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yamatoへ… ユキバージョン 2

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  「友達がいない、ってこんなに寂しい事だったんだ。」

ユキは時間さえあれば勉強していた。一日も早く医者になりたくて医者になるためには勉強しかない、と体力つける事も大切だけどやっぱり勉強に没頭していた。

  「ご飯、一人で食べるか…。」

ユキは帰るとすぐにシャワーを浴びて食堂へ向かった。ここには医大生と看護学生、独身の医師と看護師も一緒に入っている中央病院の関係者の寮だった。隣に別棟の建物がありそこは家族寮になっている。飛び級は珍し事ではなかったがさすがに小学生が大学病院の学生になる事は珍しく体の小さいユキはどこへ行っても目立った。食堂は不規則な時間勤務が多い職業のせいか常に人がいるのでユキはテイクアウトして部屋で食べる事にした。

  「味気ないなぁ…。」

九州の味よりすこししょっぱい煮物を食べながら母親の食事に思いを馳せる。

  (ダメダメ、ホームシックになっちゃう。)

ユキはテレビを付けた。英語で流れるニュースは海外で落ちた遊星爆弾の事を放送している。

  (きっと近いうちに日本にも落ちる…)

ユキはそう思いながら画面を見ていた。





翌日。昼食を食べ終えたユキに背中から声を掛ける人がいた。

  「森さん。」

寮母が食堂へジュースを買いに来たユキに声を掛けた。

  「こんにちは」(ユキ)
  「こんにちは。あのね、これから男の子なんだけど飛び級で大学病院に通う
   子が来るの。15歳で森さんと一番年が近いから紹介してあげようと思って
   いるんだけど…どう?」

寮母さんは満面の笑みだ。

  「これから勉強も実習もずっと一緒よ?先に顔を見て損する事はないと
   思うけど?」(寮母)
  「そうですね、じゃぁ玄関で待ってればすぐ来ますか?」(ユキ)
  「えぇもうすぐ来るからこのままいい?」(寮母)
  「はい。」

ユキはあとでジュースを買えばいいと思って寮母さんの後ろについて歩いた。

 



  「初めまして。」

背の高いすらっとした男子が山村と一緒に寮へやってきた。佐々木も一緒だ。

  「岡本 祥輝(ひろき)です。よろしくお願いします。」
  「いらっしゃい。お待ちしておりました。小田原から来たのよね?」

寮母さんが笑顔で対応する。

  「はい。」(岡本)
  「さぁ上がって。山村さんも佐々木さんもお疲れ様でした。」

寮母が“ここじゃなんですから”と言って玄関先に設けられているロビーに通す。ここは男女別れるゲートの手前の部分でソファーがおかれ談話室代わりになっている。

  「失礼します。」

岡本は頭を下げて上がった。そしてじっとユキを見ている。山村はユキに向かい

  「昨日は災難だったね。」

と声を掛けた。

  「でもありがとうございました。出てくれなかったらどうしようかと思い
   ました。」

ユキが答えると

  「通信機は基本、出なくてはいけないから大丈夫だ。万一の場合は佐々木でも
   大丈夫だから。」

山村はそっとユキの頭を撫でた。

  「何かあったんですか?」

佐々木が聞くと

  「昨日、トウキョウシティに行ったら警官に声を掛けられて補導されそうに
   なってね。ほら、子供が平日に…(佐々木が頷く)親に連絡しようにも
   九州だしな…そこで私に連絡が来たんだよ。」

佐々木がなるほど、と言う顔をしている。

  「議長は忙しいから次は私でいいですよ。」

佐々木はユキに笑顔でそう言った。





  「初めまして。森ユキです。」

岡本の顔を見てユキは挨拶をした。岡本の背はすでに170を越えていてすらっとしていた。顔を見ると面長で鼻筋はとおりきりっとした二重だ。普通だったらとてもかっこいい、の部類に入るだろう。

  「初めまして…森さんは…あの、おいくつですか?」

どうみても自分より年下であろうユキに岡本は声を掛けた。

  「12です。小学校を卒業したばかりです。」

ユキがはっきり答える。

  「へぇ…すごいね。自分が最年少だと思っていました。」

岡本は山村の顔を見て苦笑いをした。

  「ははは、まぁ岡本くんだって中学を卒業したばかりだ。一番年が近いから
   仲良くしてくれな。」

岡本は笑顔で“はい”と言った。





ロビーでユキと岡本はお互いの携帯と通信機の連絡先を交換してそこで別れた。ユキは自分の部屋に戻り岡本は山村と佐々木と寮母さんと一緒に自室に向かった。


  (今年高校生に上がる予定だった、って事よね。そこで医大生、か。勉強、
   できるんだろうなぁ…)

ユキは自分の事はすっかり頭から抜けてそう思っていた。

  (絶対に先に行かれないように頑張らないと…)

ユキは塾で教えてもらった事を復習し始めた。