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宇宙戦艦ヤマトのその後 5

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  (…ここは…どこ?)

ユキは体がだるく息苦しさに目が覚めた。しかし毛布から薬品独特の匂いがしてそれが考える意識を遠くさせていた。毛布から顔を遠ざけようとしても手が後ろで縛られているのか動かない。

  (私…どうしたのかしら…)

ぼんやりする頭でユキは今日自分が何をしていたのか思い出そうとしたが薬品のにおいがその思考を止めさせる

  (だめだわ…何も考えられない…)

その時腕を少し動かしたら右腕が下になっていたので電気を通したような痛みが全身に走った

  (…痛い…でもこの痛さがあれば意識をしっかり持っていられるかも…)

ユキはわざと痛いところに自分の体を乗せるようにして意識をしっかりさせることにした。足を動かしてみるとやはり縛られていて少し足を持ち上げると縛っている何かが引っかかるようで自由に動けないようになっていた

  (自力で脱出は不可能のようね。カバンも持っていない。どこでなくしたのかしら。でももし
   古代くんが見つけてくれたらもう私の事探してくれてるわね。みんなも一緒かしら?
   ここは…荷台?エアカーの荷台かしら。)

痛みになれてくるとまた意識がぼーっとしてしまう。そのつどユキは体制を少しつづ変えながら意識がなくなる前の事を考えていた

  (今日は…古代くんがやっと休みになって…そうよ、地上へ行ったんだわ。それから食事に
   モールへ行って…食事…した記憶ないわ。…あ、そうよ、綾ちゃん達がいたのよ。
   トイレ…そう、トイレに行って戻ろうと思ったら困ってる古代くんの横に生活班のみんなが
   座りだしちゃって…そこで私後ろから引っ張られて…これと同じ匂いの物かがされたんだ
   わ。ひょっとして…岡本さんなのかしら…)

そこまで思い出したところでエアカーが止まった感じがあった。浮いていた車体が沈んで地面に当たる軽い衝撃がユキの腕の痛みにかかる

  (…痛い…)

カチャ…と荷台の扉が開く音がした。ユキはまだ意識が戻ってないふりをしようと目をつむった

  「ゆきちゃん、よく眠っているね…まさかあの古代って男が毎晩寝かさない状態なんじゃ
   ないだろうね…。今夜は俺が寝かさないから…今はゆっくり休むといい」

そう言うと薬品を付けた部分をユキの鼻の近くに持って行き

  「ちょっと飲みモノ買ってくるよ。もうすぐ俺の両親のところに着くから。そしたら未来の奥さ
   んだよ、って紹介してあげるからね。その前に…出来ればゆっくりどこかで休憩でも、って
   思ったんだけど時間がなくて…早く夫婦になろうね…」

ユキは薬品のにおいで薄れそうな意識の中岡本の言葉を聞いたら怖くなったが今ここで起き上がっても何をされるか分からないのでそのまま意識のないふりを続けた。

  「かわいいよ、ゆきちゃん…」

そう言ってほほを撫でてから荷台を閉めて店の中へ入って行った


ユキは狭い荷台の中だが少しでも薬品から体を遠ざけようと後ろに少し下がろうとしたが先ほどと同じで動かない…更に薬品の匂いで体の感覚が失われていく…

  (助けて…古代くん!)

その時エアカーの外からノックする音が聞こえた。よく聞くとそれはモールス信号だった。
相原が念のために、と勉強した超アナログ通信だ。ユキもそれはヤマトに乗る前に勉強していて生活班の話をする時にふざけてふたりでよく使っていた。
ユキも何とか返事を返すことができた。

  (間に合った…)

相原が真田に合図を送ると真田はちょっとした工具で荷台のカギを開けた。

ユキは安心したのか再び意識を失った



作品名:宇宙戦艦ヤマトのその後 5 作家名:kei