二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

yamatoへ… ユキバージョン 6

INDEX|4ページ/10ページ|

次のページ前のページ
 

真田は悩んでいた。しかしユキはそんな事は全く感じなかった。

  (今造っている新しい戦艦は一度地球を飛び立てば二度と戻ってこない艦だ。
   私はこの地球を捨てて…地球の遺伝子を残すための箱舟を完成させなくては
   いけない。その遺伝子は優れたものでなくてはいけない。この子を乗せられ
   たら…)

真田は自分が乗るつもりは全くなかった。

  (私はこの地球で地球と共に…だが若い世代を指をくわえて滅亡するのを待つ事
   だけは避けなくてはいけない。この優秀な遺伝子を残すために…いつか宇宙の
   果てに地球の様な星がある事を祈って箱舟を完成させなくてはいけない。
   そのために地球のエネルギーが枯渇してしまっても私はやらなくてはいけない。
   森くんはそのメンバーに加えるべき存在だろう。)

真田はユキを見ながら“この子に自分の全てを教えよう”と決めた。


真田の下で一週間ほど過ぎた日、真田のラボで食事を摂りながら真田が口を開いた。

  「森くん、この一週間でこの先、どう進むか考えて私なりにこうしたい、という
   ものが出来たんだが聞いてくれるか?」

ユキがフォークを置く。

  「いや、食べながら聞いてくれ。あくまでも提案だ。もし森くんがそうじゃなくて
   と思ってくることがあればはっきり言ってほしい。」

真田が食事をつつきながら話し始めた。

  「今、パイロットとしての基本的な事…エンジンとか装備、操縦方法…
   訓練生がデスク上で学ぶことは全て頭に入った状態だ。ちなみに一般はこれを
   1か月以上かけ勉強する事をキミは一週間で習得できているはずだ。」

真田の言葉にユキが驚く

  「さすがだな、と思ったよ。これぐらいできないと小学校から医大に飛び級
   なんてできないだろうな、って。」

ユキは真田が厳しい人だ、と聞いていたのでこんな優しい言葉が出てくると思わず驚いて聞いていた。

  「私は訓練学校と病院の勤務と両立は無理だろうと思っていたがキミなら
   できそうだ。訓練学校で毎日操縦のシュミレーションに入れるよう特別に
   手配しておいた。まぁ戦闘に参加するわけじゃないからあくまでもライセンスを
   取るための訓練、とでもしておこう。まぁ出来れば艦載機から小型艇、ぐらい
   まで取っておけば充分だろう。」

ユキはその言葉を聞いて嬉しくなった。

  「そして…どこか基地…月面基地がいいか…で、ライセンスを取る。その時は
   私も同行するから安心しなさい。」

ユキは真田の言葉に少し違和感を感じた。誰かが“真田さんは地球から出ない”という言葉を思い出したからだ。少し不安そうにするユキに真田が口を開く。

  「大丈夫だ、そんな心配そうな顔するな。森くんなら大丈夫だ。私がフォロー
   する。それに私が大丈夫、という人材が失敗した事はない。」

真田は不安そうに見えたらしい、とユキは思い誰かが言ったその言葉を頭の中で打消し今は真田について行く事だけを考えよう、とそう決めた。



  「ただいま。」

ユキが寮に戻って来た。と、そこへ岡本が待っていた。

  「ユキちゃん、聞いたよ。」

岡本が困った顔をして立っていた。

  「あら、岡本さん?」

ユキは訓練の事しか考えていなかったので笑顔だった。岡本はその笑顔を見て大きくため息をついた。

  「少し時間いいかな?」

岡本の言葉にユキはおとなしくロビーのソファーに岡本と向い合せに座った。

  「何を聞いたの?」

ユキが座ると岡本に聞いた。

  「ユキちゃんが看護士に転向した事。」

岡本が今までと違い、とても怖い顔をしていた。

  「あぁ、その事?そうよ。一日でも早く現場に出られるように変えたの。」

ユキがさらっと言う。

  「いいのか?あれほど頑張ってここまできたのに?」

岡本の声が少し大きくなる。

  「無駄になる訳じゃないわ。」

ユキがピシャリと跳ね返す。

  「もっとやりたい事を見つけたの。今までの勉強が無駄にならずそれ以上に
   頑張れること。だから干渉しないで。」

ユキは人に干渉されるのが大嫌いだった。

  「これから先、どうするんだ?あの男と一緒か?」

ユキは真田でなく緒方が真っ先に浮かんだ。

  「あの男、なんて言い方止めて。私、忙しいの。勉強しないといけないから。
   話はそれだけ?」

ユキは少しいらだった様子で立ち上がる。

  「看護士として働き出すのと訓練学校に通うので私忙しくなるの。だから放って
   おいて。岡本さんだって忙しいでしょう?勉強しないといけないでしょう?」

ユキは振り向かず女子寮に入って行った。岡本はユキの後ろ姿を見送る事しかできなかった。