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yamatoへ… ユキバージョン 6

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午前中は中央病院で看護士の仕事をこなし午後はシュミレーションを兼ね訓練学校で最後の詰めを行っていた。…が、今日はユキは月面基地へ向かうために早朝5時、真田のラボに来ていた。

  「用意はいいか?まぁ忘れ物があっても向こうで買えばいい。向こうも24時間
   営業のモールがすぐそばにあるから。」

行った事はないが基地の設計に絡んでいた事もありどこにどの設備がある、と言うのは全部頭に入っている。

  「はい。」(ユキ)
  「では…行こうか。」

真田とユキはラボを出た。


  「真っ赤…。」

ふたりが乗っているのは軍用機だけど主に人を輸送するための艦だったので静かだった。少し浮くようなGを感じた後ゲートをいくつかくぐり地表へ近付き最後のゲートを通ると天井が開き赤茶けた地面が眼下に広がった。ほんの少し前まで真っ青な地球だったのにほんの数年で見る影もなくなってしまっていた。

  (こんな痛々しい姿になってしまって…あの忌々しい遊星爆弾を止める方法は
   ないのかしら?)

以前ニュースで遊星爆弾の進路に戦艦が突入しまるで昭和の時代の特攻隊のように自らを犠牲にした、と言うのを聞いたことがあった。

  (それじゃ命がいくつあっても足りないわ。)

食い入るように地球を見つめるユキに真田は何も言えなかった。



月への直行便だったので数時間後にふたりは月面基地に着いた。ふたりを出迎えたのは佐々木だった。

  「佐々木さん!」

ユキが小走りに近寄ると佐々木は真田に敬礼しながら

  「お待ちしておりました。エアカーをご用意してあります。」

そう言いながら敬礼を解き二人を先導するように前を歩いた。

  「真田さん、私も敬礼しないといけないんですね。正規じゃないけど今訓練生、
   って立場だから…。」

ユキがこっそり真田に言う。

  「お、そうだったな。後で伝授しよう。」

真田が笑いながら話すその様子を佐々木は前からチラ見した。

  (真田さんも笑うんだ)

佐々木は心の中で驚きながらそれを感じさせないよう二人の前を歩いた。


  「こちらは地球防衛軍月面基地司令支部です。」

佐々木がそう言いながらノックをすると低い声で“入れ”と聞こえた。
佐々木が先導して中に入り敬礼すると真田とユキも少し遅れて敬礼する。(ユキはこの直前に真田から教えてもらった)

  「うむ…私が月面司令本部長、山南だ。」

山南はそう言うと敬礼した。

  「森ユキくん、だったね。議長の藤堂から話は聞いている。時間は限られている
   から上手に時間を使ってライセンスを取るといい。シュミレーションも地球の
   ものと違いかなり本格的だ。最初はシュミレーションから、となるが大丈夫か?」

山南の問いに真田が頷く。

  「先に帰って行った訓練生もかなりノビたらしいが…まぁ戦闘に参加するわけ
   じゃないから…乗る、という事のライセンスだったら心配なかろう。ただ
   戦闘機、だから万一の事を考えてナビゲーションぐらい出来るといいだろうな。」

山南が提案する。

  「はい、それも頭に入れてシュミレーションするつもりです。」

真田がきびきびした態度で返す。

  「森くんはいい先生につけてよかったな。多分、地球上で一番いい先生だ。
  その分厳しいだろうがな。」

山南がユキを見て笑う。

  「はい、とても心強いです。」

ユキが笑顔で真田を見ると真田も頷く。

  「訓練で忙しい所時間を割いていただきありがとうございます。森くんにしっかり
   訓練してもらってよい結果を持って地球へ戻ります。」

きびきびとした態度にユキの気持ちも同じになる。少し歓談した後会議がある、と山南が言ったので3人は山南の部屋を辞した。