宇宙戦艦ヤマトのその後 5
古代はとりあえず洗面所へ向かったがすでにユキの姿はなかった。
(ユキ、どこかで見てたのかな…やばいな…どこ行ったんだろう…)
ユキの携帯を鳴らしたが呼び出しばかりで反応がない。通信機は持っているが軍の物なので緊急以外で使う事はためらわれた
(ホントに俺ってタイミング悪いよなぁ…はぁ…あれが乗組員じゃなくてガミラスだったら
さっさと蹴散らして…)
ユキの携帯のコール音は切れない。おかしいと思いながらそのまま聞いてると近くのゴミ箱から携帯の呼び出し音が聞こえてくる。古代はゴミ箱を除くと見覚えのあるバッグが入っていた
「…ユキのバッグ!」
古代は岡本の顔を思い浮かべていた。もし中央病院をクビになりユキを探していたら…
古代はぞっとしながらすぐ真田に電話した
「真田さん、ユキがトイレに行ったまま戻ってこなくて…探しに行ったらユキの荷物がゴミ箱
に捨ててあって…」
<何?今どこだ?>
「ショッピングモールです。一番近い…どうしたらいいのか…」
真田は少し考えると
<駐車場へ行け。俺たちもすぐ行くから!でも無理するな。>
「了解!」
古代は駐車場へ向かって階段をかけ下った
真田は一緒にいた南部とホテルの前に並んでるタクシーに乗るとモールへ向かった。
モールの駐車場は広く迷路のように通路が入り組んでいた
「もう、古代くんったらちゃんと断れるのかしら…」
トイレから戻ったユキはレストランが見えるちょっと離れた所から一部始終を見ていた。
実はトイレに向かった時ちょっと離れたところに生活班の仲良し4人組がいるのが見えてその中に綾ちゃんがいたのを確認していたのだ。
でもまさかレストランの中に入ってくるとは思わず…しかしユキとしてもここで“恋人面”して出て行く事が出来ず見物する羽目となってしまったのだった。
その時まだ痛みの残る右腕を後ろから思いきり引っ張る手があった。痛い!と思った瞬間ユキの手を取ったまま走り出した。ユキは痛いと思いながらも腕を返そうと思ったがタオルを顔にあてがわれた瞬間目の前が真っ暗になって崩れるように意識を失った
(薬の匂い…)
作品名:宇宙戦艦ヤマトのその後 5 作家名:kei