宇宙戦艦ヤマトのその後 2
古代はほんの一年前の事なのにずっと昔の物語を見てるかのように読み進めた。
最初の戦闘で波動砲を使用しその威力にがくぜんとした事、反射衛星砲で自分の指揮が正しかったのか当時の乗組員には見せなかった沖田の迷いの部分を垣間見る事が出来た。
戦闘があった日に合わせて戦没者の死因の確認をして少しでも自分が覚えている限りの事を付け足す
数々の戦闘をくぐりぬけて来たイスカンダルへの旅…戦闘がなくても到達できたかどうかわからない賭けだった。ガミラス星からイスカンダル星へ飛び立った時の沖田の言葉と美しくも哀しいイスカンダルの運命を思うと胸が熱くなる古代だった
“古代守が生きていた…まさかと思ったが本当に生きていてくれた。何も言うことはない。
古代もこれで天涯孤独から解放されたな。古代が地球に戻った時ひとりだと思うと少し
心配だったから本当によかった。”
「ずっと心残りだったんだろうな…」
古代はタイタンに眠るゆきかぜの報告をした時の沖田を思い出していた
“理解不明の事態だ。スターシアさんに申し訳ない。なんとお詫びを申し上げたらいい?”
ただ一言で終わってる日があった。藪達の起こした事件の日だった。古代は戦没者名簿に手をかけてその日を見た
“藪以下11名イスカンダル訪問中立入禁止区域に入り地震により死亡”
そう書かれていた。古代はユキが拉致された時の事を思い出して(違う…あいつらはユキをさらってイスカンダルに残ろうとしたんだ。俺は許していない!)
古代はそう思うとクリップを取り出してそのページにしるしを残した
“イスカンダルを出発する時がきた。地球での忘れていた自然の空気自然の海を満喫した
まだ道半ばである。気を引き締めていかなくてはいかん。”
沖田の新たなる決意を文面に感じた。そして翌日
“古代守は残った。古代はそれを許せるぐらい大きな男になった。地球に一人で戻っても
古代なら大丈夫だろう。だいぶ疲れやすくなってきているのがわかる。地球まで…何とか
この目で地球を見るまで体が持つよう祈るしかないな。”
昨日とうってかわって弱々しい文面だった。よほど兄守が残った事が残念だったのだろう。
(兄さんはスターシアさんと幸せに暮らしてるだろうかのんびりした環境が今までなかった
から反対に戸惑ってるんじゃないか?)
古代の意識は自然と宇宙の彼方イスカンダルへ向かっていた
ふと時計を見るとすでに夜の10時を過ぎていた。途中ロボットがコーヒーとお茶を運んできてサンドイッチを持ってきてくれたのでそれを食べながら作業を続けていたので時間がわからなくなっていた。
途中長官が戻ってきた様子はない。会議はここではなく他の場所だったのだろうか?
古代は書類を引き出し入れて指紋認証のカギをすると大きな伸びをして長官秘書室を退出した
作品名:宇宙戦艦ヤマトのその後 2 作家名:kei