yamato… 古代とユキ 4
ユキが懸念していることはふたつあった
進のブレーキが利くかどうかと自分自身の身の安全と、だった。
自分自身の身を守れるかどうかと尋ねられると相手が軍人だけあって
100%大丈夫、と言いきれないが自分に何かがあって進が大崎を傷つ
けることがあればきっとちょっとしたケガぐらいじゃ済まないはず。
以前、素人の岡本に対しても手加減していなかった。
普通の軍人ではない進の拳。相手を殺しかねない…結局傷つくのは
進だと、戦うことがほんとうは嫌いで絶対的な平和主義者なのに環境が
進を変えてしまったとヤマトを降りて一緒にいてユキが一番感じた事だった
やがて勤務を終えた南部と島、相原が来た。
「太田は金星に出張で明日もどってくるそうです」
相原がそう報告した
「で、情報があります。上司のに聞いた話なんですがユキさんのことを
大崎は中央病院に勤めてた頃から知ってるんですよ。で、その
ユキさんが司令部に来たとなったら攻めないと!って思ったんでしょう。
で、真田さんが後見人と聞いて=親密な関係、と思いこんだらしいです。
司令部で流れたニュース見て改めて本気だったんだ、と上司も気付い
たらしいです。ミーハーだな、と思っていたけどヤバそうだからクギさしたが
効果ないかも、と教えてくれました。
古代の出航が二週間後だろ?島も南部も同じ頃出航。クルーがいなく
なれば…と思っているらしい。」
相原の言葉にユキはぞっとした。
(中央病院から私を見ていた、なんて…入院患者さんなら覚えがあるけど…
通院だと覚えていないわ。)
「ユキさんは何か記憶に残っていることありますか?」
相原に振られて我に戻ったユキは
「ううん、何も覚えないわ。入院してればまだ記憶にあるかもしれないけど
通院で来てたらまず覚えていないと思うわ」
全員黙り込んでしまった
「とにかくユキ、一人にならないことだな。」
真田が口を開いた
「古代がココにいる間は通勤を一緒にして無理なら俺に連絡しろ。俺は
だいたいここに詰めてるから。俺が行けないときはなんとかする。
ユキも相手が軍人だから一人にならないこと。」
ユキは岡本の時、真田に素直に甘えておけばよかったと思ったことを思い出
し素直にうなずいた
「よし、しばらくそれで様子を見よう。きっとクルーがココにいる間はヤツ
も手出しはしないだろう。勝負はその後掛けてくるはずだ。」
真田も考えがまとまらない様子で右手をあごにあてていた
「ユキさん、これ…」
相原がハンカチを渡した
「ハンカチ?違うわ…なに?これ」
ユキが受け取りながら聞くと
「決して洗濯しないでください。ハンカチに見せかけた発信機です。もし
何かあったらこのハンカチを折ってください。クルーの端末に現在地が
飛ぶよう設定しています。」(相原)
「相原、それ…」(真田)
「えぇ、今開発中のヤツです。テストで上がってきたものが昨日数枚
こちらに来たんで一枚拝借してきました。」(相原)
「真田さん?これ…例の?」(ユキ)
「余り縁起のいいものではないがいずれ誰もが身に付けるものになる
だろうものだ。特に戦艦に乗るものは…」(真田)
宇宙に飛ばされた時息があればこれを折って救助を待つことができる
命綱のようなものだ。
「上司の話を聞いた後だったので…」
相原が申し訳なさそうに言ったので
「さすが、相原、気転がいいな。…とにかく岡本のことがある。みんなも
周りに気をつけてほしい。大崎がひとりで何か仕掛けるのか、それとも
誰かと一緒に事を起こす可能性もある。大崎だけじゃない。秘書と言う
立場柄危険な立場に陥る可能性だってある。」
真田の言葉にみんながうなずいた
作品名:yamato… 古代とユキ 4 作家名:kei