宇宙戦艦ヤマトのその後 3
「入ってくれ」
古代は真田の部屋に通された。
「藪か…沖田さんの報告書が遭難、とでもなってたのか?」
古代は報告書の事を告げると
「…俺は許せないんです。仮にもユキを自分より弱い女性を拉致して危険な目に遭わせて
選ばれてヤマトに乗り込んだのに…自ら危険な賭けを起こしたのに沖田さんの日誌には
そんなこと一言も書かれてなくて…そんなでいいんでしょうか?」
声を荒げる古代に真田は黙って聞いていたが
「…ヤマトは間に合った…しかしそれは結果論だ。もし帰路で遭遇したデスラーが勝利して
いたら藪の言っていたことが正論になっていた。」
真田が冷静に言うと
「古代、俺たちが間に合ったのは奇跡だ。ただその選択肢も今思うと余計な事だったかも
しれんがその時の藪にしてみたら必死だったんだ。万が一を考えた藪なりの答えだった
んだ。
しかし藪には天罰が下った。そして俺たちは間に合った沖田さんがそれを記載しなかった
のはそんな気持ちが沖田さんにもあったからだと思う。そしてヤマトの乗組員としてあの
激しい戦いの中必死に機関室を守ってくれたその感謝の意味もあると思う。
藪の一件は闇に葬ろう。実際あそこでやり取りしたのは俺たちでブラックタイガーの一部
しか真実を知るヤツはいないと思うんだ。いや、もし知っててもだから、と事を荒立てる
やつはいないと思うから…そのまま、沖田さんの気の向くままにしてやればいいと俺は
思ってる。お前は納得できんかもしれんがこの際私情を入れてはいけない。あくまでも
一緒に戦った仲間としてみてほしい。そして家族がいるということ、それを忘れるな。
家族たちは地球のために戦って死んでいった、って信じたいんだ。立入禁止区域なんて
イスカンダルにはなかった。それをあえてこうして残したということは藪達へそれなりの
ペナルティーのつもりだろう。」
真田が古代に諭すように言う
「藪のためではない。沖田さんのためにここはひとつ全て流してしまおう」
古代はしばらく考えた後しずかにうなずいた。
「…話は違うがお前本当にユキのところ行かなかったのか?」
真田が不思議そうに言うと
「えぇ…もう遅い時間ですし疲れさせて検査に響いたらそれこそ退院遅くなってしまうし」
自分でも言い訳がましいと思いながら言った。しかしその態度から真田は病室に行ったと確信した。
作品名:宇宙戦艦ヤマトのその後 3 作家名:kei