yamato… 古代とユキ 3
二人の電話はずっと鳴りっぱなしだった。しかし二人はクルー以外の電話には
出ず留守電に切り替えていた。そこに南部からメールが入った
〈お二人がいない、とのことで寮の前はパニックになってるから今日は戻ら
ないほうが安全だと思うぜ?〉
進は天涯孤独だと言うことで司令部に三浦の住所は届けていないからここは
誰も知らない。ユキの実家もユキが登録していないので実家に記者がわんさ
か押し寄せることはない
〈〈ありがとう、じゃぁ今日は戻らないよ。寮母さんに伝えておいて〉〉
進はそう返すと
〈了解〉
南部からすぐ返事が返ってきた
「ユキ、寮に…」
連絡しておいた方がいいよ、と言おうとしてユキの方を見たら進によりかかり
ながら寝息をたてていた
(いろいろあって疲れた上に三浦までひっぱって連れてきちゃったから…
悪いことしちゃったかな。)
進はソファーに掛ってたカバーをユキにかけてやった
(毛布とかの方がいいだろうけど移動して起きちゃったら悪いよな。寒くなら
ないようにエアコン入れれば平気かな。
しっかしほっそいなあ~内臓あるのかなぁ?抱きしめたら折れちゃいそう
だよなぁ~
でもユキ、俺を信用して寝ちゃってるわけじゃないよなぁ…耐えられなくて
寝てるんだよな。そんなかわいい顔で寝てたら襲っちゃうぞ…なぁんて…)
よくヤマトの中で言い合いをした。自分たちは言い合ってたと思ってたがきっと
周りはまた喧嘩してるよぐらいの感じだっただろう…
相変わらず二人の携帯は知り合いから掛り続けていたがメールも見ることは
しなかった。進はひとりじゃないぬくもりを心からかみしめていた
「…う…ん…」
不自然な格好で寝ていたのでユキは体制を立て直して寝ようと思い体を起こし
たが体が動かない。
(…おかしいわ…)
ユキは眠たい頭で考えた
(えっとぉ…私…シャワーも浴びず寝たのかしら…)
いろいろ思いだそうとするが睡魔が勝って頭が働かない。
(あったかぁい…)
ユキは一度上げた頭を元の位置に戻すとそっと背中に暖かい手が置かれた
のに気付き
(え?なに?)
ユキはそのままの体勢で眼だけしっかり覚ますと大きな胸板を枕に、進の左腕
が背中に、進の右手はそのままソファーからだら~んと放られていた
「やだ、古代くん、重かったでしょ?」
飛び起きるようにユキが離れようとすると
「いいんだ、ユキ、暖かいから…」
進はそう言って左手に力を入れるともう一度ユキの頭を自分の胸の上に乗せた
「大丈夫、大丈夫…」
「もう、古代くん、たら…」
そういいつつも二人とも睡魔に勝てず深い眠りに落ちて行った
「おはよう」
紅茶のいい香りで眼が覚めた。
「ユキ、朝食は昨日の残りでいいよね。ほら、顔、洗っておいで」
ソファーで寝てしまったユキにタオルを投げた。
「やだ、そのまんま寝ちゃったのね?今何時?」
「4時だよ、朝の。昨日随分早く寝ちゃったみたいだね。シャワー浴びる?
俺、先に浴びたからよかったらユキも。」
ユキは改めて衣服の乱れがないことを確認した
「ばっかだなぁ、襲ってたら服なんか着せないって」
進が冗談を言うとユキは真っ赤になった
「ははは、ユキ、真っ赤だよ。何にもしてないって。」
進がシャワーを勧めるが
「…だって着替えないもん…」
何もなくても一晩進といられた嬉しさと恥ずかしさで真っ赤なユキはそのテレを
見られまいと進に背を向けてそう言った
「…そうだよなぁ…困るよな。」
進はそう言いながらメールをチェックしてる
「お、南部からメールが来てる。三浦出たらユキさん、ホテルに連れて行って
あげてって。アイツ気が利くなあ。寮入れないもんな」
進は広げようとした食事を詰め直すと紅茶を飲んで出よう、と言った
作品名:yamato… 古代とユキ 3 作家名:kei