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yamatoへ… ユキバージョン 7

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ユキが嬉しそうに話す。

  「そうですか…あの有名な真田さんですよね?」

渡辺は信じられない、と言うような顔でユキを見た。

  「有名かどうかは私は分かりません。でも噂が先行してる、って気もしますけど。
   私は私の知っている真田さんしか知らないから…。」

ユキがにっこり笑う。渡辺はこんなきれいな子だったか?と思ったが自分がそう思っているとわからないように努めた。

  「さぁ…余り話すと疲れちゃいますね。少し休みましょう。」

ユキはそう言うとブランケットを掛け直して渡辺の部屋を出た。





  「渡辺さん、覚えていてくれました。」

ユキは仕事が終わると真田の所へ向かった。

  「そうか、でも意識が戻ってよかったな。」

真田は昨日、ユキから連絡をもらい聞いていたのでホッとした顔をした。

  「真田さん、って有名なんですね。」

ユキがつぶやくように言った。真田は無言だった。

  「渡辺さんも真田さんの事知ってた。あの有名な真田さんですよね、って。」

真田はまだ無言だ。

  「“あの”って何に引っかかるのかしら?」

ユキは不思議そうに真田の顔を見る。

  「きっと学生時代から眉間にしわ寄せて研究ばかりしてたんでしょうね。」

ユキは何となく想像して笑う。

  「うふふ…教える方もやりにくかったでしょうね。」

真田は当時を思い出す。確かに講師に聞いても誰も答えてくれなかった。

  「あながち…外れてなさそうですね。」

ユキが真田の顔を見てそう判断した。

  「どんな顔をしている?」

真田が少し離れた窓ガラスに映る自分の顔を見ながらユキに聞いた。

  「真田さん、結構クセがあるのですぐわかります。」

ユキが笑う。仕事の疲れも見せず。

  「クセ?」(真田)
  「内緒!私だけしか知らないかも。」

ユキはそう言うとソファーの上で大きく伸びをした

  「う~ん、やっぱり疲れてるみたいです。今日は帰ります。」(ユキ)
  「あぁお疲れさん。無理するなよ。ゆっくり休め。」

真田は自分のクセが気になったがそのままユキを部屋から送り出した。







  「おはようございます。」

翌日ユキは出勤した。昨日の引継ぎがナースルームで行われる。特に異常なく穏やかな一日だったらしく特に引き継ぐこともないような感じだった。

  「おはようございます。」

そこへインターンが入って来た。ユキはその聞き覚えのある声に反応する。

  (岡本さんだわ)

ユキから岡本は直接見えない所だ。そのまま婦長の話を聞いているとユキの視界に岡本が入って来た。

  「あら、岡本くんお疲れ様。」

婦長が話の区切りで岡本に声を掛けた。

  「お疲れ様です。今日、院長の回診に付いて回るので先に来ました。」

岡本がユキに軽く会釈して答える。

  「あら、ゆっくりしていって?」

あからさまに婦長は機嫌がいい。他の看護士も岡本が来るとその容姿に惹かれるのか一瞬ぽぅっとする人が多い。

  「ユキちゃん。」
  「おはようございます。」

ユキはにっこり笑って挨拶をした。

  「忙しかっただろ?」

先日の暴動のけが人の事を言ってるんだ、と思い

  「えぇ…でも大丈夫よ。」

ユキが笑顔で答える。

  「そうか…あ…」

岡本が話しかけようとした時院長が入って来て岡本を呼び回診に行くぞ、と言ってナースルームを出て行った。

  「森さん、岡本さんと…仲がいいわよねぇ?」

看護士の一人が勘ぐる。

  「えぇ…同期ですから。」