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yamato… 古代とユキ 3

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定時と言っても軍の定時は普通の仕事と時間が違うのでラッシュに合うことはない

ユキは幕の内からもらった箱を紙袋に入れて私服に着替え軍から出た

  (大崎さんとはシフトが違うから大丈夫ね)

ユキの左手にはしっかり携帯が握られていた




その姿を大崎は軍のビルの窓から見ていた

  <力づくでも俺の方を向かせてやる…>

やはりその目は岡本と同じ眼だった




ユキは最寄りのステーションからトウキョウステーションを目指した。ここ数週間で
ステーション周りやモール周辺はずいぶん明るくなったとユキは感じていた
今日の視察から見て地上に戻れる日は近いと感じているのをこの一年、踏ん張り
続けた一般市民たちもそれを感じているんだろうと思った。

  (早く太陽を直に浴びることのできる生活ができますように…)

リニアに乗りながらそう思うユキだった



軍の司令部のあるステーションとトウキョウステーションは近いのですぐ着いた
ユキは周りに注意しながらステーションの中のモールに入り以前母に教えても
らった紅茶のおみせをまわり温めるだけの食事を買うとアルコール類は現地で
買おうと思い女性専用の待合室へ向かった





進は時計ばかり気にしていた

くだらない質問でなかなか質議が進まない。ヤマトの乗組員なら言わなくても
わかってくれるところだが今回はしっかりした準備しなくてはならない

ぶっつけ本番じゃダメなんだ


大きなため息をつきたいところ肩を落とすだけにして外の風景を見る
依然と変わらない景色…真上には岩盤。見渡す限り灰色の世界…

もうすぐこの穴倉も不要となる…一日も早く太陽を浴びて大きく伸びのできる
環境にしたい…


そんなことを思っていたら空いていた横の席に誰かが座る気配がした

  「よぉ」

島だった。島の横に南部が立っている

  「部外者は立ち入り禁止です」

警備員が後から入ってきて二人の入室を止めようとしたが

  「われわれが乗り組んでいた戦艦を引き渡すんだ、意見を言う権利ぐらいある
   だろう?」

島がそう言うと

  「それに私の乗り込む艦の護衛をしてくれるんだ聞く権利ぐらいあるはずさ」

南部がシレ~っという

  「それに古代の調子が悪いと聞いて…ホラ、バトンタッチだ。お前は帰れ」

島の顔を見ると“真田さんの司令”と書いてあるかのようだった

  「え…でも…」

しどろもどろの進に

  「艦長代理、後は右腕の私に任せて…」

南部がそう言うと島は進の荷物を勝手に片付けて進に持たせると椅子を回して
うしろからどついてじゃぁ、と言って背を向けてしまった

  (…ありがとう)

進は二人に頭を下げるとその足でステーションに向かって走り出した






作品名:yamato… 古代とユキ 3 作家名:kei