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yamatoへ… ユキバージョン 3

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  「ユキちゃん、いる?」

ユキが一段落してベッドに横になっていると来客を知らせるベルが鳴った。相手を見るとかおりと春香。ユキはデスクの上を片付けて二人を部屋に入れた。

  「ごめん、お邪魔だった?」(かおり)
  「ううん、今寝っころがってただけ。どうぞ。」

ユキがベッドの上に座るように勧めた。

  「どうしたの?」(ユキ)
  「うん、あのね、みんながユキちゃんの付き合いが悪い、てどうしたのか
   聞いて来てほしい、って言われたの。私達、なにかした?」

かおりが聞きにくそうにユキに言った。

  「え?別に何もないけど?」

ユキはかおりが岡本の事を気にしてるのを思い出した。

  「今日も出かけよう、って言ったのにユキちゃん、来なかったし。」

春香もつぶやくように言う。

  「え?それって絶対参加なの?」

ユキが面白くなさそうに言うので二人は一瞬固まった。

  「私、仲良しこよし、するつもりないの。勉強するために…医師になるために
   私はここに来たの。友達は必要だと思う。だけど一緒に行動するのを
   強要されるのはいやだわ。私は行きたくなかったから行かなかった、それ
   だけの事。」

ユキがきっぱり言う。

  「でも…一緒にいると楽しいじゃない?」(かおり)
  「強要されたら苦痛だわ。一緒にいたい時に一緒にいればいいじゃない。
   私は別に誰かと一緒にいなくても大丈夫だから。」(ユキ)
  「それって私達と一緒にいられない、って事?」

春香が少し怒ったように言う。

  「そうじゃなくて…」

ユキは大きなため息をついた。

  「私は一日も早く医師になりたくてここへ来た。今、付いていけてるから、と
   油断してたら後が大変な事になる…だから今できる事をしているの。声を
   掛けないで、って言ってるんじゃない。参加する、しないのは私の自由。
   それを強要しないで、って言ってるの。」

ユキは諦めた感じでつぶやくように言った。

  「そう…わかったわ。ユキちゃんの邪魔、しないようにするから。」

かおりと春香はそう言ってユキの部屋を出て行った。



  (結局…どこにいっても同じなのかしら…)

小学校の時もやたら一緒に行動したがるクラスの女の子がいた。やたら自分の事をしゃべった後“自分の事は教えたからあなたの事を教えて”と言わんばかりの子もいた。人と話していると知らんぷりしながら聞き耳を立ててる子もいた。

          なぜ私はここに来たのか。
         なぜあなたはここにいるのか。

          選ばれたからではないの?


ユキは夕飯を食べるのもおっくうになるほど疲れてしまった。









  <ユキちゃん?>

その日の夜、ユキの携帯が鳴った。相手は岡本だった。

  「はい。」(ユキ)
  <なんだか怒らせちゃったみたいだね。>(岡本)
  「いえ、別に。ただ…」(ユキ)
  <ただ?>(岡本)
  「みんな危機感がないんだな、って思ったのよ。」(ユキ)
  <危機感?>(岡本)
  「そう、遊星爆弾が日本に落ちて来てないからみんな対岸の火事、みたいに
   思ってるけどそのうち日本だって…そうなったら勉強どころじゃなくなる
   かもしれない…だったら少しでも先に進まないといけない。遊んでる場合
   じゃないわ。」

実はほんの数分前に地下都市に移る予定が出された。中央病院と軍の司令部、その付属のいろんな設備がやっと整ったので学生を先に地下都市に送る、との事だったのだ。

  「勉強する時間は短いわ。だったらそれをより濃く、無駄にしないように
   しないといけないのよ。」

岡本は何も言えなかった。

  「岡本さんたちは余裕かもしれないけど私には余裕がない。だから私の事は
   考えなくていいですから。」

岡本は先日まで小学生だった子の言葉と思えなかった。自分よりうんと先を見ている。

  <そうか、そうだよな。悪かったよ。ちょっと有頂天になってたんだな。
   飛び級で医学部に来て…すげぇ嬉しくて…>

ユキは岡本の言葉をだまって聞いていた。

  「そうよね、私だって嬉しかったもの。」

ユキが同調する。

  <まぁどこか行く時はメールで知らせるよ。行くか行かないかだけでも連絡
   くれるかな?>(岡本)
  「そうね、それぐらいならいいかな。でも、奨学金が入るまでは誘わないで。
   私、お金持っていないの。」

ユキが正直に話す。

  <え?どういう事?>

岡本が驚いて聞く。

  「私、親の反対を押し切ってここに来ちゃったからお小遣いないの。だから
   国からもらえる奨学金が生活費なのよ。それで何もかも身の回りの物買っ
   たりしないといけないから…結構厳しいのよね。」

ユキが笑いながら話す。