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yamatoへ… ユキバージョン 2

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  「久しぶり…俺なんだけど。」
  <おう、元気だったか?お前今九州だよな?>
  「そうだ、覚えてたか?」
  <忘れるわけないだろ。>

浜崎の会話の相手は高校時代(同じように飛び級)の同級生。

  「お前、今何してる?」
  <俺?塾の講師は辞めて今大学院にいるよ。>

男はそう言った。

  「今、春休みか?」
  <そうだけど?>
  「トウキョウか?」
  <そうだよ。>

浜崎は少し考えた後…

  「お前に頼みたい事がある。」

浜崎のかしこまった様子に男は“?”と言う顔をした。

  「実は九州から飛び級で医大に通う子がいるんだが勉強を教えてくれる
   人がいない、と連絡があったんだ。俺が面倒見れれば一番いいんだがまさか
   トウキョウシティまで行けるわけがない。で、その子の指導をお前に頼みた
   いんだ。生半可な気持ちで指導できる子じゃない。今年の小学校6年生の
   一斉テストでトップだった子だ。」

浜崎の言葉に男は息を飲んだ。

  <小学校から一気に大学病院付属に飛び級?>

驚きながら聞く男に浜崎は頷いた。

  「最後のテストはその大学病院の受験の模擬試験だったそうだ。もちろんそれが
   合格点で…」

浜崎の言葉に男はただ驚くだけで声も出ない。

  <…わかった。任せろ…俺がその中に入っても落ちこぼれないようフォロー
   してやる。>

男は断言した。

  「お前がそう言ってくれるなら安心だ。その子のプロフィールを後でメールで
   送るから見てくれ。これは塾の極秘情報になるからくれぐれも…」
  <大丈夫だ、誰にも見せないよ。>
  「一度彼女と連絡を取るから…そしたらもう一度連絡する。」

浜崎は携帯を切ると大きく息を吐いた。








  「森さん?」

浜崎は男と携帯を切った後すぐにユキに連絡を取った。

  <先生…>

ユキはホッとした顔をした。

  「お待たせ。いい情報だ。私の同級生でトウキョウで大学院に通ってるヤツが
   いる。そいつに勉強教えろ、って命令したから安心しなさい。そいつはすごい
   勉強できるヤツだから何でも聞くといい。この後そいつにもう一度連絡して
   森さんに連絡するよう伝えるから…いいかな?」

浜崎はユキの連絡先を知り合いに伝える事を言った。

  <先生、いいんですか?その方お忙しくないですか?>

ユキは心配になった。

  「今、春休みなんだと。どこで待ち合わせする、とかそいつと決めてくれ。
   で、名前が緒方…えっと、なんて言ったけ…緒方直樹…だ。そうそう、
   緒方、ってやつから連絡来るからさ。」

浜崎は笑顔でそう言った。

  <先生、すみません。>

ユキが頭を下げる。

  「いや、思い出してくれて嬉しいよ。どう?そっちは?」

浜崎が笑顔で問いかける。

  <人がいっぱいです。でも近いうちに地下都市に入るらしいです。>

ユキの言葉に浜崎が“そうか”とつぶやく。

  「まぁ遅かれ早かれ全土がそうなるんだろうけどな。まぁ早い方が安心だ。」
  <そうですね…いずれは全土…ですものね。>

ユキも残念そうにつぶやく。

  「まぁ…そう悲観せず。じゃぁ連絡待ってて。」

浜崎は努めて明るく言って電話を切った。