宇宙戦艦ヤマトのその後 4
ユキは昼間に古代が来た事を思い出していた。
(古代くんの胸…結構厚かった。ギュッってしてくれた時…うれしかった)
でもユキは次の瞬間もっと前の苦痛でしかなかった出来事を思い出してしまった
(…イヤ!あれは私の意志じゃないわ…)
そう思う自分と
(いいえ、ユキは汚れてるわ、いまさら古代くんが受け止めてくれるわけないじゃない)
と思う自分と心の中に二人のユキがいて心がざわめく。もう消えてしまった胸の赤い痕とももに残された手の形をした痣を思い出す…
(どうしたらいいの?私はどうしたいの?)
ユキは眠れずベッドに腰掛けるように座り非常灯の灯りをぼんやり眺めていた
(岡本さんとの事は忘れたい…出来るならなかったことにしたい…古代くんに知られたく
ない…)
「やぁ、ユキちゃん起きてたね、待っててくれたのかい?」
ぼんやりしていたユキは岡本が入ってきたのがわからなかった。ユキは“そんなんじゃありません”と言おうとした瞬間岡本はユキの口を左手でふさぎ右手であらかじめ切ってあったガムテープを張り付けた。そしてそのままベッドに押し倒されてしまった。
(痛い!)
右腕に痛みが走る
「痛みがあるんだろう?おとなしくした方が身のためだぞ?」
ユキは左腕を抑えられてしまったので右手でナースコールを押そうとしたがナースコールに届く前に岡本の左手に押さえつけられてしまった。
「前に痛い思いしたからね…ちゃんと用意して来たんだ」
岡本は暴れる患者用の手をおとなしく押さえておく器具を持ってきてそれをベッドサイドの鉄の部分に取り付けて手を当てると左右の手は固定されてしまった。それはユキにも見覚えがあってボタン一つで解除できるのだが両手をくくられてしまうとどうしようもできなかった
「先にパジャマを脱がせたかったんだが…」
そう言いながらパジャマの上着に手をかけたが足をバタつかせ抵抗していると
「そうか、下から脱がせてほしいのか。ユキちゃんは積極的だねぇ…」
そう言いながら岡本はいやらしい笑いをさせながら腰に手を当ててズボンを下ろそうとしたときそのまま後ろに倒れた
「お前、何やってんだ?」
低い男の声だった。岡本はひっくり返って腰を打ったのか腰をさすりながら立ち上がった。その間に男はユキと岡本の間に入った
(古代くん…)
ユキはガムテープで口がふさがれてるので何も言えなかった
「うるせぇお前こそ誰だ?そこの女に惚れたか?その女はなぁ俺の女だ。それもな」
(いや!言わないで!)
「俺を呼び出して裸になっちゃういやらしい女なんだよ。その証拠に右の胸に小さいほくろ
があるんだぜ?なんだ、お前もこいつに呼び出されたのか?ユキちゃん、ふたまたはダメ
ですねぇ~そうだ、あんたさ一緒にユキちゃんと愉しんじゃう?」
ユキは耳を抑えたかったが両腕を固定されてるのでそれも出来ずただ泣くことしかできなかった
「言いたいことはそれだけか?」
古代の声は更に低くなった。ユキは古代が戦闘モードになったのがわかった
(岡本さん危ない!)
そうユキが思った瞬間岡本の体は隣のベッドまでふっとんでいた。古代はさらに岡本の胸倉をつかむとそのまま殴りつけた。岡本は“何するんだよ!”と言う間もなく数発殴られた。異変を感じた看護士が入ってきて
「大変だ、岡本先生が殴られてる!」
と大騒ぎになってしまった。古代はそれで正気に戻り岡本の胸倉から手を離すとユキの元へ行きそっとテープをゆっくりはずしてやった
「古代くん…」
「ユキ、これ、どうやって外すの?ボタン押せばいいだけ?」
ユキがうなずくと固定具は外れ床に落ちた
「古代くん、古代くん…」
ユキは古代に抱きついて泣いた
「もう大丈夫だから…よかった…」
そう言って抱き合ってると岡本がフラフラになりながら
「この男が殴ったんだ!俺はこいつに何もしてないのに急に来て殴りやがった!」
すでに人がたくさん集まっていた。古代はユキを離し床に落ちた固定器具を岡本に放り投げ
「嫌がる女性を抑えつけて襲おうとしてたくせに何言ってんだ?お前ユキを襲おうとしたの
一度じゃないはずだ。お前みたいなやつは許せないお前みたいな医者なんか認めない
(ユキを振り返って)ユキ、行こう。ここじゃ治るものも治らなくなる」
そう言って古代はユキをブランケットに包むと抱き上げてユキの小さなバッグを持つと病室を出て行ってしまった
作品名:宇宙戦艦ヤマトのその後 4 作家名:kei