yamato… 古代とユキ 3
「はい、います、幕の内さん!今、行きます!」
大崎は瞬間的にユキの手を解放した。ユキは少し安堵の様子で握られていた
右手を左手で覆い立ち上がると大崎に
「お食事にはいけません。ごめんなさい。」
そう言って幕の内の方へ走って行ったが大崎はユキから視線を外すことはしなかった
「お呼びですか?」
ほっとしたユキは少し息を切らせて厨房に入ってきた。息を弾ませている割に
顔色が少し青白く幕の内はおかしい、と思った。さっき食事を取りに来たときと
別人のようだったからだ
(あぁ、再入院の時も青白かったな、貧血か?)
そう幕の内は思いながら
「真田から聞いてさ。」
そういいながら小さな箱を手渡した
「幕さん?」
「お祝いだよ。上等なバターが手に入ったんだ。クッキー作ったから進くんと
食べるといい。」
ユキはほっとしたのか受け取ろうとした瞬間めまいがして足元からくずれた
「大丈夫か?さっきと違ってすごい顔色がよくないぞ。」
幕の内がユキの体を受け止めるとそばに休憩用の椅子があったのでそれに座らせた
「少し休めば大丈夫です。」
ユキは気丈にそう言ったが
「いや、ダメだ。1年一緒にいたんだ。何があったのかはわからないが普通じゃ
ないのくらいすぐわかる。」
そういいながら真田に連絡取ると飛ぶように真田がやってきた
「ユキ!大丈夫か?」
青白い顔で椅子に座るユキを見て真田はユキに聞いた
「今、大崎とすれ違った…俺をすごい眼で見てた…関係あるだろ?」
ユキは大崎の名前を出されドキっとした
「…やはり…岡本と同じ眼をしていた。いいか?ユキ、相手は軍人だ。
護身術くらいじゃ身を守れないかもしれん。とりあえず佐渡さんのところへ
いこう。少し横になった方がいい。幕さん、ありがとう。後は俺がつきそう
から…」
ユキは真田にそう言われてしまうと何も言えずうなずくだけだった
「真田、時間は大丈夫なのか?俺、この後オフだから付き添えるぞ?」
「そうか?じゃぁ一緒についてきてもらっていいか?ユキ、歩けるか?」
ユキがうなずくとゆっくり立ち上がり3人で医務室に向かった
作品名:yamato… 古代とユキ 3 作家名:kei