yamato… 古代とユキ 3
<お待たせ…今待合室の前にいるよ。>
ユキの携帯が鳴って相手を確認すると進だった
「はい、今向かいます」
ユキは買ってきた食事と幕の内のクッキーを持って待合室を出た
「よく出られたわね。こんなに早く…」
ユキは進の顔を見た瞬間
「あ、真田さんね?」
「あぁ、多分。島と南部が来てくれて…」
「そう…どこかで見張っていやしないかしら?」
「ははは…ありえる…かもな。」
ふたりはリニアに乗ると三浦方面に向かった
「随分買いこんだな」
進はユキの荷物を膝の上に置いて中身を見た
「古代くんだったらこれくらいペロッと平らげるだろうと思って…買いすぎたかな?」
「ユキも見た目とちがってたくさん食べるから大丈夫だろ。飲み物は?現地で
買おうとしてた?」
「えぇ、その方が軽いし…」
「そうだな、そうしよう」
「あと、長官が今日新聞で公表するって。夕方パソコンのニュースに載るんじゃ
ないかしら?小さい記事って言ってたから数行でるだけだと思うけど」
「ユキ、ご両親には…。」
「えぇ、伝えておいたわ。古代くんから、って。」
「そうか、悪いな。」
「古代くんが謝ることじゃないわ。仕方ないのよ…なかなか他にニュースないし…
でも私的にはどうどうと会えるから嬉しいわ。」
そう言ってちいさな頭をちょこんと進の肩に乗せた
「どうぞ」
進が両親と住むはずだった地下都市にやってきた
「おじゃまします」
ユキは真っ先にご両親の写真の前で手を合わせた。進はそれにつられて一緒に
手を合わせる
「食事、温めようか」
備え付けの電子レンジで次々温める。テーブルいっぱいに食材が並び二人だけじゃ
とても食べ切れなさそうだ
「古代くん、全部温めないでまた後で食べられるようなら温めましょうよ」
ユキの一言で進は“そうだな”と言うとテーブルについて最寄り駅で買った缶ビール
を開けると二人で乾杯した
「…静かね…」
「そうだな、地上でもこの周辺は静かな所だったからな。自然保護区域だった
から…ねぇユキ、結婚したら以前住んでたところに別荘でも作ろうか。
権利書が有効なら…さ。」
「…いいわね、ゆっくり本でも読みながら一日ゆっくり過ごすのもいいわね」
「だろ?もちろん、ユキのご両親にも自由に使ってもらってさ。」
「いいの?きっと喜ぶわ!」
ユキは食事をつつきながら将来の事を楽しそうに話す進が今までになく嬉しそうに
見えた。
「ユキ、俺さ、頑張るから…」
急にまじめな顔をして食事の手を止めた
「俺、同い年だし…ガキだし…全く頼りないと思うけど…離れててもユキの事
しか頭にないから…俺にはユキしかいないから…これからずっと迷惑かける
事多いと思うけど…」
そんな進にユキはやんわりと
「やだ、古代くん。私だって迷惑かけっぱなしでしょ?今日も心配かけちゃった
し…お互いさまだと思うわ…あ、そう言えば発表どうしたかしら?私の端末
繋げてみましょう」
ユキは立ち上がるとプライベート用の端末を取り出して通信機に繋げた
作品名:yamato… 古代とユキ 3 作家名:kei