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yamatoへ… ユキバージョン 6

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看護士の仕事を終えたユキは寮に戻らず真田のラボへ向かった。多分、シフトで岡本が待ち構えていそうな気がしたのでラボで勉強しようと思ったから。

  「失礼します。」

ユキが深呼吸を一つしてラボに入った。

  「あれ?今日は…」

真田がエスプレッソを入れようとしてコーヒーメーカーの前に立っていた。

  「…私がやります。」

ユキは真田からカプセルを奪い取るようにすると手際よく用意始めた。



  「どうした?」

いつもと雰囲気が違うユキに真田は聞いた。

  「どうして人って干渉してくるんでしょう?」

ユキはカプチーノを飲んでいた。

  「干渉?」

真田が聞き返す。

  「私が看護士に転向した事でうるさい人がいて。」

真田はユキの本気の嫌な顔を初めて見た。

  「へぇ…」

真田は頭の中で“それは森くんの事が好きだから”と言った。

  「早く月面基地に行って自由になりたい。」

ソファーに座りながらユキがポツリとつぶやいた。

  「じゃぁ…早めるか。」

真田が端末を取り出す。

  「…!え、真田さん、すみません。つい…。」

ユキが慌てて真田を止めようとする…が…

  「仕事の集中させるのも私の仕事の一つだ。私に任せて森くんは勉強に集中
   するといい。」

真田は口と手が別に動いている。端末を叩く指はとても流暢だ。

  「よし…っと。」

パシっとEnterを叩く音が少し大きく響いた。

  「議長に来週早々、月面基地で小型艇、艦載機のライセンスを習得するために
   時間を空けるよう嘆願書を出した。明日にでも会議で了承が出るだろう。
   ヨコスカ行きは中止だ。」

ユキは不思議そうに真田の顔を見上げた。この人のどこにそんな権限があるのだろうか、と。

  「私に任せなさい。私は今森くんの保護者だからな。」

ユキは緒方と違う“任せられる”存在に安心していた。

  (パパが真田さんみたいだったら私の人生もっと違うだろうな。)

もっと先へ進みたい…真田はそれを何も言わなくてもわかってくれる。自分の親より自分の求めているものがわかってそれを準備してくれる…ユキは初めて居心地の良さ、というものを実感していた。


翌日、真田からラボに来るよう、メールが入っていた。ユキは中央病院に勤務中でまだ日勤だけだったので仕事が終わったらすぐにラボへ向かうと返事して仕事をしていた。きっと昨日の月面基地に行く事の件だろう。真田の意見が通ったのだろうか?まさか私一人月面基地に行くのに軍の会議に掛けなくてはいけない程のものなのだろうか?

ユキの頭は仕事と月面基地に行く事と、でぐるぐる回る。

  (仕事に集中しないと…)

ユキは月面基地の事を頭から消した。