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yamatoへ… ユキバージョン 2

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  「地下に移動、って言ってたっけ…。」

ユキは荷物をクローゼットに入れてベッドを壁から倒して身を投げ出した。柔らかいフトンがユキを包む。

  「独りなんだ…。」

ユキは急に心細くなった。覚悟はしていたが実際独りになってみるとかなり心細い。

  (ユキ、ガマンよ。まだ始まってもいないのに!)

ユキはクローゼットの扉に掛けたスーツをじっと見つめた。








トウキョウシティは随分前に住んでいた事がある。卒業した小学校の前はトウキョウシティにいた。だけど今も連絡を取っている友達はいない。引っ越したのは小学校3年の時。4年生の時一年海外へ渡り5年生からの二年間、九州で過ごした。

  「低学年じゃ覚えてないわ。」






退屈しのぎにトウキョウステーションへ出てきたが小遣いがないのでどこのお店に入る訳でもなくプラプラしている。多少大人っぽく見えても所詮先日まで小学生。平日の昼間に歩いているととても目立つ。

  「キミ。」

ユキは声を掛けられた。ユキは返事もせず声の方を向く。

  「どこの中学生?昼間にここにいるってどういうこと?」

警察官だった。

  「先日小学校を卒業したので…。」

ユキが申し訳なさそうに言うと

  「ご両親は?連絡するから…。」

警察官は信じようとしない。

  (困った…どうしよう…まさか九州に電話かけるわけにいかないし…)

ユキが悩んでいると警官はさらに強い口調になる。

  「教えられないのか?」

ユキは強い口調の警官に対しひるむことなく睨むような目つきで見つめた。

  「ちょっと署まで…。」

と警官がユキの右腕を取った時、ユキはその腕を払いのけ通信機を取り出した。警官はその様子を眉間にしわを寄せながら見ている。

  「その通信機は…」

警官はその通信機を持ち歩くのが軍関係者だと知っている。こんな小さな子が持っているなんて…そう思っていたらユキが会話を始めた。

  「すみません、森ユキです。」

相手は山村だった。

  「暇だったからトウキョウシティに遊びに来たら警官に補導されそうになって。」

ユキの言葉に山村は驚いた。

  <その警官に代わって。>

ユキは黙ってその警官に通信機を渡した。警官は画面に映る人物を見て驚いた。

  <地球防衛軍、議長の山村だが。>

静かな声が警官の耳に届く。

  <その子の保護者は私だ。彼女は先日九州の国立小学校を卒業ばかりで
   トウキョウの大学に通うためにここにいる。>

山村の眼は軍人らしく鋭かった。

  「も、も、申し訳ございません!大変失礼いたしました!」

警官はそう言うと真っ赤な顔でユキに通信機を返した。

  「山村さん、ありがとう。」

ユキが笑顔でお礼を述べると

  <いやいや、お安い御用だよ。裏路地に入らないようにな。>

山村は警官と全く違う視線でユキにそう言うと通信を切った。

  「…大変失礼しました。お気を付けて。」

警官はそう言ってユキの前からそそくさと消えた。