宇宙戦艦ヤマトのその後 2
メインクルーもそろそろ、と言いながら帰って行って最後島が残った
「島くんもそろそろ戻らないと次郎くん?だっけ?心配しちゃうんじゃない?」
ユキが気を使ってそう言った
「次郎もねもう俺が必要じゃないんだ。俺がいたって“ただ今!遊んでくる”って出かけて
行っちゃったし。確かに同じくらいの友達と遊んでる方が楽しいよな…」
ユキは笑って聞いていた
「ユキ、昨日古代ここに来たんだ。南部から連絡もらって…古代は俺の家にいて…急いで
来たんだけどユキ寝てたから帰ったんだ。もちろん声かけたぞ?でも返事なかったから
悪いと思いつつのぞいたら寝てて…せめて寝顔見て帰ればいいのにあいつさ…多分
ユキの寝顔見るのすっげぇ辛いと思うんだ。ゆすってもゆすっても目を開けなかったユキと
重なるだろ?だからあいつの事責めないでほしいんだ。沖田艦長が健在だったら俺達と
同じ分休み貰えただろうに艦長代理だったから一週間ずれて取るようになっちゃって。
俺、また来るからさ…余りにもたくさん来すぎて休養にならないかもな。」
そう言って立ち上がると
「じゃぁ…」
そう言って島はユキの病室をでた
島は病院の外へ出ると隣の建物の地球防衛軍の司令部のあるあたりをにらんだ
(…早く古代を解放してくれよ…)
そう心の中でつぶやくと父親のエアカーに乗って実家へ戻って行った
(古代くん、来てくれてたんだ)
ユキはそう思うとくじけそうだった自分の心が温かくなる感じがした。
「お見舞いの方帰られたのねあんなに大勢くるんですもの常識ってもの知らないのかしら?
普通お見舞いってあんなにたくさんで来ないものよ?ユキ、どう?疲れたんじゃない?」
ユキは母に言ってもこの気持ちを理解してくれない気がして黙っていた
「お母さん一度家に帰っちゃったわよかったわ静かになって。他に誰かこの部屋を使ってる
人がいたら大迷惑だったわ。一日も早く退院できるよう先生にお願いしてみて。検査だ、
検査だって本当にしつこいったらありゃしない。ご近所の方も心配してるわ。お見合いも
催促の電話が来てるし…退院したら忙しいわよ。」
「…いなんかしないもん」
ユキが小さな声で訴えた
「何?声が小さくて聞き取れなかったわ。何か食べたいの?」
母がもう一度聞くと
「私お見合いなんてしないから!絶対しないわ。お願いだから帰って。」
ユキがそう訴えた
「お見合いしない?どうして?とってもいい条件ばかりよ?今日来た人たちよりきっといい
人ばかりだと思うわ。」
「ママ、今日来た人たちよりいい人なんていないわ!一年間家族と同じように過ごしてきた
のよ?それに私を心配してたくさんの人が来てくれたのに…常識がどうとか…どうして
普通に私を心配してきてくれてありがたいわね、とかって言えないの?」
ユキは我慢の限界に来ていた。ユキの母は事あるごとに見合いの相手と乗組員と比べたがるのだ
「ユキ、まさかヤマトの中で将来を誓い合った人がいるの?」
母の言葉に一瞬古代の顔が浮かんだが
「…わからないわ。」
ユキは母から視線を反らした
「あなたの片想いなの?」
「そうかも…そうよ、私の片想いよ。それがどうかして?」
「いい?同じ環境で一年暮らしてたからステキに見えただけよ狭い空間で出会いが少ない
中で選んだ人だからそう思ってるだけよ。地球に戻ってきて普通の暮らしに戻ったら案外
“こんなひとだったんだ”ってなるわよ。がっかりする前にそんな人諦めてしまいなさい。
その代りユキが苦労しないで生活できる人をピックアップしておくから!」
「いいじゃないの、私の好きにさせてよ!」
「いいえ、今はそう思ってても将来絶対私に感謝する時が来るわ。それに…」
「それに?」
「ヤマトに乗っていたって事はいつ戦死してもおかしくない職業って事でしょう?万が一の
時、誰が悲しい思いするの?私はユキにそんな思いしてほしくないから…」
「もう、いいわ。今日は疲れたから帰って…」
ユキは母を説得することに疲れてしまった。この人はなぜ私が倒れたのか分かっていない
ユキは母を見送ると大きなため息をついた
作品名:宇宙戦艦ヤマトのその後 2 作家名:kei