宇宙戦艦ヤマトのその後 2
古代は島の実家へお邪魔していた。テーブルにはすでに食事が並べられていた
「食糧事情はあまり良くないんだけど…政府から特別配給があって…放射能の除去が
順調なんでしょう?安定した食料の供給の目処が立ちそうだからっていままで小出しに
してた食材を多めに配給することになったみたい。でもすぐ食べ物って作れるのかしら?」
島の母がレンジで食材を温めながらそう言ったので島が
「一般の人がそう思ってるんだからきっともっと先の事研究してるよ。
ヤマト農園でも結構活躍してたやつだろう?あの人数分の野菜、やりくりしてたん
だもんな。実践済みだからきっと大丈夫なんだよ。」
そう答えると古代も
「そうですね、土さえあれば大丈夫だと思いますよ。それにしっかり雨も降って…以前の
ようにオゾン層がしっかり出来て紫外線、赤外線その他宇宙からの有害物質を遮断でき
ればすぐにでも作物は作れます。」
それを聞いた島の母は唐揚げを山のように盛った皿をテーブルの真ん中に置いた。グラスには
ビールが父の手によって注がれている
「さて、頂きましょうか?」
そう言うと次郎が‘頂きます!’と言って手を伸ばそうとしたがピシャっと父親にはねのけられ
「はい、みんな席に着いて…準備いい?…え~古代くん、大介、任務お疲れ様でした。
おかげでいつか地上に上がれる希望を得ることできました。大切な家族とその友人が
無事戻ってきたことを祝って…カンパイ!」
次郎はジュースで乾杯した。
「父さん、これ本物のビールですね。よく手に入ったじゃないですか。」
一気に半分くらい飲んだ後島がおいしそうに口についた泡をなめてそう言った
「ん?これはお前たちが出発して…三ヶ月くらいした頃かな偶然インターネットで見つけた
んだよ。瓶だったから日持ちも良かったしお前たちが帰って来たら一緒に飲もうと思って
ずっと隠してたんだ。で、ヤマトが地球へ帰還した日に冷蔵庫に入れていつお前が戻って
きてもいいようにしていたんだ。私も息子と飲むのが夢でねぇ…夢がいっぺんに二つも
叶ってバチが当たらなきゃいいなと思ってるよ」
「二つ?」
古代が不思議がって聞くと
「息子と飲む事と地上へ戻れる保証が出来たこと!」
そう言うと島の父はグラスに残ってたビールを全部飲みほした。古代が酌をしようとしたが瓶を
島に渡すと島は無言で瓶ビールを受け取り涙を流しながらビールをグラスに注いだ
「あぁうまい!ほんとうにうまい!ほら、食べろ…グラスも空けて…(奥さんのグラスを見て)
お前も飲みなさい。今日はお祝いだからな。古代くんも遠慮しないで…」
古代は久々に島の母の手料理を食べた。両親はすでになく兄、守は勤務でなかなか会えなかったので島は実家に帰る時で守が地球にいない時は必ず古代を連れて戻っていた。島の
両親も古代を家族の一員と思って接している
よほどうれしかったのか島の父は久しぶりのアルコールでそのまま眠ってしまった
作品名:宇宙戦艦ヤマトのその後 2 作家名:kei