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yamatoへ… ユキバージョン 8

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ヤマト…


冥王星での戦いから戻って来たのは一隻のボロボロになった指揮官の乗る艦だけだった。

真田は想像していたがその現実に打ちのめされそうになっていた…がその艦で一緒に帰って来た守の弟が持ち帰った通信カプセルで今までの計画の全てが覆った。





  “生きて希望を積んで帰ってくる艦…”

カプセルの内容は遠く離れたイスカンダルと言う星の使者が運んだメッセージとなにかの設計図。
一年と言う限られた時間の中で未知の外宇宙へ出て放射能除去装置を取りに来なさい、と言うメッセージだった。

実際その放射能除去装置を送ってくれればいいのに、と思ったがたった一隻で来た様子を日報で読んだので本当に無理だったのかもしれない、と真田は思った。

真田はこのメッセージを聞いて自分があの戦艦に乗りこみ一緒にイスカンダルへ向かう事に迷いがあった…が、真田はその設計図のコピーを手に取ると自分のラボへ向かった。




Tweeen

  「真田さん、お帰りなさい。そろそろお戻りかな、って思って…エスプレッソ
   飲みますか?」

ユキの言葉に真田が頷くとすぐにエスプレッソが出てきた。

  「森くん、ちょっといいか?」

真田がエスプレッソを一口飲むとユキにソファーに座るように勧めた。
その間も手に設計図を持ったまま。

  「はい。」

ユキがそう言いながらソファーに座るとその向かいに真田が座った。

  「先程冥王星の戦いから戻った指揮官に会って来た。」

ユキもたった一隻しか戻ってこなかった事を誰からともなく聞いている。

  「その戦いの中一隻の宇宙船が飛来し火星に不時着した。(図面を開きながら
   会話を続ける)その宇宙船には女性が一人乗っていてこの図面の情報と地球
   を浄化する放射能除去装置、コスモクリーナーDを取りに来るように、と
   いうメッセージが入っていた。」

ユキは真田の広げた図面を見た。

  「これが設計図?」

ユキはこの図面が立体的になった時の形を想像した。

  「これが放射能除去装置?」

ユキの言葉に真田が首を横に振る。

  「いや、これはエンジンの設計図だ。地球上はじめて…光を超える速度で航行
   できる艦の設計図だ。普通に航行していたら限られた時間のなかで片道14万
   8千光年の旅なんて無理な上に地球が持たん。」

真田の言葉にユキは驚いた。

  「14万8千光年…。」(ユキ)
  「私はこれを完成させる。そして今造っている戦艦に取り付ける…。それは
   森くんが乗り込むあの艦だ。」

真田の眼がユキをとらえる。

  「真田さんも…一緒に行きますよね?」

ユキの言葉に真田の眼が一瞬ぶれた。

  「森くんにはレーダー士、看護士と生活班をまとめる班長をしてもらいたい。」

真田はユキの言葉を無視して話を続けた。

  「この艦に女性は少ない。多いのは戦闘員だ。救いの手があるのは嬉しい事
   だが戦闘も多いだろう。非戦闘員の多い班でもあるから軍の訓練を受けて
   いる森くんの指導が必要だろうという事で班長に推薦した。」

ユキは今にも泣きそうな顔で首を振る。

  「正規の試験を受けて訓練生になったわけでなくきちんと訓練学校を卒業した
   わけでもないのに人の上に立つなんて事、できません。」

ユキが本当に自信なさそうに言った。こんなユキは珍しい、と真田は思った。





  「私も行く。」

しばらくの沈黙の後真田が言った。グッと結んだユキの口がホッとしたのか緩みユキの大きな瞳からぽろっと涙がこぼれた。

  「真田さん…よかった。私一人になっちゃうんじゃないか、って怖かった。」

ユキは岡本の事を思い出していた。もし同じような状況になった時真田がいないなら誰に助けを求めたらいいのか…女性の少ない艦だと言った。あの時の不安と恐怖がユキを襲う。それを真田も感じたのかユキの肩を叩きながらこういった。

  「大丈夫だ、森くんは何も心配しなくていい。前にも言っただろう?私は森
   くんの保護者だ…どこに行くのも一緒だ、と。」

ユキは真田の顔を見てやっぱりお父さんだ、と思い思わずクスリ、と笑った。

  「真田さんって…本当にお父さんみたい。」(ユキ)
  「森くん、私とキミとは10歳しか離れていないんだ。せめて兄貴にしてくれ、
   と以前、言ったような気がするが?」

真田はヤレヤレと言わんばかりに苦笑いする。そして立ち上がると

  「早速私はこれを(図面を見ながら)作成しなくてはいけない。しばらく
   ここに来れないだろうから佐渡さんと…。」

真田はユキの顔を見て頷くとユキもしっかり頷いた。