yamato… 古代とユキ 1
ほどなくウェイトロボがビールを運んできた
「お疲れさま。いよいよ指令が出始めて地球を離れるヤツがそろそろ出てくる頃だ
ろうと思い今回の飲み会を企画した。ヤマトを離れてさみしいヤツもいると思うが
これからの地球のためにがんばって働いてもらいたい。では再開を祝して…」
真田がジョッキを掲げるとみんな揃って
「「「かんぱ~い!」」」
と声をそろえてジョッキを一緒に掲げた
みんななんとなく連絡はとっているもののなかなか会うことができず久々の再開は
進の心を癒した。ユキも長官第一秘書になってしまってから看護士仲間と会うことも
ままならず周りからは“ヤマト”の看板が背中に付きまとい自分が自分でないような
日々を過ごしていたので肩ひじ張らずに“森雪”としていられる事に感謝していた
「ユキさん、大丈夫ですか?」
南部がいつも進をからかう感じと全く違う感じで話しかけてきた
「え?」
ユキが少し驚いたように聞き返すと
「少し痩せたでしょう?結構キツいたぬきオヤジばかりで大変でしょ。うちのオヤジが
イライラしてますからね。まともに地球のこれからのことを考えているのは長官ぐら
いだろう、ってね。オヤジもユキさんがたぬき達に丸めこまれるんじゃないかと心配
していますよ。…まぁオヤジにはユキさんに限っては大丈夫でしょう、って言いました
が何かあったらすぐオレに連絡くださいね。すぐウラをとれますから。」
「…ありがとう。私は大丈夫。伊達にイスカンダルまで行って還ってきたわけじゃない
から平気よ。そんな人たちは相手してないから…でもへんな噂立つかもしれないわ
よね。“森雪”はお高くとまってる、って。長官がとてもお忙しい人だからどうしても
私も忙しいのよ。そうすると上官であっても忙しくてなかなかお相手できなくてね。
長官も第二秘書雇えばいいのに税金の無駄だって言って…」
「ふうん、でも藤堂長官って物腰の柔らかい人だってオヤジが言ってたよ。身内には
厳しいんだね。」
「えぇ…でも私にはとてもよくしてくれているわ。不慣れなことを理由にしてはいけない
けれどひとつひとつきちんと教えてくれるし…」
進は何気なくユキと南部の話に耳を傾けていた
「進君、話に参加したかったらどうぞ?」
南部はふざけたようにそう言うと
「ばか、南部古代は俺と呑んでるんだ!」
太田がそう言って“な!”と進に声をかける
「さっきっから古代ユキさんしか見てないもんなぁ~まぁったく…でもその気持ちわか
りますよ。僕なんか暇になると男性問わず女性からも“森さんってどんな人?”って
聞かれますもん。コウベシティーでもそうでしたよ。ユキさんに次いで古代、南部
島…って感じですね。」
相原が納得したように言うと
「相原ぁ~俺が入ってないよぉ~」
太田が泣きそうな声で叫んだ
作品名:yamato… 古代とユキ 1 作家名:kei