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yamato… 古代とユキ 4

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  (そうよ、私が長官秘書に抜擢されたのは軍での訓練を受けているから。
   長官に何かがあったら私が守らなくては…)

ユキは改めて自分の役割を考えた

  (大崎さんよりそっちの方が大変かも…)

制服の下に忍ばせた小型のコスモガンが任務の重さを物語っている

  「…私は大丈夫。いざと言う時長官を守らなくてはいけないんですもの
   それにコレがあればいざって時は安心だわ。」

不安そうな先程の表情とはうって変わってすっきりとしたいつものユキだった

  「ユキ…」(真田)
  「その代わり端末に連絡入ったらフォローお願いします。」

誰もが無言でうなずいた。

  (大丈夫…みんながついてるわ。私は一人じゃない…。)

ユキはみんなの顔を見てにっこり笑った










  「島君」

一通り話が終わってなんとなくみんなで部屋でくつろいでいた時ユキが島を
呼び出した

  「ねぇ島君、訓練学校に入る前の古代くんの事、何か知ってる?」

ユキはためらわず島の眼を見て聞いた

  「古代?」

島は一瞬何のこと?という顔をしたが

  「あ…」

何かを思い出した様子でユキを見たが

  「いや…」

と否定するしぐさをした

  「お願い、何があったの?ご両親が他界したことと何か関係があるの?」
  「ユキ、それどこで?」

ユキは一瞬話そうかどうしようか悩んだが

  「昨日、隣のベッドからうなされるような声が聞こえたの。私心配でのぞい
   たら汗だくの古代くんが必死に手を伸ばして何かをさがしてた。

   私をお母さんを勘違いしたらしく“一緒にお父さんをさがそう”って…
   古代君のご両親は遊星爆弾で亡くなったって聞いてるわ。でも遊星爆弾で
   亡くなった事であんなにトラウマになるかしら…って思うの。よほどの事情が
   あるんだろう、って思うの。

   島くんなら何か知ってるんじゃないかと思って…お願い、教えて。あんなに
   苦しい思いをいつもしてるのかと思うと私の方が辛くなってきちゃう…」

島はユキを見てすっかり恋する女性になったんだな、と思った。心の中で俺も
ユキの事ずっと見てたよ、と呟いた。

  「ユキは中央病院にいたから聞いたことあるんじゃないかな?爆心地から
   生還した男の子の話…」

ユキはすぐわかった

  「…え…三浦の遊星爆弾の爆心地から生還した13歳の男の子の話…
   まさかそれが古代くんなの?確か随分後で看護例、処置例、とか
   いろいろ出てきたわ。その子の処置と同じようにして退院した子も
   数人世話したもの…え…でも…どうしてそれがトラウマになってしま
   うの?」

島は何気なく進を確認した。南部と相原と新兵器について話し込んでいる

  「…俺らもまだ予備生だった時に少し聞いたんだけど…ただ普通の体に
   戻るまでかなり時間を要したんだ。それがもとで倒れたこともあったし
   でも今は見るからに何もない、って感じなんだけどな。俺らも余り詳しく
   知らないんだ。
   古代のことだ、きっとユキには本当のこと話すはずだよ。それまで気長
   に待ってやってくれないか?あいつ、表はガサツっぽいけど本当はそん
   なヤツじゃない。きっとこの中で誰よりもつらい思いをしてるはずなんだ。
   俺は古代と一緒だったからいろんな意味で覚悟が出来たんだ。
   予備生の時はしょっちゅううなされてたと思う。守さんも心配してた。
   ユキも心配だと思うけど…」

そこまで言われるとユキはこれ以上聞けないと思い

  「…わかったわ…待つわ。ありがとう…」

ユキはまず自分の心を強く持つことが先だと思ったのだった




作品名:yamato… 古代とユキ 4 作家名:kei