yamatoへ… ユキバージョン 8
この一件があってから佐渡は真田の計らいで防衛軍のなかの医務室を任されるようになった。中央病院の一部ではあるが軍を出て中央病院の連結の地下道の一番手前にあるから基本、軍にいるのと変わらない。ユキはこれ以上中央病院へ行かないよう真田に言われていたし佐渡もそれを承知した。
佐渡は箱舟計画を知っていたわけではないが藤堂から新しい戦艦の船医を頼む、と言われていたし以前、実際軍医をしていたこともあるので軍にかかわる事に抵抗はなかった。ただその戦艦の存在を誰もが知っているわけではなさそうだ、という事だけは気付いていた。
「佐渡先生、新造艦のレイアウトですが…一番使う人の使い勝手のいいように
造りたいので相談したいのですが…。」
佐渡はユキと一緒に真田のラボにいた。
「森くんはその新造艦で看護士としても働いてもらう。以前から訓練してる
レーダーも扱うようになるから激務になる。限られた人数で艦を動かすから
複数の種目ができて当然と思ってほしい。まぁ…出来ない人間にはそんな事
させないが…。森くんならできると私が太鼓判を押すよ。」(真田)
「ほぅ、ユキは看護士だけじゃないのだな?確かにユキは優秀だ。医務室に
ずっと居させるのはもったいないと思っていたんだ。そうか、ユキがんば
らんといかんな。」
佐渡も少し驚いた顔をした。
「こんな私に務まるかどうか…。」
ユキが複雑そうな顔をする
「いや、これは森くんにしか勤まらない仕事だ。軍で訓練も受けている。
森くんならできる仕事だ…頼む。」
真田がユキの肩を優しくポンポンと叩く。
「…はい、頑張ります。」
ユキは不安そうだけど真田の以前の言葉を思い出してそう言った。
(私が大丈夫、という人材が失敗した事はない)
その言葉がユキを奮い立たせていた。
作品名:yamatoへ… ユキバージョン 8 作家名:kei