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yamatoへ… ユキバージョン 7

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医師になるための繰り上げ卒業生の同期は4人しかいなかった。岡本は優秀だったようで医大を卒業した後そのまま中央病院へ修業に出された。他の2人は同じ中央病院でも地方の分院。

  「岡本さんと一番年が近かったんです。」

ユキの言葉に誰も納得するわけがない。

  「いいわよ、今更照れなくても。いいじゃない、一緒に歩いてとてもかっこう
   いいカレシだから。美男美女、よねぇ?」

本心で思っているのかわからないユキはあいまいに笑って終わらせようとしたいがそう言うわけに行かない…時もある。

  「そんな顔したって…いいじゃない…岡本さんは森さんしかいつも目に入って
   ない感じだし。きっと将来有望よ?今からツバ付けておいて損はないわ。」

看護士の一人がユキの顔を見て言う。

  「そうですか?出世しそうですか?」

ユキが不思議そうに聞く。

  「だってインターンなのに院長付きよ?」

看護士の誰もが頷く。ユキはへぇ…としか思えない。

  「そんなに気になるならぜひ…どうぞ。」

ユキがカルテを見ながら本当に興味なさそうに言うのを同僚は不思議そうに見てる。

  「本当にいいの?そんなこと言ってたらみんな告白しちゃうよ?」

ユキに同僚が詰め寄ると

  「別に岡本さんとは同期以外の何者でもないですから…どうぞ、って私が
   進呈するわけじゃないですけど。」

ユキは面倒だな、少し投げやりな言い方になる。

  「ほら、無駄話はそれぐらいにして…さぁ始動よ。」

頃合いを見計らって婦長が声を上げる。ユキは助かった、とばかりにホッとする。

  「森さん、大変ね。」

婦長がため息交じりにユキに声を掛けた。







  「失礼します。」

ユキは渡辺の扉をノックした。

  「どうぞ。」

中から声がする。

  「具合、どうですか?何か不便な事ありませんか?」

ユキが声を掛ける・・が、

  「不便だらけ、ですよね。」

といって苦笑いすると渡辺も苦笑いした。

  「そんな事いって入って来るの森さんだけですよ……大丈夫です、深呼吸すると
   胸が痛いですが。」

そう言って痛い所を指さした。

  「肋骨って固定できないので…。」

ユキが点滴を確認する。薬は間違っていないだろうか?などを確認する。

  「脈、診ますね。その後血圧測定します。」

ユキの働く姿を渡辺はじっと見つめていた。

  「こんな細い腕で艦載機操縦するんですよね?」

血圧の測定が終わって道具を片付けるユキに渡辺が声を掛けた。

  「え?…えぇ…でも私は操縦できるだけ、ですから。」

ユキがにっこり笑う。

  「気分悪くなったりしませんか?」(渡辺)
  「最初は…でも慣れだ、って言われて…必死だったので…もともと乗り物酔い
   しない方でしたから…。」

ユキが傍にあったいすに座る。

  「あの時ライセンス何を取りましたか?」(渡辺)
  「艦載機から巡洋艦まで…とりあえず操縦できる、ってだけですけど。」

ユキが恥ずかしそうに言う…が渡辺は驚いた。後からひと月ほどいた、と聞いていたのでそんな短期間で…とため息をついた。

  「いや、森さんはやっぱり優秀だったんですね。真田さんが付くはずだ。」

ユキは渡辺の言い方にそんな事ないです、と言ったが

  「その気になってもなかなか取れないのがライセンスなんですよ。」

渡辺がにっこり笑って話している所にノックの音がした。

  「どうぞ。」

渡辺が言うと扉が開いてそこに岡本が立っていた。

  「岡本…先生。」

インターンだが患者からみたら見た目は普通の医師と同じ格好…“さん”付じゃ呼べない。

  「あぁ…お疲れさん。」

岡本はユキの姿を見ると驚いたような顔をしたがすぐに視線を渡辺に写した。ユキはすぐに

  「じゃぁ渡辺さん、お大事にしてくださいね。」

といって渡辺の部屋を辞した。