宇宙戦艦ヤマトのその後 6
三日ほどしてクルーはトウキョウに戻ってきた。ユキの右腕は少し腫れが出て来たので大事を取って固定されていた
ユキは南部と一緒にホテルに戻り島と太田は実家へ古代と真田と相原は寮へ戻った
「古代、ユキと一緒にホテルに戻らなくていいのか?」
真田が突っ込むと
「真田さん、何言ってるんですか!」
古代は耳まで真っ赤になって焦って叫んだから寮にいた人間がみんな古代を見た
「古代、声でかいよ」
クスクス笑いながら相原が突っ込みながら“お疲れ様でした”と言って自室に入って行った
「…まったく…人で遊ぶの辞めてください…」
古代はどっと肩を落とした、と言うのも明日ユキの両親に会いに行く約束をしたのだ。
(やっぱりスーツかなぁ…兄さんのスーツじゃでっかいしなぁ…それ以前にスーツなんかで
出かけたら寮のやつらにバレちゃうし…なんてったって相原がいるからなぁ~
あいつヤマトの広報だし…今日から実家に帰るなんて言わないかな…)
「古代、顔が百面相になってるぞ」
真田は笑いをこらえながらさらに忠告した
「両親に会うならちゃんとまっすぐ自分の気持ちを伝えるんだ。がんばれよ」
そう言って自室に入って行った。古代はハッとなって真田の部屋の扉をたたき真田が出てくると真田の部屋に飛んではいって
「真田さぁんやっぱりあいさつはスーツですかぁ?明日ユキの実家行くって言っちゃったん
です…スーツもってないのに…」
真田は(守の爪の垢でももらっておけ)と思いながら自分の若い時のスーツを古代に当てながら
「まったく…お前普段着る服だってなくて島に借りたりしてるのによく明日行く、なんて言っ
ちゃったよなぁ…どれ…アイロンで裾あげたら大丈夫だろう。ちょっとこれはいてみろ」
古代がズボンをはくと“ウエストはいいとして…少し裾あげれば大丈夫だな”といいながらピンで止めていく
「真田さん、何でも出来るんですね」
感心しながら言うと
「…守にも言われたよ。」
そう言って笑いながら
「知ってると思うがユキはいい子だ。泣かせたりしたら俺がただじゃおかないぞ。まぁお前
がここ(地球)にいない時は俺がちゃんと守るから安心して行け。」
「…真田さん」
「言っておくが俺はユキの保護者として言うんだ。そして守から…俺に何か起きたら弟を
よろしく頼む、って言われてるから…な。」
そういいながら真田の手はテキパキと動きあっという間に裾あげが完了した
「相原には内緒にしておいてやるが…これ着てここから出たらすぐわかるだろうな。悪い
事言わない、一度ユキの所へ行って着替えてから行くんだな。ただそこで南部に会ったら
万事休すだ。諦めろ」
真田は自分のワイシャツとそれに合うネクタイとハンカチを渡した。
「クツ、モールに寄って買っていけ。寝癖はちゃんと直せよ。じゃぁな」
そう言って真田はスーツ一式をまとめると古代に渡して部屋から追い出した
「みんなの宝物を一人占めするんだ。少しくらい大変な思いするんだな。」
真田は扉の先にいる古代に向かってエールを送った
作品名:宇宙戦艦ヤマトのその後 6 作家名:kei