

  「わかっちゃったら秘密にならないな。」

と笑った。



  「今日…学校で校長室に呼ばれたんです。担任の先生と一緒に…。そして
   そこに来たのは軍の偉い人…議長の人でした。」

ユキが静かに話し始めた

  「私に…予備生になれ、って。軍の訓練生の予備生があって…。でも私予備生
   になりたくない、って言ってその代りお医者さんになれる医学部に通いたい、
   って言ったんです。そしたらトウキョウシティの中央病院付属の大学の
   医学部に通わせてくれる、って…。」

ユキの話を浜崎は身を乗り出して聞いていた。

  「すごいじゃないか…森さん。それは絶対行くべきだよ。何があっても
   チャレンジするべきだ。そうか、おめでとう!うん、すごい!先生の方が
   興奮してるよ!うわぁ…そうか。とうとう森さんも夢に向かってスタート
   切るんだ!いや、おめでとう!!」

浜崎はウンウン、と頷く。

  「先生…。」

ユキも急に現実だと思えたのか視界がぼやけてほほに温かい物を感じた。

  「やだ、私、涙が出て来ちゃった。」

ユキが自分の涙を拭く。

  「ははは…今頃現実だ、って思えたからだろう?そうか、よかったな。よし、
   今日はお祝いだ。ほら、ケーキ食べろ。甘いものは脳に必要な栄養素だか
   らなぁ!アイスティ足りなかったらお代わりもらうから…。」

浜崎はまるで自分の事の様に喜んだ。