二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

yamatoへ… ユキバージョン 6

INDEX|3ページ/10ページ|

次のページ前のページ
 

  「バカみたい。誰だっていいじゃない。」

ユキは集中力が切れてしまったのでベッドに横になっていた。

  「あなたは私の何なのよ?全く面倒だわ。」

岡本とのやり取りをユキは封印した。

  (でも…真田さんって大人だわ…とってもステキ!あの声…すごく落ち着くし
   ずっと聞いていたい声だわ。でも厳しそう…大丈夫かしら?)

少し不安になる。

  (でも怖がっててもしょうがない。頑張るしかないわ。)

いろいろ考えているうちにそのまま眠ってしまった。


  「おはようございます。」

ユキが真田のラボにノックしながら入った。

  「おはよう。よく眠れたか?」(真田)
  「はい。」

ユキの脳裏から岡本の事は飛んでいた。

  「さて…まず最初に…。」

真田は自分の開発した救命艇の展開図を持ってきてユキに説明を始めた。


  「森さん?疲れないかい?」

真田が余りにも熱心なユキに声を掛ける。ユキも真田の声でハッとして時計を見るとすでにお昼を過ぎ午後2時を過ぎていた。

  「あ…ごめんなさい。お昼食べそこなっちゃいますよね。」

ユキが慌てて片付けを始めようとするが真田は止めた。

  「いいよ、そのままで。食堂に行こうか。」

真田はユキを止めて扉を開けてユキを促した。

  「いつもあんな感じで勉強しているのか?」

まだ初日だが真田はユキの能力にすぐ気付き勉強を教え始めていた。

  (こんな遊星爆弾の落ちてくる時代じゃなければ職業ももっとえらべただろう)

真田は守の弟の事を思い出した。

  (そう言えば同い年か?守が言ってたな、この代は優秀だ、と。今頃月面基地か。)

真田は進が訓練予備生に合格した事を思い出した。

  「え?あんな感じ、って?」

真田が考え事をしてる所でユキが真田の問いに答えた。真田は一瞬ユキを見た。

  「いや、食事を忘れてしまうぐらいに集中するのかな?と…。」

真田は“実は自分も”とは言えず頭を掻く。

  「そうですね、気付くとずっと自室で朝から晩まで、って事もありました。試験
   前とかそうなります。でも今日は特別かもしれません。真田さんの教え方、
   とても面白いですしわかりやすいからとっても楽しいんです。」

ユキは笑顔で答える。

  「楽しい?」

真田が驚いて聞き返す。単に救命艇の展開図を広げ医療に携わる者としての見解を聞いたりパイロットとして基本的な事を教えただけだ。

  「知らない事を知る、ってすごい事じゃないですか。その先になにがあるんだろう
   って思うとどんどん知りたくなっていくんです。」

ユキが身振り手振り話す。

  「そうか、負担になっていないならいいんだ。今、小型艇の設計をやっていて
   そうだな、後で意見を聞こうか。」

真田がふと気付く。

  (少し違う風がふくかもしれん)

真田は大型戦艦の設計に携わっていたが今回初めて小型艇に手を伸ばした。全く敵艦に歯の立たない事にいら立ちを覚えていたから小回りの利く小型艇を、と自ら設計したもので少しでもいいものを、と思ったのだ。

  「え?私でいいんですか?」

真田の所へ出入りする頭のよさそうな部下をこの数時間で何人も見た。

  「あぁぜひ、頼む。」

真田がふと笑った。


  「お、真田さんだ。…え?」

背の高い真田はどこを歩いても目立つ。

  「女性を連れてるぞ…それもかなりの美人…」

影から覗く人が数名…真田は科学局のTOPで訓練学校出身の異端児だった。訓練学校でありとあらゆる資格を取りあの伝説の古代守に次いで次席だった。勉強においては守より上だったが途中から研究部門にのめり込み主席の座を守に譲った。そして訓練学校からそのまま防衛大学へ進み地球防衛軍の科学局へ進んだのだった。今まで浮いた噂ひとつなくラボから出るのはトイレと食事、と言われるほどの人物。ラボの隣の準備室に簡易シャワー室を付けほぼそこで生活しているほどだった。

  「本当だ…あ!」
  「笑ってる…」

周りは真田の笑顔なんて見た事がない。いつも人の心まで見通してしまいそうな鋭い眼しか見た事がなかった。

  「地下都市に雨が降るんじゃないか?」

怖い物を見たような顔で真田を遠目に見ている者が多かった。

  「それにしても美人だな。それに随分若い。どうみても10代だろ?」
  「真田さんだってまだ20代だぜ?」

そうは見えない風な話し方だ。

  「まぁいずれ見放されるよ。使えない、ってね。」

真田の厳しさは科学局の人間はみな知っていた。